Fantomas with Zu @ Shibuya Club Quattro (6th Sept. '05)
変態遊園地
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濃厚なソースを絡めた血のしたたるようなレア肉に、鮮やかで瑞々しい野菜。初めて体験するような珍味と深い奥行きの懐かしい味。フルボディの赤ワインと甘いソーテルヌのフルコース.... Fantomasという料理があったら是非食したい。胃痛胸やけ覚悟でも病み付きになる。
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どこからどこまでが曲なのかちょっとわかりづらく、「もしかして、さっきから演っている、この長いのが一曲?」なんて思ったりもしたが、どうやら違うらしい。巨漢のサックス奏者が、ブオブオと野太い無気味な音色を響かせている。不穏な音階が気持ちいい。が、私の持っていたバッグまでビリビリさせてくれるので、手がムズ痒くなって困った。
ほどよく前菜を堪能した後は、メインディッシュの登場である。セットチェンジ中、オールバックにチョビ髭の高橋英樹似のオッサンが出て来た途端、会場にどよめきが。パットンみずから真剣に機材のチェックをしている。
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前菜には、イタリアンおやじトリオのZuが登場。イタリアおやじと聞けば。どこぞのファッション誌のような、素足にローファー、ピンクのシャツを思い浮かべていたのだが、ステージ上にあらわれたのは、その辺にいるロックな兄ちゃん達。しかしながら、演奏はバカテクラウド系。ドラムとベース、サックスのトリオで、濃ゆく重たいサウンド。予備知識ナッシングで観たステージだけれど、思いのほかいい感じでなかなか気に入ってしまった。同じ気持ちだったオーディエンスも多かったようで、会場に流れている空気が温かい。
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パットンファンの女子は私のまわりに多くて、皆揃って「男前」を連発、しかも「飲尿」などの伝説的な変態ゴシップに彩られいたので、かなり期待していた。男前な変態なんてそうそういるものではない。しかし、はじめての生パットンは「それほどでも…。」という、消極的な印象。ステージがはじまれば、その印象はかわるのだろうか?
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上手側に、パットンのブースと思われる機材の砦が築かれ、向かい合う形で下手に大きなドラムセットが。Zuの演奏中、黒幕に覆われた何かがある...と気付いてはいたけれど、これだったのか!つか、パーカッションやシンバルがアホほど多くて、背後にドラまでついている。シルバーのお盆のような、何に使うのかわからないものが沢山吊り下げられ、思いっきり派手で、とにかく笑える。
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暗闇にほの赤く浮かぶお人形の首ふたつ。ホラーなコワ可愛いステージセットに、Fantomas的世界が垣間見える。こんなプリティなセンスが魅力なのだ。会場に女の子の姿が多いのも納得。そういえば、初日にはFantomas製よだれかけが売っていたそうで、友人の写真を見せてもらったそれは、白地に赤ちゃんが風船で浮かんでいるとーっても可愛いプリント。しかも防水加工まで施されている本物志向ときけば、ぜひともゲットしたい ! と、いさんで買いに行くも、なんと初日で売り切れたと告げられガックリ。Tシャツも素敵で、正直、現在流通されているバンドTの中ではかなりのハイレベル。○○○もこんなセンスのいいものつくってよ...と思った人も多かったことだろう。私はあるバンドTを思い出し、切望した。どうしてもよだれかけが欲しい人は、彼等のオフィシャルサイト Ipecac redordings にて購入出来る。イカれた彼女への素敵なプレゼントとしてもグー。可愛いので、是非見てほしい。
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そして登場するメンバー。オールバックのパットンを筆頭に爆発ヘアーが高橋 "ひまわり" 棋士を連想させるバズ、キャップ被ってるくせに、更に節目がちのトレヴァー、そしてド派手なドラムにお醤油顔なデイヴ・ロンバート。
さて始まったステージ。初見の私はとにかくドキドキ。ウキャキャキャ !!! 前傾姿勢でマイクに向かって意味不明な奇声を発し続けるパットン。喋るインコのようでもあり、マッドサイエンティストの演説にも聞こえる。
左手でマイクを掴み、右手で空中のターンテーブルを回しながら、突然カッ ! と目を見開いて歌い上げるパットンの美声に思わずうろたえる、うろたえる。パットンの想像を超えた「声」の変化に、ついこちらも目を見開いてしまう。楽器、ノイズ、動物の吠える・鳴く声、風のような音...声帯職人とでも呼べばいいのか。自分の声をここまで細微にコントロール出来るなんて。歌い上げた後にチープな効果音でオトすところもぬかりない!こういう絶妙な緩急、暴美なバランスがたまらない。
ライブ中盤、「パットン男前説」をもう少し間近で確かめたく、前に進んでゆくことにする。前方はギッシリかと思いきや、スイスイと進めてしまい、オオッー、パットン目の前。間近で見ると、確かになかなか、硬派なハンサム。それにしても、目ヂカラが凄い…そして、その目はほぼドラムの方へ向けられている。パットンとデイヴがお互い真剣に見つめあい、タイミングを計りながら演奏するサマは、まるで夫婦のようでもあるし、逆に「果たし合い」のような緊張感も感じられる。とにかく、二人はずーっとアイコンタクトをとりあい、絶妙のタイミングでバズ、トレヴァーが絡んでくる。インプロでサウンドをデザインしてゆく、そんなイメージのライブだ。
メロディ無視のやりたい放題。突然絶叫したり、猥雑で複雑な音の洪水。かと思えば突然チープな効果音...本能のまま暴走するスタイルは、スタジオでもライブでも同じらしい。ただ、目の前で見るステージングは思っていたよりもハプニング的ではなく、かなりコントロールされているものなんだな...という印象。いやいや、アドリブやハプニングも自然に流れにのせているだけなのかも。
それにしても複雑なややこしいサウンドである。パットンもデイブも、とにかく忙しそうに手があちこち動いていて、更に虹色の声表現をするパットン、凡人には到底真似できない。脳みそのスイッチがいったい幾つあるのやら。
観ているうちに「この人、変態ではなく天才。」という思いに強く捕われていく。オケの指揮を頼んだら、とてつもなく壮大な面白い音楽が出来上がりそう。そんな妄想を抱きつつ、眼・耳ともに充分堪能。
前日のライブ後、初台Doorsにて飛び入りしたらしいパットン、灰野啓二とヴォーカル対決したらしい。吉田達也も加わり、最後にゃ宇宙の果てを連想させる、それはそれは壮絶なステージだったと友人から報告が来て、歯ぎしりする。い、行けば良かった……。
もし、まだ聞いたことのない新しい世界を探している人がいたら、こんなにオススメのバンドはいない。タブーのない、ハッピーな変態世界への扉を開けてみてはいかがだろうか。
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report by mimi and photos by saya38 |
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