ジャック・ジョンソン with G.ラヴ & スペシャル・ソース @ 東京国際フォーラム (2nd June '05)
自分の席で観やがれ
手当たり次第に音楽を漁っていると、30回に1回くらい、こういう不思議な立ち位置のミュージシャンにばったり出会うことがある。爆音で圧倒させるわけじゃないし、これといって新しいことをやっているわけでもない。なのになぜか心に残る。そんなに頻繁に会えるわけじゃないけど、たまに顔を見せてくれるとやけに嬉しくなる遠い土地の友達のような……。ジャック・ジョンソンにはそんなことをふと思わせる不思議な雰囲気がある。
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そんな古い友達に会えると楽しみにしていた今回の日本ツアー追加公演。ところがショウ自体は素晴らしいものだったものの、今回ちょっと苦言を呈せざるをえない経験もした。前座に登場したのはGラヴ&スペシャル・ソース。素晴らしく豪華なカップリングの割には、客電が落ちてもまだ席はまるで埋まっていない。気にした風もなくメンバーは悠々とステージに現れ、おもむろに演奏を開始する。思えばこの辺からすでに予兆はあった。
ルーズなラップを独特のゆるいグルーヴに載せるGラヴの調子が上がってくると同時に、だんだんとお客も会場に集まりだしてきた。ところがマナーが悪すぎる。着席せず、警備員の制止も聞かずに前に前にと何人もが詰めかける。全席指定のホールライヴですよ? なのに「じゃあ俺も」「私も」ってな感じで、見る間に通路は人で溢れかえってしまった。それでも演奏自体は止めるに忍びないほどいい調子なので、結局そのまま続行。Gラブのハープ演奏の煽りに異常に盛り上がる会場。そしてフィニッシュ。いいライヴだったのに、どこか釈然としない思いが残る。
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セットチェンジの間に運営側から色々対策がなされていた。対応人数を増やし、通路の要所には柵を立ててチェックポイントを設ける。通る時はチケットを見せて通過。一人一人のモラルが高ければ、こんなことはせずに済むのだが……。まあ、仕方ない。さて後は真打ちの登場を待つのみ。ジャック・ジョンソン登場だ。ピアノにはなんとマニー・マーク。うおおおこの時点で確かに興奮はするわ。
が、またしても! 押し留める警備の甲斐もなく、席を離れ前方へと飛び出していく観客たち。終始に渡ってあちこちで小競り合いが起きていた。目の前では信じられないことに、通路が人で埋まったのをいいことにダイブを敢行しようとしていたバカ(たぶん酔っ払い)がいたので、さすがにそれは止めた。基本的にはヤンチャも無茶も嫌いではないのだが、よりによってPA卓の近くだ。どう考えてもやりすぎである。ジャックに掛けて「波乗り」とか下らねえ事いう気だったんじゃねえだろうな。卓の上にでも落ちたらどうすんだ。
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そんな状況であまりライヴに集中できなかったのが残念でならない。ショウの出来は良かっただけに尚更(面白いもので、集中できてなくてもその場にいれば良いライブだったかどうかは体感でわかるもんだ!)。見所も多かったんだよなあ。ジャックとGラヴとのセッションも見ものだったし、本編中盤で飛び入りしたのはなんとトミー・ゲレロ! ジャック自身はウクレレに持ち替えて、その編成でやった"holes to heaven"は夢のようでした。一番好きな曲なんだよ〜。
今回はもうウイルスメールとかが送られてくるのを覚悟で言う。
「ホールの時は自分の席で観やがれ!!」
こんなことばっか繰り返してたらその内演奏止まるし、下手すりゃ公演自体が仕切り直しとかになるぞ、本当に。せっかくあの歓迎ムードや熱気自体は素晴らしいものだったんだからさ。あ、そういやジャック本人は楽しそうでした。それは救いだね。
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report by joe and photos by ikesan
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