The Dirty Dozen Brass Band and The Benevento/Russo Duo @ Shibuya Club Quattro (28th Feb. '05)
The Dirty Dozen Brass Band
「いち参列者のコメント」
来たぞキタぞニューオリンズからDirty Dozen Brass Band(以下DDBB)がやってきたぞパンク勃発の1977年に結成された30年選手が来たんだぞ・
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まずはとぐろをまいたスーザフォンが出て来たよよく見ると表面はデコボコしているぞこれこそが叩き上げとでも言いたげだ・トロンボーンは手足が長く細身のスーツさえ着ればきっとメンインブラックにもなれる・トランペットは大と小そしてノーマルという三つのサイズを用意しているぞ・バリトンサックスは黒いデストロイヤー仕様のマスクで登場しオーディエンスの視線を顔面に受けまくっているがそればかりに気を取られることなく日本のお守りをぶらさげてることに気づいた者は果たしてどれくらいいるかな・
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テナーサックスはギョロ目だ偉大なサッチモ(Louis Armstrong)のギョロ目もこんな感じなのかな・ドラムスは赤いヴェルヴェットのカーテンを背にデーンと座れるんだありゃ気持ちいいだろなぁ・ギターは振る舞いも何もかもがジェントルマンだよ・そんなキャラ立ち度合いからすでに圧倒され飲みこまれていた2005年2月の最後を飾るDDBB@渋谷クワトロ。
以上、ワガママにつきあってくれてありがとう。
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レポートにおいて「読みやすさなんていっそのこと無視してしまいたい」と思ったのは初めてだ。ライブの密度が濃かった。詰まっていた。どうせなら妥協点として使用した、専門用語で言うところの「ナカグロ」つまり「・」も省きたいほどだ。
曲の全てが繋がってたのだ。「あぁ、何だか終わりそうな雰囲気だぁ、もっと…」と思った瞬間に誰かしらが抜け出して、再びアッパーなメロディが隆起する。実際には曲が終わったとしても、オーディエンスのハンドクラップが間を繋いでいた。ずっとそんな調子だったから、曲だけでなく、本編とアンコールの区切りすらなかったとも言えるだろう。
付け焼き刃の知識で誠に申し訳ないんだが、DDBBの陽気なダンス・チューンのルーツとなったのは、セカンドライン・ファンクといって、葬列で騒ぎながら死者を弔う音楽。世の中にはいろんな文化があるもんだ。今回は誰が死んだって訳じゃあない、ただ、ニューオリンズ文化の伝道師集団として、彼らが、目の前のステージに立っていた。
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登場も一番手なら音出しも一番手だったスーザフォンは、船の汽笛を連想させる低い音でベースラインを奏で、控えめなギターはArchie Bell & The Drellsの『Tighten Up』(スクービー・ドゥのメンバー紹介は決まってこの曲)のように反復するリフを淡々と弾き続ける。そこに目立ちたがりなホーン隊が絡んでくると、昔のJBならば本能で細かな高速ステップを踏んでしまうであろう、黒い、ファンキーな音世界が生まれる。体感する前は先入観というものが確かにあったのだが、いつの間にか遥か彼方へ消え去ってしまい、心がけるはとびきりゴキゲンなオヤジ達の一挙手一投足を見落とさないことのみとなっていた。彼らがライブで生み出す音のバイオリズムは、まるで驚いた時の心拍数(急激な上昇とゆるやかな下降)みたいであるから、こちらもいちいちハイになり、冷静さなど保てやしない。
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フロアにいたDiana Ross似の女性を誘い、腰をくねらす18禁なダンスのサービスにも、オーディエンスは黄色い声援を贈りながら踊り続けることで、絶倫エナジーを少しでもわけて貰おうと躍起になる。ごくごく自然の流れでね。
時折、野生動物らしき鳴き声を真似るんだが、ステージ上で叫ばれていた「Africa!」の言葉に相応しい、密林に住むオナガザルや、小鳥のさえずり。さらには、Bob Marley 『Get up, Stand up』の一節も持ち出してくる。ギターにエフェクトがかかっておらず、ホーンで彩られた "Get〜" は、裏打ちではないにしても、Bobの原点・スカを連想させ、その発展形であるレゲエと、DDBBが教えてくれたセカンドライン・ファンクによって、僕の頭の中には3者それぞれを結ぶ美しいトライアングルが浮かんだのだ。
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report by taiki and photo by maki
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