ピールアウト @ 渋谷クアトロ (1st Jul '05)
大いなる可能性
中に入ると、クラッシュの"Rudie Can't Fail"がSEとしてかかっていて、それが"Spanish Bombs"、"Right Profile"と続いたので『ロンドン・コーリング』が流れているんだと気付く。それが"Revolution Rock"になったときに暗転してメンバーが登場したのである。その19:30ちょっと前から23:50まで4時間を超えるライヴを繰り広げていたのである。シアター・ブルックの3時間というのはあったけど、単独のライヴで4時間を超えるのは、もちろん初めてだし、これからも滅多にないだろう。
この長時間のライヴには、いくつかのピークがあったのだけど、"SOUL RIDER"そしてRUM-TAGの江崎が参加してからの4人編成での演奏、"心臓が動き出すとき"そして"Toch And Go"で本編(と言っても、それ以降も延々と続くのだけど)が終わるまでの流れと、「第二部」といってよい"PIANOMAN R&R SHAKE SHAKE SHAKES"から"PLANET ANIMALS"や"HEIDI"などを経て"爆裂世界"に至るまでの近藤がピアノを弾きまくるシリーズが、フロアも自分も盛り上がったところだった。
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もちろん古い曲から新曲までいろんな曲をやった。詰め掛けたお客さんも、コール&レスポンスにも応えて、暖かくピールアウトの最後を送るという空気がよく出ていたし、終わってから抱き合って泣いてる女の子もいたりして、幸せなラストライヴの形がそこにあったのだ。膨大なピールアウトの曲(それでも、やって欲しい曲をすべてやったわけでない。そんなにストックがあるのかと今更ながらに驚く)を聴いていて思ったのは、ピールアウトのすべてを誰も見ることはできなかったということである。メンバー自身は、力をふり絞って、やり尽くした感があるのだろうけど、ピールアウトの持つたくさんの可能性を追求することはできなかった。日本のオルタネイティヴ・ロックを確立する可能性、ベン・フォールズ・ファイヴを超えるピアノ・ロック・トリオの可能性、英語詞のままで多くの人気を獲得する可能性、ハードコアでへヴィな音を追求するバンドとしての可能性、ミスチルやスピッツのようにポップさを持ちながら、ロックのフィールドでも評価されるバンドの可能性、美しいメロディで後世まで残る名曲を生み出す可能性……。
これらの中には他のバンドが達成したものもあるのだけど、ピールアウトには、そのすべての可能性があって、その可能性の兆しを見せて終わりを迎えてしまったのである。たとえ今後再結成をしても絶対に見ることのできないそれらの可能性の断片が、この4時間を超えるライヴに詰まっていたのである。
決して復元できないピールアウトの可能性を自らの手で解体して終わらせていったのである。この日のライヴには、ピールアウトが日本のロックを変えることが出来たんじゃないか、そんな希望、驚き、喜び、そして達成できなかった落胆と、悲しみと、潔く去っていく爽やかさと、いろんなものが混ざり合った、あらゆる感情が4時間にあったのだと思う。
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report by nob and photos by saya38
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mag files : ピールアウト (Pealout)
「PEALOUT LAST STAND 響音 最後の狂鳴」レポートを終えて : (05/07/01 @ Shibuya Club Quattro) : review by wacchy,photos by saya38
大いなる可能性 : (05/07/01 @ Shibuya Club Quattro) : review by nob,photos by saya38
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Interview : 『1回ライヴやると寿命が縮まる感じがする』:interview by yzms, photo by q_ta
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