Aimee Mann @ Ebisu Liquid Room (4th Oct '05)
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――あの曲を、彼女はアンコールの最後に演奏した。
「It's 20 years old(20年物よ)」と、ほんの少し照れくさそうに笑いながら紹介して、およそ20年前のヒット・シングル「Voices Carry」をギターを抱えて演奏した。
そう、あれから20年。
エイミー・マンは、ロックバンド、'Til Tuesdayのヴォーカリスト/ベーシストとして'80年代にメジャーデビューした。バンドはその年にMTV最優秀新人賞を受賞したけれど、3枚のアルバムを発表した後に解散した。当時の私にとって、エイミー・マンは憧れのロックアイコンの一人だった。端正な顔立ち、逆立てたプラチナブロンド、180cmの長身、ベースギターのネックの長さも感じさせない長い手足。ロックが大好きなティーンエイジャーの女の子には、彼女のどこをとってもカッコよく見えたものだ。
そんな彼女が、今こうしてまた日本までやって来てくれたことをとても嬉しく思った。もちろん会場に足を運んだ全ての人が、彼女への“静かで熱い想い”を共有していたことは言うまでもない。ソロになってから不遇な時期もあったようだが、映画『マグノリア』のサウンドトラックで再び大きな注目を浴びたことは、彼女のキャリアにもとても大きな影響を与えたに違いない。
新作『The Forgotten Arm』で、彼女はミュージシャンとしてだけではなく、ストーリーテラーとしての才能を見事に開花させているように思えた。今回のツアーでは、この新作からの曲の合間に、以前のソロ作品や『マグノリア』からのナンバーを入れたことでメリハリも出て、英語が母国語でない私たちにとっては『The Forgotten Arm』のジョンとキャロラインの物語にドップリ、というよりはかえって良かったのかもしれない。個人的には、ライヴでSave Me や Deathly、Wise Up などを聴けたことが嬉しかった。
ライヴのほとんどで彼女はギターを弾いていて、まるで初めからソロのシンガーソングライター/ギターリストだったかのようなマッチング。フォーキーなルーツ・ロックのエイミーもいいけれど、中盤でAmateur、Driving sideways を演奏したときにベースに持ち替えた姿は往年の(?)クールな雰囲気で、私のロック少女ゴコロも満足した。最初のアンコールではキーボード演奏も披露し、“長いお別れ”の埋め合わせとしては十分ではないにしても、アーティストとして様々な顔を見せてくれたと思う。
「Sorry, 最後に日本に来てからずいぶん長い時間が経ってしまったわ」「今夜は来てくれて、みんな本当にありがとう」など、控えめながら日本のファンに対する暖かい言葉に、オーディエンスは静かに昂揚する気持ちと大きな拍手で応えていた。エイミーにしても、こうしてツアーに出るのは久しぶりのこと。「こんどまた(日本に)帰ってくるのが待ち切れないわ。Thank you and good night!」
ステージから去ろうとする彼女がいったこの言葉が、クールな横顔に隠れた大きな喜びを表わしていた。
Aimee, thank you for the wonderful "Tuesday" night....ほんとうに、また近いうちに再会できることを願って。
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--- Set List ---
Dear John
Goodbye Caroline
Going Through The Motions
Humpty Dumpty
Save Me
Wise Up
Video
Little Bombs
Amateur
Driving Sideways
She Really Wants You
I Can't Get My Head Around It
Stupid Thing
I Can't Help You Anymore
--- Encore ---
King of the Jailhouse
Deathly
4th of July
Voices Carry
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photos and report by mari
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