ザ・50回転ズ/ザ・ヤング @ Shibuya Crocodile (10th Apr '05)
君はザ・50回転ズを観たか?/ジョーイ君は日本の宝
渋谷と原宿の間にあるクロコダイルというライヴハウスは、椅子に座りながら飲んだり、食事したりしながらライヴを楽しむところである。そんなライヴハウスに「ザ・ヤングのファンキー100分」と題した企画が行われた。この日は3バンド出演したのだけど、その内のザ・50回転ズとザ・ヤングを取り上げたい。
【ザ・50回転ズ:ミッシェルガン・エレファントを演奏するお笑い芸人】
ザ・50回転ズは、大阪の富田林から来た3人組のロックンロール・バンドなんだけど、吉本の芸人がミッシェルガン・エレファントをカヴァーしているような感じなのだ。いきなり疾走感あるガレージなロックンロールをぶちかます。彼らの音は、ドクター・フィールグッドからミッシェルガン・エレファントというガレージの系譜に位置しながら、彼らのルックスは、マッシュルームカットに青いモッズスーツでなんだけど、そのまま、なんば花月に出てもおかしくないくらいの顔がコテコテのお笑い芸人顔なのだ。写真がないのが非常に残念である。つまり、正統的なガレージと正統的な大阪のお笑いが交差したところで、とてつもないヘンテコなバンドが生まれたのである。
そして歌詞も素晴らしい。「50回転、50回転、50回転〜/60回転より少ない/70回転より少ない…」どうですか、このスッキリとした気持ちになる言葉の連なりは。「オレたちはこんなバンドです!!」という宣言のような歌である。その一方で、もろ演歌調で(だけどもギターのささくれ具合はガレージの)「夜の天王寺で降りて/次の駅まで歩いた…」と歌う"天王寺エレジー"の、和風な叙情とガレージが合体したのは、ミッシェルでいえば"武蔵野エレジー"の大阪からの回答のようである。
メンバーは、ギター回転:ダニー、ベース回転:ドリー、ドラム回転:ボギーと、まるでギターウルフだし、キングブラザースなんかとも共通するところは多い。ただ、何よりも大阪を強烈に感じさせるルックス、歌、MCは、他にあり得ないものになっている。
【ザ・ヤング:誰でも乗れるソウル・トレイン】
終わると、セットチェンジの間には、再結成したゴールデンカップスのライヴビデオが流れる。そしてザ・ヤングが登場する。いや、もう素晴らしい。ヴォーカルのジョーイ君は日本の宝とすら思う。彼の澄んだソウルフルな声は、ジャパンタイムスに「Joey is the Japanese James Brown」と評していたけど、ジェームス・ブラウンのようなハスキーさとか太さよりは、マーヴィン・ゲイの方が近いような気がする。
まずは"ハ・ハ・ハ"(原曲はHuey 'Piano' Smith & The Clowns)から始まる。途中、ゴールデンカップスのカヴァーで"人生は気まぐれ"と"愛する君に"と"本牧ブルース"を3連発。これを聴けば、このバンドの凄いところが余すところなく分かるはずと思うキャロル・キングのカヴァーで"Smackwater Jack"。原曲をめちゃくちゃファンキーに改造してしまうという大胆さに驚く。かと思えば、ビリー・プレストンの名バラード"You Are So Beautiful"をオーソドックスにカヴァーして泣かせるのだ。
他、ファンクあり、リズム&ブルースあり、歌謡曲ありの幅の広さがあるし、ベースのマオとドラムのホセは熱く、ギターのゆいとター坊はクールという組み合わせの演奏陣でジョーイを守り立てる。何よりも、相当マニアックにソウルやリズム&ブルースやGSを聴き込んでいるのが分かるのだけど、そのような知識がない人でも、つい引き込まれてしまう魅力が、このバンドにはある。例えば、日本で歌が上手いといわれている人――美空ひばりでも(ぐっと時代は下って)平井堅でもいいけど、音楽マニアでない普通の人が、一聴して「良い!」と感じることが出来る間口の広さがある。
本編最後は、オーティス・レディングの"Try a Little Tenderness"。もちろん、オーティス並みに歌ってるなんて言わない。言ったら神の領域に近付いていると同じことだから、さすがに、そこまでではないけども、こんな大ネタに果敢に挑戦する心意気が嬉しいじゃないですか。しかも、ひねったアレンジとかも無し。そして、アンコールに応え、やる曲をお客さんと相談しながら決めて、長く盛りだくさんのライヴを締めたのだった。
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