button 松永孝義 The Main Man Special Band w/The Miceteeth
@ Shibuya Club Quattro (6th Oct '05)

たまらんわ21世紀型ソイソース

- 松永孝義 -

松永孝義
 ゆるゆるな心持ちでありつつも、奥底では高揚している何とも変な状態となったフロアをよそに、ふらりとおじさんがステージに集まってくる。「おっしゃ、行くか!」なんて気合はどこにもないが、だんだんステージ上の人口密度が増えていくにしたがって、フロアに横たわっていた熱気が再び浮き上がってきた。それでもマイペースに進むステージ上は、淡々とチューニングをこなし、メインマン・スペシャルバンドとして演奏できることの喜びを噛みしめ、浸っている。松永が指をパチン、パチンと鳴らし「ワン、トゥー、スリー、フォー…」とカウントすれば、途端にスイッチが切り替わって、百戦錬磨のミュージシャンの顔になる。刻まれた年輪の数だけリズムを会得したスペシャルバンドは、熱帯地域で生まれた様々な音楽を紹介していく。いきなり大人の遊び心が溢れ出してたまらん。

松永孝義  エマーソンがポコポコと温かみのある電子音をループすれば"Jazzy"の始まり。ダンスホールレゲエらしいイントロが4小節つづいた後、スライドするベースとワウワウギターのカッティングが響いていく。スカというよりは、ジャズやラテンを吸収したロックステディ。ルーツとしてのジャマイカを見せつつ、少しでもリンクするサウンドがあれば、模索して血肉にしている。でないと、浮遊するハワイアンを演奏して、昔からハワイにどっぷり浸かっていたかと思うくらいに音の一歩一歩がずっしりと重い、なんてことはないしスムーズでさりげない足取りは生まれない。コーラスが欲しいと感じれば、うたのお姉さんが出てきて、優しさで形作られた声が一本の線なだらかに上下するメロディに乗って小躍りする。欲しいエレメントがちゃんと用意されているのだ。また、松永自身による曲紹介は、チューニングによる曲間の空白を埋めているし、たとえ静寂が訪れても、メンバーの表情が語っている。静けさも松永の持ち味であり、無駄というものがまったくない。彼らの笑顔の裏側にある、音楽に対する冒険心は、まんまと地球を旅している感じにさせてくれた。

松永孝義  うたのお姉さん2人をフィーチャーした「マライカ〜」のコーラスで思い出したのは、サヨコオトナラのライブ(じゃがたら祭り 2)。僕の知識では、どうやらアフリカの有名なラブソングらしい、という程度に収まってしまうのだが、この曲のおかげで浮かび上がってきた仲間意識はとても興味深かった。ミュートビートとじゃがたらを繋ぐエマーソン北村の存在は俄然意味を持ってくるし、松竹屋清(元トマトス)をカバーしたこともすべて『東京ソイソース』というイベント(ミュートビート、じゃがたら、トマトス、いとうせいこう等が参加)でくくれてしまう。80年代のアンダーグラウンドシーンが、ここにきてどっと湧き出たことになる。「種は撒かれていた」とスマートに終わらせることもできるのだが、体験してない自分にとっては、世紀をまたいだ今になって当時の繋がりを持ち出されたら「羨ましいなぁ」の言葉以外に思いつかない。

 アンコールの声に、ぞろぞろと集まってきたのは、松永孝義スペシャルバンドだけではなかった。ハシケンにマイスティースも加わり、スペシャル過ぎて楽器が足らない。マイスの次松はコンビニの袋を持ってふわふわと踊っているし、ステージ上からデジカメで撮りまくっているのはうたのお姉さん。オーディエンスショットやアーティストショットを虎視眈々と狙っている。音楽だけではなく、文化全般が絡み合ったライブであり、イベントだった。

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