buttonTete @ Shinsaibashi Club Quattro (15th Mar. '05)

語りかけると、彼の音楽がわかります


Tete TeteTete
Tete Tete
Tete Tete
Tete Tete
 「みなさんも、ぜひ語りかけてみてください。そうすると彼の音楽がわかります」 そう言ったのは、この日のオープニング・アクトだったcutman-boocheのタスク。

 1975年セネガルの首都ダカール生まれ。2歳で母親とフランスに移住したテテ(というのは幼い頃からの愛称なのだそうだ)。「フランス 人、というより《移民の第3世代》としか言いようがない」「アイデンティティがな いのが、ぼくのアイデンティティ」 そうインタヴューなどで事あるごとに言ってい るように、楽曲には、フランス社会の表層から深層を漂うような、どこかシニカルで 客観的な視線がある。

 日本でのデビュー作となった2ndアルバム『ア・ラ・ファヴール・ドゥ・ロートン』では、1st『レール・ドゥ・リヤン』の3ピースを基本にしたシンプルなサウ ンドから一転、ストリングスやメロトロン風のアナログシンセの音色、アコーディオ ン等が華やかに彩りを添えている感があるのだけれど、そんなサウンド・プロダクショ ンの印象からか、はたまたルーツとして、ビートルズからボブ・ディランジミ・ヘンドリクスボブ・マーリィ、アメリカ南部のブルーズやフォークが垣間見えるのに、どこかユニークな音楽性が共通している感じがするのだろうか、テテを「フランスのレニー・クラヴィッツ」と称する向きもあるほど。それ以外にもジャズやヒップホップ、それにもちろんゲンズブール的な要素もユニークなセンスで飲み込んだ、カシミアのような暖かな手触りの「黒さ」にオマーなんかを想起したのだが、どうだろう。

 だがギター1本を手にしたたった1人のステージは、フランス語の詩的なシラブルと変拍子的な韻、豊かに響くギターに乗せられて、テテの音楽のもつ簡素さ故の奥行きを十二分に堪能できるものだった。そして積極的に観客とコミュニケーションをはかる姿勢。それに応じているのは、NHK『フランス語講座』でフィーチャーされていたこともあってか、ヴェニューを埋めたコンサヴァトゥールな雰囲気の女性の観客だ。「ア・ラ・ファヴール・ドゥ・ロートン(秋が来たから)」「ラヴ、ラヴ、ラヴ」といったキャッチーな曲では、フロアからコーラスが聞こえてくる。

 テテの表情は、今、こうしてステージに立っていることが、とてもアメージングだと言わんばかり。そんな彼の音楽もアメージング。「語りかけると、彼の音楽がわかります」 そうだ。音楽には、言葉を超えた力がある。そんな暖かな一体感に満ちた一夜だった。そしてアンコールには必ず歌われるという「レデンプション・ソング」には、カリブ海やアフリカに点在するフランス海外県や旧植民地のコロニアルな風が感じられた(来日前はマルチニークやレユニオン島をツアーしていたのだとか)。様々な人がカヴァーする「レデンプション・ソング」を聴いてきたけれど、例えばイギリスの名物料理が現実にはカレーであるように、それもフランス的と言えるのかもしれない。

 (取材協力 : メタカンパニー / Plankton

Opening Act--> cutman-booche

report and photo by ken


buttonmag files : Tete

button語りかけると、彼の音楽がわかります : (05/03/15 @ Shinsaibashi Club Quattro ) : report and photo by ken


The official site

Tete

http://www.teteonline.com/


The latest album

Tete

『A la faveur de l'automne』
( 国内盤 / US Import )

previous works

『L'AIR DE RIEN』(国内盤 / UK Import


check the albums?

search:
Amazon.co.jpアソシエイト

button2005

button有山じゅんじ (25th Feb. '05 @ 安治川ヒポポタマス)
buttonおんなボーカル歌合戦 : feat. FREE FROM DISGUISE, shiba in car, ひでこりべるたんset, WEDNESDAY_EVE : (13th Feb @ Namba Bears)
button心象風景のピアノフォルテ /
photo report : リクオ : (30th Jan @ Juttoku Kyoto)
button世代を超えた贅沢な一夜 :
ありやまな夜だ!! 新春スペシャル feat. 有山じゅんじ, ムーヤン, saigenji, 高田 漣, TOMOVSKY, リクオ : (28th Jan @ Chicken George Kobe)
button10年分のイャサ、ホォヤ : 『つづらおりの宴』feat. ソウル・フラワー・モノノケ・サミット、山口洋他 : (16th Jan @ 長田神社)

button2004

buttoniphoto report : 矢野沙織 (18th Dec. @ Osaka Royal Horse)
button「ザ・クラッシュ→フェルミン→ベタガリ」 : BETAGARR, GELUGUGU, COBRA (12th Nov. @ King Cobra)
buttoninterview : 続 : 極東戦線異状あり : 中川敬 (Soul Flower Union) (12th Nov.)
button日本とキューバ、新しい才能の共演 : 矢野沙織 with ALEX CUBA BAND (28th Oct. @ Shinsaibashi Club Quattro )
buttonCD review : 『Humo De Tabaco』 : ALEX CUBA BAND (19th Oct)
button愛おしいファド ?カティア・ゲレイロという響き : Katia Guerreiro (28th Sept. @ Shinosaka Melpark Hall )
button旨い酒のように : Soul Flower Union (26th Sept. @ Shinsaibashi Club Quattro )
buttoninterview : 極東戦線異状あり : 中川敬 (Soul Flower Union) (20th Sept.)
buttonCD Review : Nas Maos Do Fad - ファドに抱かれて : Katia Guerreiro (6th Sept.)
buttonかわちながの世界民族音楽祭 〜トランス・ヨーロッパ・フェス〜 : FANFARE CHIOCARLIA, THINK OF ONE and KiLA (29th Aug. @ Kawachinagano Lovely Hall )
button波の音が聞こえない : Jack Johnson & Donavon Frankenreiter (4th Aug. @ Namba Hatch )
button謙虚さと幸福のカタルシス : FERMIN MUGURUZA KONTRABANDA in Radical Music Network Festival (27th July. @ Club Chitta Kawasaki )
button侘び寂び : Cat Powerand Women & Children (1st Jun @ Shinsaibashi Club Quattro )
buttonローマ -ベティ・イサンゴ・ドゥグ・ビルバオ- : Street Beat Festival (18th Apr. @ Piazza dei Tribuni in Rome )
buttonミラノ -ボブ・マーリーとジョー・ストラマーと- : Street Beat Festival (17th Apr. @ Leonkavallo in Milan )
buttonボルツァーノ -bad dog outside!- : Street Beat Festival (16th Apr. @ Ku.Bo in Bolzano )
buttonボローニャ -赤い街から煙る街へ- : Street Beat Festival (15th Apr. @ Estragon in Bologna )
buttonフィレンツェ -日本にはない空気- : Street Beat Festival (14th Apr. @ Auditorium Flog in Firenze )
button祭りだ、祭り : Shibusa Shirazu (10th Mar @ Shinsaibashi Club Quattro )
buttonポストモダン・ニンジャたちに時代は追いついたか : NINJA TUNE (4th Mar @ Osaka Mother Hall)
button沖縄小旅行〜国際通りの喧噪と喜納昌吉&チャンプルーズ、基地の町嘉手 : (Mar @ Okinawa)
button泥酔エンターテイナー : Gaz Mayall (13th Mar @ Osaka Big Cat)
buttonAmore E Odio : Banda Bassotti (3rd Apr.)
button僕たちはみんな同じ血の色をしている : Soul Flower Union (9th Mar @ Osaka Banana Hall)
buttonこれほど罪深いものは、ない : Ben Harper & The Innocent Crimiinals (1st Mar @ Namba Hatch)
buttonこの瞬間に存在するドキュメント : Meganoidi (7th Feb @ Osaka Big Cat)



無断転載を禁じます。The copyright of the photos belongs to Kentaro "ken" Kodama. They may not be reproduced in any form whatsoever.counter
==>Back To The Top Page : JPN / ENG.