二階堂和美 @ 新宿マーズ (21st Jul '05)
胸いっぱいの
7月21日の二階堂和美ソロ・ライヴで味わったたっぷりの幸福感、当分忘れられそうもない。
ボクはスーパーの青果フロアでアルバイトを経験したことがあって、キンキンに冷え込んだ冬場に朝早く5時出勤なんてこともあったし、ギンギンに日の照った夏場に昼出勤なんてときもあった。冬でも保存のため氷が張った水の中に手を突っ込まなくてはならないときがあって辛かった覚えがあるけど、お客さんが真剣な表情で野菜や果物を手にとっている姿を見て自分の心が落ち着いていくのを感じていた。
生活の中でご飯が与えてくれる幸福感、それに近いものを二階堂和美のライヴで味わった気がする。
いつものように前置きが長くなってしまいましたが、二階堂和美という歌手がいてボクはその計り知れない表現力に面食らっております。二階堂という仰々しい苗字からはとうてい想像もつかない温かい歌を歌う方で、女性シンガー界のバーリトゥードと言おうかジャンル問わずコラボレーションを繰り返している元気なアーティスト。
コラボの相手はラッパーのイルリメ、ジャズ・ピアニスト渋谷毅、歌モノで言ったら都市レコードなど様々で、特にモユニジュモ a.k.a. イルリメとは抜群のシンクロをみせ『live 08/feb/2003』という作品が発売される程。彼女の歌が惹きつけているのは観客ばかりでなくアーティストもまた、ということでしょうか。
ユー・グラン・グランというバンドが企画した"Slow Jam 01"なるイベントに出演した二階堂和美。出番は4バンド中3番目。この日は黒いドレスのような美しい衣装で現れて、どことなくシュッとしていたので驚いた。『Nikaidoh Kazumi US Tour 2003』で見た彼女はフワフワした服装でつかみ所の無い雲のような印象だったし、ECDのライヴにゲストで現れたときはカジュアルとB-Girlの中間っぽい服装だった気がする。毎回印象が違うのも魅力だと気付いた。
彼女のライヴを初めて観るひとがほとんどだったようで、1曲目のときに漂った"様子見的な空気"が非常にヘヴィーだった。観客も歌ってるほうも肩に力が入っていたのだろうか、ちょっと低いところからライヴは転がり始める……
その後じわじわ調子を上げ始めたのは観客からでも彼女からでもない。両者同時に空気は和らいでいった。ステージ中央に置かれたマイク、その位置に関わらずステージ上を跳ねまわりながら歌う姿、マイクから遠く離れたところで歌っていても力強く聞こえてくるヴォーカル、彼女の音楽が持つ凄さは"躍動"だ。身体のサイズに不釣合いなギターを抱えながらも、弾き語る姿は凛としている。
頭の中にだけ仕舞われていた"たった10秒間に込められた想い"を歌っているような心許ない歌詞、そんな歌だから口から言葉が"掃き"出されたとき色んな人格の二階堂和美が現れる。声色も変わる。表情も変わる。それでもハミ出てしまった感情は豊かなスキャットで非言語に置き換えられる。わめく。音楽が絡み付いてくる……
最後に披露された"脈拍"という歌を聴いて心臓がバクバクしている自分、不思議と落ち着いていたものの体温だけがどうも。最後の一弦が弾かれて観客からどっと拍手が起こるあの感じ……只ならぬ幸福感と同時にこれからも見届けたい気持ちがフツフツと。
この日は家のメシが100倍美味く感じたっス。
|
mag files : 二階堂和美
胸いっぱいの (05/07/21 @ 新宿マーズ) : review by toddy
|
|
2005
季節がら入り混じりまして: Metalchicks' Pre-release Party feat. メタルチックス,ASA-Chang & 巡礼,にせんねんもんだい,キー (16th Jul. @ 渋谷ラッシュ)
コラム : 環境的音楽"オシリらんNOSIN (16th Jul.)
Interview : 現時点、最高のバンドである理由: ズイノシン (11th Jul.)
HIPHOP苦手でもいらっしゃい: ECD (1st Jul. @ Shibuya O-nest)
白と緑が危険にみえた夜だなぁ: MONG-HANG (18th Jun. @ Shimokitazawa Era)
東京もんが集まるんも、こら〜当然だわ: 破壊宙 vol.2 (12th Jun. @ Shinjyuku JAM)
Interview : あふりらんぽを知りたくないか!?: あふりらんぽ
やんや言うけど、のびのびやって!: あふりらんぽ (3rd June. @ 渋谷O-Nest)
今日ばっかりはひとことで表せない : 新宿ロフト 6th Anniversay "RHYTHM OF FEAR" feat. 生花, メタルチックス, ニルギリス, ズボンズ, レンチ(22nd May. @ 新宿ロフト)
凄く大きい音が出て、そこでマゾンナは...: 新宿ロフト 6th Anniversay "RHYTHM OF FEAR" feat. ザ・原爆オナニーズ、DMBQ and マゾンナ(21st May. @ 新宿ロフト)
い次元ワールド絶タイ楽しいYO=!: あふりらんぽ (20th May. @ 難波ベアーズ)
Interview : アメリカで名を挙げたPeelander-Z: Peelander-Z (17th May)
現実にペタペタ足つけて、踊りたいんだオレは : KAIKOO JAPAN TOUR feat. DJ BAKU、MSC、GOTH-TRAD、DJ KENTARO、韻踏合組合、and more... (13th May. @ 代官山ユニット)
映画レヴュー : 悔恨したオレ、後追いはこれで終わりにしたい!: 『KAIKOO/邂逅』 (22nd Apr.)
Down Beat Delux : ロッキン・イチロー・アンド・ブーギー・ウーギー・スイング・ボーイズ / モダーン今夜 (10th Apr. @ 川崎クラブチッタ)
あがた森魚でぽんポがぽんポンあふりらんぽ : あがた森魚 and あふりらんぽ (9th Apr. @ 青山カイ)
SXSW 編集後記 : (16th - 20th Mar @ Austin TX)
デンジャーMAD爆裂カルテット : DMBQ (18th Mar. @ SXSW05,Club de Ville Austin TX)
インベーダージャパン 〜セカンド〜 : SXSW05特集コラム 第3話 (16-20th Mar. @ Austin TX)
インベーダージャパン 〜ファースト〜 : SXSW05特集コラム 第2話 (16-20th Mar. @ Austin TX)
ロックンロールワークショップ発見 : ピーランダー-Z (19th Mar. @ SXSW05,mojo Austin TX)
なんでSXSWに行ったの : SXSW05特集コラム 第1話 (16-20th Mar. @ Austin TX)
逆輸入はカッコ悪いぞジャパン : エレクトリック・イール・ショック (17th Mar. @ SXSW05,Bigsby's Austin TX)
Mag Special with SXSW05 : (16th - 20th Mar @ Austin TX)
頭ん中フラフラ革命 : モーサム・トーンベンダー GUEST : パニック・スマイル / あふりらんぽ (05/02/25 @ 渋谷 クアトロ)
『エメラルド・カウボーイ』特集 - 第3回 何かでっかいことをしようぜ : 早田 英志 (05/02/20)
驚きの白さ、抜群ケミカルウォッシュ : ザ・ケミカル・ブラザーズ (05/02/12 @ 渋谷 AX)
脳ミソのうしろ側が開いてるのにアフロで隠してる : ザ・マーズ・ヴォルタ (05/02/08 @ リキッドルーム恵比寿)
『エメラルド・カウボーイ』特集 - 第2回 変わった人たちが集まった : 日本脳炎、ギターウルフ and more (05/02/03)
アッシュは煌きシャイニング : アッシュ (05/01/17 @ 渋谷 AX)
『エメラルド・カウボーイ』特集 - 第1回 男、エメラルドに惹かれる : 早田 英志 (05/01/13)
|
|