buttonBloodest Saxophone Presents "snuck Uchu"
feat.Bloodest Saxophone & Saboten
@ Shimokitazawa 440 (5th Aug '05)

Snuck宇宙は新鮮なネタの宝庫です

Bloodest Saxophone
Snuck 宇宙…何とも不可思議な響きに誘われて向かいましたのは、洒落た風情が漂う下北沢440。毎度用意される「おつまみ」が気になるところだが…今回は甲田慎太郎自らが探しまわったという「にがり100%の冷奴」だった。レモンが浸されたつけだれや、しょうがのおろしはおそらく幸田のお手製だろう。回を重ねるごとに、ひねりの効いたアプローチで酒の肴を提供する心意気が、またグッとくるではないか。

開催はこれで3回目となる。BLOODEST SAXOPHONE(以下、ブラサキ)の旨さに取り憑かれたグルメなリピーターがいるのは当然なわけで。そんなお客さんに、今回はとっておきの隠し球などと言っていいのか悪いのか、「サボテン」という、棘のある珍味を用意しておりました。


Episode 1/前菜サボテン


登場人物

■ユキさん:
バリトンサックス、ラップ、あいの手、その他諸々をルール無用で盛りつけてゆく希代のアナーキスト・アーティスト。サボテンに関しては、全てを仕切る。

■幸田"ヤングコーン"伸太郎:
テナーサックスを主に担当。ポーカーフェイスを気取ってはいるが、実はユキさんのネタにめっぽう弱く、笑いをこらえるのに必死。

■デラックスな人たち:
今回のみのスペシャルゲスト。果たしてその正体は…?

Bloodest Saxophone  何処から湧いて出たのだろう「希代のコミックユニット」というコピーは。シンプルで解りやすく、それでいて想像や妄想が膨らむことをやめさせない代名詞は、場を埋め尽くしたひねくれもの達をワクワクさせていくことしきり。気になるのは、最前列の、体と態度が大きい人たちが、座っていることだ。

 まず手始めに"うずら"と名付けられた3拍子の曲から。ズンチャッチャ、もとい、ボッパッパッ、とサックスのコンビがワルツを奏でていく。言われていたコミック要素なんてどこへやら、社交ダンス界にもってこいな清廉潔白なオトではないですか。滑るように回る正装した男と女のイメージを崩すのは、2着のツナギを欲張って着込んだユキさんだったりするのだが、言われていたほどのハチャメチャ要素は少なく、僅かに顔を出す程度だ。しかし、曲間の慣れないMCになると、いよいよユキさんのおちゃめな歯車がカラカラと回りだし、照れ隠しの凄んだ表情や、さじ加減一つで発射される出所不明なギャグやシュールなネタが、セオリーなど何処吹く風と言わんばかりに猛威を振るう。慣れているはずの幸田までもが顔をそらしては肩を小刻みに震わせているのも、隠れた見どころなので、この風変わりなスナックへ行って、酒でも飲もうかといった場合にはぜひ、彼の肩口に注目していただきたい。

Bloodest Saxophone  ムード歌謡の淫猥な雰囲気を匂わす"パピオン"では、再びポーカーフェイスに戻り、お客さんはうっとりと艶やかなサックスの肌をなめる。あぁ音を出せば真面目なんですか、ギャップで惚れさせるのも一つの手ですねぇ、などと思ったのもつかの間、続く曲が"剣の舞"、さらに"ゴミ出しラップ"とは聞き捨てならん、明らかにおもしろおかしい悪寒の予感。ヒップホップの常套手段である「Say Ho〜!」を多用したアカペラナンバーは、燃えるゴミ、資源ゴミをご近所ローカルな曜日で教えていく。「ゴミ、出しな! 夜、出すな!!」などなど、正しいことを言っているが、少なからず押しつけがましい部分もあり、皮肉もあり、真に受けるアウトロゥ(別名、ライフスタイル正直者)がいたら怒っちゃう気がする。曲が終わると、言動が気に障ったか、先に触れたやんちゃな人たちが立ち上がり、ステージに上がっていく。ハラハラドキドキ、さてどうなることやら…。

 蓋を開けてみれば、ユキさん曰く「デラックスな人たち」だった。トロンボーンのコウさんを除くブラサキメンバーは、どれもがチンピラ風であり、力の抜け具合がまた気持ちよく、存分にこちらを萎縮させてくれる。"りんご追分"のカバーでは、ほとばしるゴールデンパパのドラムと、タケオの太いベースライン、メロを構成するシュウちゃんのギターと幸田のサックスがスリリングに盛り上げておいて、ユキさんが「リンゴぉ〜の花ぁビラがァ」のフレーズをまずドスを効かせて歌い、突然ファルセットに切り替える。不器用な演技がまことに痛快であり、脅したり猫なで声だったりと冒険心溢れる新手の津軽娘に、終始笑わされていたのだ。


Episode 2 / メインディッシュBloodest Saxophone
Bloodest Saxophone
登場人物

■幸田"ヤングコーン"伸太郎:
オトコマエのテナーサックス奏者。エンターテイメントの融合を図るマッドサイエンティストでもある。
■ユキさん:
スキンヘッドのバリトンサックス奏者。おちゃめな部分はサボテンで実証済み。

■ゴールデンパパ:
どっしりと重厚なたたずまいながら、すばやい手さばきでリズムを叩きだすドラムス担当。

■タケオ:
ウッドベースを抱く水先案内人。ロカビリーのテイストをさりげなく注入している。

■シュウちゃん:
ブルーズもブギもお手のもの、ギターの音色を聞いたら一杯といわず二杯目もいける。

■コウさん:
トロンボーンとスキャットは誰にも譲れない。サングラスを取ると、きっとそこにはつぶらな瞳があるはずだ。

Bloodest Saxophone  幸田が選んだにがり100%の豆腐と、彼お手製の薬味やつゆを嗜む、幕間に生まれた呑んだくれ風情がいかにもスナックだ。おかげさまで、まんまとブラサキの手のひらで転がされている気がしないでもない。そんな折、ゆらゆら揺れる水面に、ポタリと水滴が落ちるようなざわめきがあたりに広がる。どうやら、しなびた町の風景がステージ前のスクリーンをはじめ、数あるモニターに大写しになったことが発端のようだ。さりげない日常を描くことに関して、右に出る者がいないと言われる小津安二郎のようなロングショットから始まって、カメラはずんずんずんと、いかにも妖しげな、赤い看板に吸い寄せられていく。それまでスターウォーズ・エピソード1が流れていたせいか、そのギャップに少々面食らいながら凝視していると、おぼろげながら、看板に笑いを誘う強烈な文字が書かれていることに気づく。
…『スナック宇宙』
 幸田の親切なMCによれば、ところは浜松だそうだ。サボテンの影響が少なからず入ったおちゃめな演出に、一同ニヤリとしたのは言うまでもない。

 小手調べの"Speak Around"は鋭い刃物のようにオトを切り「捨てる」美学によって成り立っているように思える。メンバーが徒党を組んで、一斉に襲いかかってくるのがブラサキの魅力のひとつであるが、その対極を見せつける落ち着いたアプローチに、凝り固まった先入観が粉々に。要するに、以前見た時のライブ(Snuck 宇宙 Vol.2)からある程度の期間を置いてしまったので、刺激的なヴィジュアルが肥大されて、僕の頭はずいぶんとハードボイルドなイメージを作りあげてしまっていた。

Bloodest Saxophone  "Talk Of The 52nd"では、幸田とコウさんが耳元に手をあてがい、スキャットで駆けていく。絶妙なユニゾンであるが、声の質の違いにより、コーラスにも聞こえる。一区切りとなるささやかな息継ぎのたびにまた別の世界が動く展開の早さに、カートゥーン・ネットワークあたりの、軽快なテンポで愉快な猫やら鼠やらがドタバタ走り回る騒々しさを連想したりもあった。"日曜日のチェルシー"は幸田曰く「昼のニューヨークをイメージした」とのこと。憂いを感じる落ち着いたイントロが響きだすと、やがてわき起こる拍手。決してけたたましく叩かれたわけではなく、思わず叩きたくなった感じのさめざめと泣くような拍手は、ジャズの実況録音盤に針を落とした時のそれと同じだった。

 芸達者なブラサキは、以前から聴覚も視覚もしっかりとカバー出来ていた。それを表現するために、味覚やら、嗅覚を引き合いに出すこともあるけれど、所詮は一種の比喩にすぎない。しかし、この日に関しては、信頼できるスペシャルゲスト、ブラサキ宇宙の広がりを一手に仕切る影の親玉的存在、シュガー・スペクター(実のところ、佐藤さん)という切り札を持って来て、前方に陣取る常連さんの味覚と嗅覚をも支配してしまった。フランス語と僅かなハナモゲラ語をきっかけに調子を上げ、"マイ・ウェイ"を吹き上げる佐藤さんの横で、幸田は趣味である料理を始めた。まな板と親父さん譲りの包丁テクを駆使し、魚を使った九州の漁師料理「なめろう」を作っているのだ。残念ながら僕は箸をつけることが出来なかったが、遠目から見たところ、ユッケの魚版みたいな感じだった。ネギの香りは堪能しましたが、やっぱり味のレポートがしたいっすね…。

 佐藤さんの嵐が吹き荒れた後、ユキさんと幸田のサックスバトルが展開され、お互いに一歩も引かない。ビデオで見たなぁ、ビッグバンドを後ろに従え、2人のサックスが直前のプレイよりもさらに凄いフレーズを奏でるやつ。前の奴よりもさらに上をいくプレイをしないとステージから引きずり下ろされるというスリリングな意地の張り合いが、こぢんまりとした日本のスナックで展開されるとはまことに贅沢じゃないかえ。"暗がりでツイスト"になり、もちろんジャズをベースとしたドラムであるのは言わずもがなだが、ベースラインはロカビリーテイスト溢れるものであったし、ラテンの陽気さも兼ね備えていて、それらてんでばらばらなベクトルが一つに収束した音像に心は踊った。アンコールの"ポークチョップチック"は、ひょっとすると、豚肉のぶつ切りですか? なーんて疑問もどこへやら、皆で共有できるグルメとはこうも楽しいものなのかと、ひとしきりあえいでしまったのですよ。とにかくさぁ、皆で来たらいいじゃないかと思うんですよ、身近な宇宙に。


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The official site

Bloodest Saxophone

http://www.nekachimo.com/bloodsax/

The label site

UK Project




The latest album

Bloodest Saxophone

"Sweetest Music"
8/24 out


previous works

Bloodest Saxophone

"Back Drop Swing"



"BLOOD-EST"
"ASTROMANTIC(CCCD) " (m-floと1曲でコラボ)
"70' CLOCK JUMP" (compilation)


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