The Chemical Brothers @ Shibuya AX (12th Feb. '05)
驚きの白さ、抜群ケミカルウォッシュ
「もう二度と観るか」と思っていたユニットのライヴをまた観たのだから、ボクも男らしくないというか往生際が悪いというか。じつは2002年のフジロックで初めてケミカルを観て「つまんない」と思って以来興味が薄れていたことを先に告白しておきたい。その時のライヴを最高というひともいれば酷いというひともいて、ボクはダンスアクトなのに一曲ごとが別々であるような、あの途切れ感が嫌だった。『COME WITH US』発売以来のライヴだったあのときはセットリストが物凄くキラーチューン連発で、曲に対しての熱は上がったが流れとしての熱は断続的であった。
しかし今回のアルバム『PUSH THE BUTTON』をお聴きになった方はご存知だろうが、凄く地味になった。アンビエントとすら感じるし、音数が圧倒的に少なく感じる。これはトラックメイカーとしての彼らが、トータルで勝負しようとする意思の表れではないかとボクは感じていた。そんなことを頭の片隅に置きながら、自分の近辺で「最近のケムズはホント凄いよ」という声が囁かれるようになったことがきっかけで、遂に重い腰を上げてみたのである。それが今回の公演。
会場はAXというのがまず驚き。もちろん超満員である。電球がピカピカ光るヘルメットを被ったひとがいたり、踊る気満々な格好のネエちゃんが大勢いたりと、この日の期待度は想像以上に高いようだ。開演時間までは朝霧の時もついてきてたJames Holroyd君がそつなくDJプレイをこなす。しかし、曲が終わる度に起こる歓声は明らかに「ケミカル早く出て来い!」のそれであることは観客全員が感じていることだったろう。オープニングDJも大変です。
ついにケミカル登場という時、ステージに異変を感じたひとは多かったと思う。なぜならお馴染みの巨大スクリーンが見当たらないからだ。申し訳程度に低いところへ置かれたふたつのモニターは小さいし見づらいし「AXだとこんななのか!?」と少なくともボクは肩を落としていた。そして"HEY BOY HEY GIRL"、"GET YOURSELF HIGH"とヒットチューンが初っ端から繰り出されたというのにボクは愕然としていた。2002年の二の舞のような気がしたからだ。しかし、サプライズは用意されていた。
新曲"GALVANIZE"の時である。「幕開け!」というイメージが強いあの曲で、文字通り幕が開けたのでそりゃ凄い盛り上がった。ステージ後方の黒い幕が左右に開いて巨大スクリーンが現れたのだ。そのときの驚きと轟く"GALVANIZE"のサウンドがミックスされ、アがりは筆舌に尽くしがたい状況へ突入した。そこからはボクとしても能動的にアがっていって、事実このとき辺りから観客の熱量はハンパじゃなかった。踊るスペースが無いくらい。しかしそんなことすら最高に思えるほどの狂熱が会場を覆っていた。
中盤、New Order"TEMPTATION"から"STAR GUITAR"への究極コンボミックスが披露され、彼らは最高にハッピーな空間を演出し一旦終了モードとなる。"STAR GUITAR"はホント素晴らしい名曲だ。続く"SURFACE TO AIR"は新作『PUSH THE BUTTON』の隠れた美曲で、ここから始まったアンビエントな雰囲気と以降のトランス気味でバウンシーな展開が今までに無い"途切れない"流れを演出していて好感の極み。ぶち色だった彼らのイメージが真っ白になった瞬間であった。感無量の観客に祝福され彼らはステージを去った。
この日のケミカルは最高に素晴らしかった。明らかに何度目かの絶頂期を迎えていると思う瞬間がいくつかあり、今まで敬遠していた自分が悔しくなった。ボクみたいなひとがいたら次は絶対に観に行った方がいいですよ。
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report by toddy and photo by ryota
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