button ピールアウト @ 渋谷クアトロ (1st Jul '05)

ツアーファイナル、東京。
会場に溢れた"Peace,Energy And Love"


pealout
 なにから描いたらいいんだろう。ピールアウト最後のワンマン。観たこと感じたこと、伝えたいことがたくさんありすぎて、胸がいっぱいでうまく言葉が続かない。一番強く感じて、心に残ったのは会場中に溢れていたPeace,Energy, And Love。これは近藤智洋、岡崎善郎、高橋浩司の3人と、この場にいた人、来れなかった人、いままで"ピールアウト"に関わってきたすべての人の思いが集まったものだったと思う。

pealout  客電が落ち、映画"19"のテーマが流れ、とうとう幕が上がった「PEALOUT LAST STAND 響音 最後の狂鳴」ツアー・ファイナル。ドラム高橋、ギター岡崎、ベース近藤の定位置につくと、すべての音が一旦止まった。闇の中に立つ近藤さんがいろいろな思いをすいこむように、すっとひと呼吸して歌いだした。「夜が明ける瞬間の静寂に……」。静かに、でも激情をともなって三つでひとつの音が広がっていった。

 ピールアウトのライヴの時にいつも感じていたことは、嫌なことや悩んでいることがある時でも3人の音が身体に入ってきた瞬間にうじうじした気持ちが吹っ飛んでしまうということだ。体中の血液が浄化されるような感覚。それは解散が発表されてからも、ラストツアーが始まってからも、今日のライヴでもずっと変わることはなかった。"QUEST"も"THE WAY"も"AGAINST"も…。全力で鳴らされるひとつひとつの音に勢いと力をもらって、曲が進むごとにパワーがみなぎってくるようだった。

 ギター・セットの轟音の中でコーラスを完璧に歌いきるオーディエンスの声が響いていた。同じ気持ちを持って同じ空間を共有するために集まった仲間たち。お互い名前もしらないけれど、こんなに素敵な仲間にかこまれてツアー・ファイナルを観られることは本当に幸せだ。

 「今日は終わらない夜だから」近藤さんが言った。終わらないものがないことは、みんな痛いほどわかっている。だけど、この夜を本当に終わらないものにするために、後悔だけは残さないように、その場にいた全員がピールアウトの音にのって自分のスタイルで楽しむことに全精力をかたむけていた。

pealout  ほぼノンストップという勢いで奏でられる曲ひとつひとつに思い出がある。これまでに観てきた沢山のライヴ、買い集めたCD、始めて曲を聴いたときの衝撃…。その全部が頭の中を駆け巡って笑ったり、泣いたり、飛び跳ねたり、感情のすべてが自然に表に出ていった。

 「1994年6月から始まった4月の旅は今も続いています」。"April Passenger"の前にこんなMCがあった。3人の姿をみていたら、この旅はきっとこれからも続いていく、そんな気になった。道は分かれるかも知れないけれど、またきっとどこかで交わる時がくる、と。ライヴ中、他にもグッとくる言葉を3人からたくさんもらった。"心臓が動き出すとき"での「この瞬間をポケットに入れて持って帰ってくれ!」、"沈黙の開拓者"の歌詞「聞こえてるかー!!」を声の限りに叫んだ近藤さん。今まで回ってきたすべての場所、すべての人に届くメッセージだった。「オレ達がやってきたことは間違ってなかったって、ツアーにきてくれたみんなが教えてくれた」、「初めてクアトロでライヴをやったころと気持ちは変わってない」、「悔いナシ!」、アンコール中に高橋さんが言った「みんなすごいいい顔してるよ! こんなに前向きなラストライヴないよね!」、岡崎さんの「この光を絶対に消さないで」。全部の言葉が本物だったから、全部に胸が熱くなった。

pealout  東京はこのツアー初の2部構成だった。ギター・セット21曲(!!)の後、衣装も替えて始まったピアノ・セット。"PIANOMAN R&R Shake Shake Shakes"で文字通りフロアを揺らせ、もう合言葉になっている「Shout Cool Dance Fool! Shout Cool Dance Fool!! Shout Cool Dance Fool!!!」のシャウトで鳴ったのはもちろんこの曲、"ROLLS"! 初めてこの曲を聴いたときの胸がザワザワする感じを思い出した。こんなに人を惹きつけて巻き込んでいく曲には出会ったことがない。その気持ちと曲のもつ熱っぽいクールさは今も変わっていない。

 テンションがぐんぐん上がっていくナンバーが揃うピアノ・セットの中で、ギター・セットに続いて江崎典利がベースに入った"Circle Of The Metalic Season"、"あてのない手紙"、"One Kick Discharger"の3曲は特別な瞬間だった。札幌はピーくんが、名古屋、大阪ではゴッチンが入って、それぞれその場所でしか出来ないことを魅せてくれたのと同じように、今日江崎さんが入って奏でられた音は東京だけのものだった。

「Yeah!, Oh, Ah, Oh, Oh!」。再び3人に戻ったステージにこの声が響き渡った。フロアも負けじと叫び返す。"GOODBYEBLE"の数分間、何度このやりとりがかわされたのだろう。近藤さんがマイクを手放して自分の声で叫び続け、それに応えて声がかれるまで叫んだオーディエンス。まさに全身全霊の力が交わった瞬間。こんなシーンに出会うことはこれからもないだろう。ピールアウトのファンでいて本当に良かった。

pealout  本編34曲目。これまで何度となくライヴのラストを飾ってきた"爆裂世界"のピアノが鳴った。絶対に後悔は残さない。そういう気持ちで挑んだ最後の曲。激しくて最高にジャンプできるこの曲のサビのループを終わらせたくなくて、もっと記憶に刻みつけたくて何回も「もう1回!」と叫んでいたでいた。それに何度も応えてくれたピールアウト。終わりの瞬間が近づいてるというのに、あっちもこっちも笑顔がいっぱいだった。

 ものすごい拍手の中で始まったアンコール。ファースト・シングル"Let Me Sink In The Deep Reddish Sky"、これを聴かなきゃ帰れない"Beat For Your Right"。2回目は愛情と感謝がこもった"EVERYTHING"、そして"Peace,Energy And Love On Unchained Time"。今日、会場中に溢れていたもの、今までピールアウトからもらったもの(「みんなからもらったものです」と言っていたけれど)がタイトルになったような歌だった。さらに、ドラム岡崎、ギター近藤、ベース&ヴォーカル高橋の新生ピールアウト!?なんて場面も。 こんな時でもしっかり笑わせてくれるところが大好きだ。

 笑いの後はピールアウトの原点ギターセットで本当のラストスパートへ。3人で最初に合わせた曲という"FEEL"の切ない旋律、"I'm Probably A Sin"の鬼気迫るシャウト、そして最後の最後の曲になった"Suicide In Youth"。あっという間に走り抜けたような、ずっと続いていくような時間だった。一生忘れられないアンコールになった。

 2回目のアンコールが終わった時と本当に最後という場面で、揃ってお客さんと向き合い、深々とおじぎをした3人。立ち去りがたいというように、いつまでもファンを見つめている姿が印象的だった。近藤智洋、岡崎善郎、高橋浩司、ピールアウト。本当にありがとう。すべてが終わった後、いつまでも汗と涙と拍手がフロアに残っていた。

pealout  4時間20分、42曲。「最新のライヴが最高のライヴ」という信念はツアー中ずっと貫かれていた。

 最後まで激しくて、熱くて、クールで、ハッピーで、コミカルで、メロディアスで、優しくて、カッコよくて、ロックだったピールアウト。11年間続けてきた「オレ達のスタイル」の集大成だった。

2005年7月1日。ピールアウトを、みた。





-- setlist --

1.瞬間のカーニバル/ 2.QUEST/ 3.The Way/ 4.Jet Desire/ 5.UNHAPPY/ 6.AGAINST/ 7.Like A Seagull/ 8.Lost In Hell/ 9.Lucky Star/ 10.April Passenger/ 11.BE/ 12.10の視界/ 13.響音狂鳴/ 14.Light For You/ 15.New Age Adventure/ 16.YOU/ 17.ソウルライダー/ 18.Summer’s Gone/ 19.沈黙の開拓者/ 20.心臓が動き出すとき/ 21.Touch&Go/ (18〜21 Bass:江崎典利(RUMTAG)) 22.PIANOMAN R&R Shake Shake Shakes/ 23.ROLLS/ 24.PLANET ANIMALS/ 25.HEIDI/ 26.LIFE/ 27.SATELLITE EMERGENCY/ 28.Circle Of The Metalic Season/ 29.あてのない手紙/ 30.One Kick Discharger/ 31.GOODBYEBLE/ 32.FLY HIGH/ 33.Sunday Rainbow/ 34.爆裂世界/ (28〜30 Bass:江崎典利(RUMTAG))

-- encore.1 --

1.Let Me Sink In The Deep Reddish Sky/ 2.WEAPON/ 3.Beat For Your Right

-- encore.2 --

1.EVERYTHING/ 2.Peace,Energy And Love On Unchained Time

-- encore.3 --

0.5.11years(Song by Takahashi Koji)/ 1.FEEL/ 2.God Knows I’m Probably A Sin/ 3.Suicide In Youth

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