ネクラポップ/ザ・キャプテンズ @ さいたま新都心VOGUE (26th May '05)
さいたまの夜
東京の人間はよほどの用事がなければ、観光やスポーツ観戦以外で埼玉に行くことは滅多にない。当然ながらほとんどの用事は東京で済むからだ。埼京線の北与野という一生に一度降りるかっていう駅を降りると、なぜか知らねど、そこは埼玉。駅前に巨大な本屋があったり、ちょっと進むと、さいたまスーパーアリーナが右手に見えるのだけど、盛り場的な要素が無いところである。
そんなところに、さいたま新都心VOGUEというライヴハウスがある。VOGUEだけあって、ハコの雰囲気は宇都宮VOGUEに似ている。って、どれだけの人に分かってもらえるかわからないけど、200〜300人くらいは入るライヴハウスで、スケジュールを見ると結構名の知れているバンドがライヴをやっているのだ。
さて、キャプテンズの前に面白いバンドがやっていたんで、ちょっと触れておく。ネクラポップというバンドで、ヴォーカル&ギターはカート・コバーンのワナビー感が強く漂う。ギターにはニルヴァーナのステッカー、着ているシャツのタグは敢えて外さずというグランジな出で立ち。もう一人のギタリストは長身で小山田圭吾顔でボーダーシャツ、ギターはフライングV。ベーシストは、ずっとチュッパチャップスを口にくわえ、ニュー・オーダーのフッキーのようにやたらと低いポジションに構えてベースを弾く。ドラマーはちょっとセクシーな女ドラマーで、元DMBQの吉村とか惑星の平田のイメージに近い。ドラミングも彼女たちと同じようにパワフルである。
そんな彼らがまず、歌い出すのが「ニルヴァーナ、サウンドガーデン……、(途中聞き取れず)サンボマスター……」と単にバンドの名前を羅列する歌詞なのだ。そんなスッとぼけた出だしからグランジなギターが炸裂する展開がよい。ヴォーカル君のギターの弾き方は、カートの特徴をよく捉えている。次の曲でヴォーカル君がギターを置くと、腕を後ろに組んで歌い始める……言うまでもなくリアム・ギャラガーだ。要するに90年代中盤にロッキンオンを読んでいたそうなバンドなんである。他にもシューゲイザー的にギターノイズが響く曲なんかもあって、90年代のUS/UKギターロックを現代日本で展開しているわけで、アジカンがその代表例だろうし、グランジの感覚を日本の風土と地続きで表現できているのが髭(ディスクレビュー)なら、このネクラポップというバンドは、そうした空気の中で出てきたバンドだろう。興味が沸いたんでCDを買ってみた。
ネクラポップのCD 『ネクラポップ』近日発売
シングルCD 『あるまじき行為』 MAXI
ミニアルバム 『人間の屑』
で、キャプテンズ。傷彦のテンションはとてつもなく高く、フロアに注がれる視線の強さに射抜かれる思いだ。東京でのライヴと比べ、お客さんの人数はもう一息なんだけど、いつもと変わらぬ気合いの入ったライヴだった。
まず、"恋のゼロハン"から始まり、"青春ゴーゴゴー"、メンバー紹介を経て、"失神天国〜恋をしようよ"、"恋は赤道直下"、最後は"夕焼けサンドビーチ"という曲順。このツアーでは、メンバー紹介から"赤道直下"までの流れが自分が観た限りずっと同じで、あとは他の曲を入れ替えているようだ。メンバー紹介で毎回ヨースケが気合いの入った一言を叫ぶのだけど、今回は「ロックンロールで新都心を作ろうぜ!」だった。
この日は、スピード感ある曲が多かったので、あっと言う間に演奏が終わってしまったような気もしてしまう30〜40分であったけど、気迫の籠った演奏で中身は濃かった。このライヴハウスの音の良さもあって、演奏がダイレクトに届くような手応えがある。今の彼らは、いつ観ても外れがないし、ロックンロール好き、ガレージ好き、GS好き、王子様好きなど、多くの人に薦めることができる。お客さんもいろんな年齢層が来ていて、オジさんと言ってもいい年齢の人たちもスーツ着て来ている。まあ、場所柄、お客さんがフロアを埋め尽くすほどではなかったわけで、その代わり、傷彦が失神してからどんな顔して起き上がるのかが分かって面白かった。ヒザシの呼び掛けに、うんうん、とうなづいて起き上がるのである。パフォーマンスは手を抜かない、この熱の高さは今が伸びていく勢いの成せる業なんだろうか。
いよいよツアーも終盤になり、キャプテンズの音やステージングがより磨かれたものになっていく。この夏に向けてさらなる加速がついていくのだ。見逃せないライヴになっているんで、近くに来たときには是非観て欲しい。
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