
終演後、少しだけSIONに会って話ができた。「最近昔より歌詞が暖かくなりましたね」というと、「尖ったものより、丸いものの方が強い時もあるじゃん」と、作り置きじゃない答えがさらっと返ってきた。気さくに笑いながら。イカしてた。レコード会社も移籍して心機一転、今年はアコースティックでの全国ツアーも予定しているという。これを読んでるティーンネイジャー達よ、ファースト・フードに飽きたら、たまにはそんな所にふらっと遊びに行くっていうのもどうだい(なんとSIONのライブは学割があることだし!)。「こうなりたい」と思わされちまうオヤジがそこにはいて、飽きのこないその味に意外にハマっちまうかもしれないぜ。 |
さてさて、そのSIONの店が久々に開くというので、今日も常連さんが沢山やってきた。客層は30代くらいが多い。カメラマンのQ太が「あんまり若すぎるとさ、やっぱちょっと難しいよね。この良さを理解するにはさ」と言ってたが、その話がまるで大根のほろ苦さはだんだんわかる、みたいに聞こえて可笑しかった。確かに、ぼくの場合でも10代の終わりにSIONを聴き始めて、真に“染みる”ようになったのはその数年後だ。だけど若いキッズにもぜひ聴いて欲しい音楽だと思う。聴くべきだ、とさえ思う。もしもいい歌を聴くことが自分を豊かにすると思うのなら。
歌詞が染みるのだ。それも半端ではない。泣きたくなる。ライブ会場でもはっきりと聞きとれるその言葉のひとつひとつが、胸の中の理屈じゃない部分に遠慮なく飛び込んでくる。流行りの甘ったるい味じゃなく、でもどこか優しく、懐かしく、ほろっとさせられる味。忘れかけていた大切な風景が鮮やかに目の前に甦る。大袈裟じゃないぜ。どうだい、ハイ・スタンダードばかり聴いてた君も興味が出てきただろ?(おれもハイスタ大好きだけどさ)
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