Doo Bee Fes vol.1 feat. Warsaw Village Band, Kilema, OKI, The Tehran Brothers @ Sunsui Unagidani (8th Oct. '05)
テヘラン〜ワルシャワ〜マダガスカル〜そしてアイヌ
- Kilema -
ディズニー映画ですっかり旬なマダガスカルは、アフリカの東側、インド洋上に浮かぶ世界で4番目に大きな島(面積は日本の2.5倍)だ。ざっと数百万年前の白亜紀にインド亜大陸から分離したため、ワオキツネザル、ホシガメ、マダガスカルオオゴキブリ、ディディエレアなどお隣のアフリカとはまったく違った独自の生態系が残る島でもある。5世紀にはマレー人が到達し、以降イスラム圏との交流、メリナ王国の隆盛、そしてフランスの植民地となり、1960年に共和国として独立した。
周囲から孤立した自然とは正反対に、昔から中東やインド、東南アジアとアフリカとの交易中継点として栄えたため、「アフリカのアジア」と称されるほど、土着の文化と外来文化が豊かに混合している。とくに音楽は、よく「(東南)アジアのメロディーとアフリカのリズムをもつ」と形容されるほどで、デ・ガリやタリカなど、世界的にも評価の高いアーティストを輩出している。
キレマもそんな近年のマダガスカル音楽を代表する1人で、今回が3度目の来日公演。
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| キレマの演奏する、木製の箱の両側に張った12弦×2のマルヴァンという楽器や、トレスのような復弦3コースのギター、ウクレレのような4弦ギターに、彼の弟ネスタの奏でる、ミルクの空缶に小石を入れて木の枝に括りつけただけのプリミティヴなリズム楽器、そしてスペイン人のペドロ(キレマとネスタは現在コルドヴァ近郊在住なのだそうだ)のエレキベースとバンブー・パーカッションという、いたってシンプルな構成のサウンドは、アフリカ音楽らしくカラッと乾いていて、陽気で、音数はスカスカ。にもかかわらず、とても豊かだ。 |
| マルヴァンの音色は、エッジの立ったコラのそれよりはいくぶん柔らかくて優しく、だが複雑なスケールの澄んだ旋律はよく似ている。シャカシャカシャカと小刻みに6/8拍子、4/5拍子を反復するティンカン・パーカッションはイスラムの儀式音楽グナワのカルカベを思わせる。反復は太古の昔からトランスの基本要素。そんな隙間を昇降する、増幅されたレゲエ風のベースライン。 |
| 音数は決して多くはないのに、そこにキレマの歌声とネスタのコーラスが加わると、とたんにプリミティヴな原色の彩りが花開く。2人が人懐っこい笑顔でマダガスカル語と手拍子のコール&レスポンスを求めると、いっきに汗ばんできたフロアは陽気な祝祭の宴の様相。秋雨のなか最後まで途切れることなく響く手拍子の乾いたリズムに乗って、演奏のほうもいっそう熱を帯びていく。シャカシャカシャカと反復するリズムはバオバブの木立を抜ける爽やかな夕凪、マルヴァンの柔らかな旋律は寄せて帰す波の音。 |
| ステージでは、麦藁のような刺草で編んだとんがり帽子と絞り染めの民族衣装姿だったキレマとネスタだが、オフステージではドレッド・タムに原色のラスタプリントのシャツと"まんま"ないでたち。マダガスカルはエチオピアにも近い。で、素朴な疑問で「あなたの信教はなに?」と尋ねてみた。「アミニズム(精霊信仰)だ」とネスタ。ぼくは文化的には仏教だから近いかもね、と言うと、人懐っこい笑顔で「すべての宗教は、同じ1つの神から生まれたんだよ」 確かにヤハウェもゴッドもアラーも、名前は違えどすべて同じ神を指す。だがそんな史実以上に、元を辿れば『たった1つの同じルーツ』なのだという共通理解を感じた瞬間だった。マダガスカルは、遥か遥か昔に1つだった巨大大陸から千切れて産まれた、落とし子のような島なのだ。 |
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2005
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