buttonMagma @ Shibuya O-East (16th Sep '05)

パンドラの箱空けた

magma
 近頃プログレの隆盛が取り沙汰され日本国内で空前の... というコメントをテレビで聞く様になったら、それこそ日本は終わりというかとんでもないなぁと思う。

 プログレッシヴ・ロックは難解さゆえ表舞台に立つことなくこれまでやってきたと思われ、いや、むしろパンクの標的として追いやられる立場であったり、ひと知れず険しい道を歩んできた。でも、パンクの権化であるセックス・ピストルズのジョニー・ロットンは、なんだかんだいってプログレを聴いてたみたいだしPILなんてそっちの世界に近いバンドだと思うわけで。いや、なにが言いたいかというと、パンクがどうのこうのとか言っててもプログレのスゴさをThe Mars Voltaなんかから学んでしまった以上、「食わず嫌いはよそう」ということで、しかし、「これがメジャーのシーンになってしまってはいけないんだろーなー」という爽やかな憂いも同時に持つべきということです。

 とにもかくにも、そんなくだらないことばかり考えてる自分が今回のマグマ来日公演を見逃すわけも無く、2日間とも足を運び完全な構成でもってマグマを体験してきました。

magma  いきなりプログレの話をしたのはもちろんマグマがその類いのバンドであるからで、しかもそのなかで彼らは御大的な立ち位置らしいことを最近知った。フランスのバンドなのにコバイア語という独自の言葉で歌い、中心人物がドラマーであると。さらにはそのドラマーがオペラ歌手ばりの歌唱力をもっているというから笑えるではないか。

 今回は、ピアノと声だけで編成されたPart1と、ギター・ピアノ・ベース・ドラムのリズム隊で編成されたPart2を合わせた2日目、そして、その全てをミックスさせた完全な編成を披露した1日目、と公演前からその仰々しいスタンスが垣間見えて期待が高まる。ちなみに両日見た者の感想を言わせてもらうと、1日目と2日目の順番を変えて欲しかったというのはある。最後は完全なバンド・スタイルを拝んで帰りたかったですね、それだけは個人的苦言。2日目のバラバラ構成編は、共に行ったmag-nobさんのレポートから詳しくもれなくといった感じになると思うので、ボクは特に1日目の話をしましょう。
magma
 カメラマンのsaya38さん共々驚嘆したことがあって、それは客層。年齢層高い! ていうか年齢不詳率高い! ってな具合で、スタートまで律儀に自分のポジションを守ってジッと正面を見つめるクラウドの様子に、違和感と共に多少ゾッとしたのは確か。メタルやハードロック界隈と近い印象があり、やはり客層が被ってるのだね。オモシロイ。

 まず、ステージの様子で一番気になったのはドラム・セットだろうか。シンバルが4個ある。しかも、なんかキレイに上下に並んでいて非常にシンボリックである。そして、のっそり出てきたドラマー、クリスチャン・ヴァンデールがまた相当にヤバそう。というのも、首から下げたマグマ・ペンダントをしきりに右手でさすっているからで、その光景はまさしく悟った男の寛容を物語っていてただ者ではないオーラぷんぷん。

magma  美しいピアノの旋律からドラムの繊細な運び、せせらぎのような歌声。ハーモニーが折り重なる瞬間というものはここまで完成していっそう輝きを増すのだね、心地よい感じが伝播してくる。しかしそれも、徐々にドローンとしてくるピアノのミニマルな展開から、真骨頂と言うか混声合唱団のオペラ声が乗り、壮大な面持ちに表情を変える。その後フュージョンぽいギター(もちろんバカテク)とベギョーンと歪んだベース(弾き方がカッコエエ)が揺さぶりをかけ、コーラス組の顔真っ赤な歌唱で最高潮へアがっていく。ただし、ここまで来るのに大抵15分くらい掛かる。寸分の狂いも無くまさしくプログレ。

 しかしやはり注目すべきはドラマーのおっさん。絶えず緊張感を保ち続けるには絶対このひとが必要だな。画的にも首をぶいぶい震わせながら叩くのは見てて壮観だし、シンバルを叩き付ける様は鬼そのもの。なかでも、ボクがマグマの根幹を成していると思っている彼のハイハット、このリズムに身体が気付いて焦るほど楽しくなり、チャッチャッチャッチャッと狂いなく緊張感をもって刻まれるそれにトランスのような狂気を覚えた。ピンク・フロイドを聴いたときもこんな感覚が確かあったなぁと、そんなことを思いながら壮絶なインタープレイに身を委ね50分、40分、アンコール挟んで15分、という3パートで1日目は幕を閉じた。

 マグマを体験して、プログレとひとくちに言ってもサイケデリックなイメージのあるジャーマン・プログレでもなし、構成で魅せるUKのプログレでもなし、かといってミュージカルやオペラとも違うマグマのような奇妙な存在があることを知り増々深い闇に入り込んでしまいそうな自分。実は、それをまず憂うべきかも。でも、プログレに辿り着いてしまったボクはまだパンクが好きです。これは発見だね。
report by toddy and photos by saya38

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