buttonMagma @ Shibuya Club Quattro (17th Sep '05)

遊星コバイアからの物体X

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 ロビーにある物販ブースには、例のカブトガニみたいなシンボルマークのTシャツやCDなどの定番品の他に、シンボルマークが入ったネクタイが売られていた。ウチの職場は、それを締めてもギリギリセーフな柄で思わず買おうかと思ってしまった。フロアには、なるほど40代前後の男性が多い。おれでさえ若手の部類に入れてくれそうである。とは言え、外国人(フランス人なのだろうか?)やメタラー(AC/DCのTシャツ着てたりする)や女の人も思ったより多い。プログレバンドの客層は大体こんな感じではあるけど、細かく見ると今回の客層は謎である。それだけ、こういう音楽がいろんな人に聴かれているということなのだろうか。
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ピアノ伴奏付き混声合唱団というべき演奏で、ソロをほとんど弾かず伴奏に徹するピアノをバックに5人のヴォーカリストたちが歌い、叫ぶ。タンバリンやマラカスなど小さいパーカッションが鳴らされることもあるけど、主役はあくまでも声で、コバイア語という独自の言語で歌われる世界は、5人の声で怪物を作り出しているかのようだった。まあ、1時間ほぼノンストップの空耳アワーのようでもあったけど。シンプルにむき出しになった怪物の心臓部の迫力は、音の大きさや厚みで圧倒するのではないのだけど、その作り出す音楽そのものが手応えのあるものだった。終わると凄まじい勢いでの拍手、「サンキュー、メルシーボークー、アリガト」と挨拶。そして第二部へ。
 まずは、『Kosmik Wokehl』というタイトルのパート。これはピアノと声だけの「GENESIS」(マグマの心臓部)なのだ。ステージには5本のスタンドマイクが並んでいる。マグマのヴォーカルって4人じゃなかったっけ? と思ったが、ステージに現れたのは、Stella Vander、Isabelle Feuillebois、Himiko Paganotti(ヒミコだけに日本人らしい)、Antoine PaganottiのヴォーカルチームとChristian Vanderであった。それにしてもクリスチャン・ヴァンデは凄い。二の腕の太さがおれの太腿くらいある。50代後半の貫禄があり、その巨体はまるで岩のようだ。

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magma 今度は、キーボード2人、ギター、ベース、ドラムの編成で、『Perkutehr Slakehnzain』と呼ばれる「EXODUS」(マグマの骨格)。クリスチャン・ヴァンデはドラムである。アンビエント〜フリージャズぽく始まり、徐々に力任せのデートコース・ペンタゴン・ロイヤルガーデンのような展開へ。その激しさはほとんどハードロックで、ベースのPhilippe Bussonnetの速弾き、ギターのJames McGawによるこれ見よがしな派手さはないが、流れるように美しいソロ、そして、クリスチャン・ヴァンデの残り少ない髪の毛が吹き飛ばされそうなくらい激しく首を振りながら叩かれるドラムのインパクトが凄い。

 クリスチャン・ヴァンデの老人パワーが炸裂。この歳にしてこの体力は尋常ではない。ジャズ、ロック、アンビエントなど、いろんなジャンルの音楽が浮かんできて、その全てであり、その全てが組み合わさったマグマの音楽は怪獣のようにグロテスクで、magmaかつ、会場のお客さんたちを引きずり込んでいく。演奏が止んだときの拍手の大きさが、作り出された世界の凄まじさを物語っていた。

 アンコールはベースとキーボードが出てきてシンプルな演奏をバックに5人のヴォーカルが歌う。そしてヴォーカルをクリスチャン・ヴァンデのみ残し、演奏陣と入れ替わり、ミニマルでアンビエントなプレイをバックにクリスチャン・ヴァンデがスキャットをする。やっぱりクリスチャン・ヴァンデの存在感が全てで、この底知れぬパワーを感じさせたライヴであった。メンバーが去った後もお客さんは、なおもアンコールを要求する。客電が点いても収まらない拍手に、メンバー全員が登場して、もう一度挨拶。この凄まじいライヴを締めたのであった。
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