新宿フォーク @ 秋葉原グッドマン (29th May '05)
祝!バンド名復活
久々に新宿フォークを観る。その間に、バンド名を「(the)FullSpeed00」に変えたのだけれども、結局、元の名前に戻ることになった。ソウルやR&Bにどっぷり漬っている今のバンドは「フォーク」とは言えないんだけど、新宿フォークという名前に親しんでいたので、名前が戻って嬉しい。だけど、一方でバンド名って難しいなとも思う。2人になってもピチカート・ファイヴなのかとか、ティアーズはスウェードと名乗らないのかとか、ビーチボーイズ、ビースティーボーイズ、少年隊はこのまま老衰で逝っちゃったらどうするんだとか、バンド名と実態とのギャップは付きものであるのだろうか。
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この日のライヴは秋葉原グッドマンで、オタクの聖地である電気街の喧騒とは反対側の静かなところにあるライヴハウスだ。1階が楽器屋の地下にあり、キャパシティは200人くらいで、バー・カウンターが充実していて好みのハコである。セットチェンジ中は、さすがアキバだからか、モニターに特撮や特撮のパロディが映し出されることが多いのだけど、この日は『世界の中心で、愛をさけぶ』の映画版が映っていた。おれは『セカチュー』なんか観たことないんだけど、森山未來が叫んでたり、長澤まさみが鼻血出して倒れたりしたから、おそらく『セカチュー』なんだろう。秋葉原グッドマンで『セカチュー』というのも逆に面白い。
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この日の新宿フォークは、よりバンドとしての一体感が出てきているように思えた。今までサポートだったドラマーとギタリストが正式にバンドに入って、サポート以上の働きを見せてくれたのだ。今までの曲のアレンジも変わって、より粘りつくような黒い音になっている。ヴォーカルの小田切は、だんだん去年からファンキーダイナマイトと化してきたけど、ますます磨きがかかり、ジェームス・ブラウン風のマイクスタンド・アクションもサマになってきている。キーボード担当の大久保を囲む鍵盤の数も増え(ひとつは年代モノと思われるアナログシンセのようだ)音も多彩になってきた。
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そして歌われるのは、まるでドラマの一場面を切り取ったかのように、情景が頭の中に浮かぶストーリー性のある歌なのだ。「声を出したら彼氏に聞こえちゃうよ……」と最高にスケベなシチュエーションを粘っこいファンキーな曲にした"合同合宿"、終電間際の駆け引きを描き、堂々たるソウルバラードに昇華した"キス"など、それっぽい音楽をそれっぽい歌詞にまぶしたお手軽なものでなく、ファンキーであることと日本語で歌うことが不可分になっているのだ。"ベイビーソーキュート"では「出生率の低下について語ろう」と怒濤のファンクをバックに歌われるのだけど(まあ、「計画立てて、ち○ぽも立てて」とも歌われるわけだが)、それがすんなりと違和感なく入っていけるのは、音と言葉が密接に結びついているからだろう。
そして、この日のハイライトは、やっぱり"27番地"。一部の歌詞やアレンジが変わったけど、美しいピアノの音色に導かれて始まり、演奏が徐々に盛り上がり、クライマックスでは、キーボードから火花が吹き出す展開はいつ観ても素晴らしい。一転してポップで軽やかなな"会えたね"で本編を終える。そしてアンコールに応えて"準急"。「準急の止まらない駅」が舞台に「僕」と「君」と「あいつ」の関係が歌われ、ショートドラマを観ているような曲になっている。こういう言葉への細やかな感覚は、やっぱりフォークが培ったものであり、音がどうなろうと、やっぱり彼らは「新宿フォーク」でいいのではないかと思うのだ。
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report by nob and photos by sama
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mag files : 新宿フォーク (新宿フォーク)
祝!バンド名復活 : (05/05/29 @ Akihabara Goodman) : review by nob, photos by sama
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