buttonウエノ・ポエトリカン・ジャム3 〜声と言葉のビッグバン!〜
@ 上野水上野外音楽堂 (4th Sept '05)

外へ

 詩、という言葉を聞いて連想するものは得てして内向的だ。どうしても、アンダーグラウンドというか、日の目を見ない自閉的で自慰的な行為というイメージがつきまとう。

 しかし、その詩というものが、今回、上野水上音楽堂にて野外ライヴを行った。ポエトリー・リーディング(詩の朗読)の大フェスティバル。多数のプレイベントを潜り抜けて勝ち残った詩人たちが集い、8時間、詩をうたう。当然、国内では最大級のイベントだ。

 都内の路上、特に下北沢でよく見かける「まんが読み」(古本を売りつつ、その古本の一場面を読み上げる。彼の「魁!男塾」は必聴、めちゃくちゃおもしろいです。)東方力丸や、「たけしの誰でもピカソ」に出演していたバロンなど、知る人ぞ知る有名人から、主婦、元お笑い芸人、お坊さんなど、バリエーションに富んだ出演者。さらに、日が落ちてからは三上寛も登場というこの豪華さ。リーディングも、ただ書いたものを読めばいいってものじゃない。まるでコントのようなスタートからいつのまにか引き込まれてゆくような手法を用いる人や、ステージを駆け回り、のけぞって本能のままに絶叫する人、ノートを手に、日記をぽつりぽつりと読み上げるような人、バックの音もなしにラップする人、何にノッているのか一定のリズムで踊りながら読み上げる人。そして、声の緩急や強弱だけで空気を呑み込み塗り替えてしまうような人。正直、言葉をテーマにしたイベントは今まで幾つか見てきたが、これだけ参加者のクオリティが高いイベントは初めて見た。

 しかも、メインステージの外には屋台が構えられ、近くでアンプラグドの音楽ライヴも行われている。刷毛を手に自我を開放、もしくは崩壊させるライヴペインティングや、5人組のパーカッションが原始的な「打つ」という行為だけで音楽を繰り広げている。当然、ライヴライティング(その場で、思いつきで詩をかくこと)を行う人もいる。ここに掲載した作品もライヴライティングのひとつ。エグイ程切ない気持ちにさせられた沼谷香澄の一編を、頂いてきました。

Ueno Poetrican Jam3 女なら、わかるよな。それなりに泥道歩いてきたなら、な。

 癒し系だとかいってもてはやされているものと、生きている詩はまったく違う。詩は、言葉を「使った」表現であり、それ以上でも以下でもない。

 高等技術でも荒唐無稽でもない。ただ、うた。それをどうやって外に出すか、いろんな人がいろんな方法を試している。パティ・スミスだって、ジム・モリソンだって、マリリン・マンソンだってこんな風に試行錯誤してきたのだ。繰り返される実験の中には、ビッグバンくらいあってもなんら不思議はない。8時間は幾らなんでも長いだろうという人もいるだろう、だけど一人一人のステージはものの数分で完結する。飽きたなら出て行けばいいし、聞きたければ聞けばいい。大きな場所を使って、ストリートライヴを見ているような、この感じ。

 気に入った詩人がいれば気軽に声をかけられる。作品もその場で買うことができる。あたしも、キレて父親に生理用品を投げつけるヘビーな詩をうたった鈴川夕伽里をはじめ、何冊か気に入った詩集を選んで買って帰った。歌で言えば、ラジオから流れてきたたった数秒でアルバムを買わせるようなエネルギー。言葉にもそんな力が宿っているとあたしは信じたい。

「これでも俺たちは内向的か」とばかりに、外に向け叫びぬく詩人たちの声や、韻を踏む言葉のステップは、紛れもなく音楽だった。
report by yuka

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