The Dirty Dozen Brass Band and The Benevento/Russo Duo @ Shibuya Club Quattro (28th Feb. '05)
The Benevento/Russo Duo
「インプロはつくづく贅沢だと思う」
TPOによって姿を変える即興演奏は、まさに意地の張り合い。キーボード、マーク・ヴェネベントの基本路線はハモンドオルガンで、ドラムスのジョー・ルッソはスティックをブラシやマレット(木琴等を叩く様なスティック)に持ち替えたりして、楽曲に表情をつけていく。打ち込みのリズムを生み出すパッドがドラムセットに組み込まれており、要所で叩き変化をつける。新しいものを貪欲に取り込もう、という意思が露骨に現れていて良い。
|
ゼウス(神)とまでは言わないが、タガがはずれた「破壊」と、ゆったりとした「創造」のイメージが一つの曲に同居していたりと、非常に面白い。「ロザリオスが打ち込みを導入しましたよ」と誰かれにふれこみながら楽曲を聴かせても、疑われることはないだろう。ジョーの求心力は中村達也に匹敵するだろうし。面白いことに、ジョーのスティックさばきは早すぎて、何度も折れたと錯覚した。誰でも一度はやったことがあるんじゃないか、鉛筆の端を持って振ったら曲がって見える遊びを。それの最上級は「折れて見える」だった。
|
また、EL&Pの『Hoedown (Taken From Rodeo)』を簡潔化し、いちげんさんでもすんなりとのめり込めるように再構築した楽曲に、the Benevento / Russo Duoを知らない、Dirty Dozen Brass Band目当てで飛び込んだオーディエンスの目はさらに丸くなる。難解だと思われやすいプログレへの足がかりとなるのは、案外「すげぇ…」の一言だったりするのかも。インプロヴィゼーションで組み立てるヤツらってのは、例外無く楽しそう。オーディエンスのツボに照準を合わせるんではなくて、好き勝手やっても、たとえ裏切りの展開に持ち込んでも盛り上がるんだから。これこそ、ミュージシャンの一番贅沢な姿でしょ。
|
report by taiki and photo by maki
|
|
|