The Chemical Brothers @ Shibuya AX (11th Feb. '05)
ケミカルブラザーズの到達点
いろんなことを言う前にこの日のケミカル・ブラザーズは最高だったと言いたい。もう、他のことはどうでもいいと思うくらいだった。これまでに何回もケミカルを観ていて、この日も今までのライヴと比べ大まかな構成はそんなに変わってないにも関わらず、また新たな感動を体験できたのだった。
新しいアルバム『Push the Button』が自分にとってはいま一つのものだったので、ライヴはどうなるのかと、期待と不安交じりで渋谷AXの扉を押したのだけど、そんなものはライヴのあとでは吹っ飛んでいってしまった。
始まる前はオープニングのDJが4つ打ちを中心に回し、ときには強引なつなぎをしたりしてるうちに、お客さんたちは徐々に盛り上げていった。19:15頃照明が落ちて、いつものようにビートルズの"Tomorrow Never Knows"のカヴァーが流れ「Turn off your mind, relax and flow downstream/It is not dying, it is not dying/Lay down all thoughts,surrender to the void・・・」そして「surrender to the void」という箇所がリピートされ、さらに「サレンダァ〜」と何度も繰り返し、あのイントロが聞こえてくると満員のお客さんたちが歓声を上げる。"HEY BOY HEY GIRL"で「Here we go!」と拳を掲げてフロアは熱狂の渦へ。ここから凄まじい音圧とグルーヴの奔流がAXの中を駆け巡る。そこから"GET YOURELF HIGH"につなぐと今度は宇宙人が攻めてきたような大量のレーザービームが放たれる。続けて"BIG JUMP"とアッパーで攻め、休まる暇なく踊り続ける。
ステージには城のように築かれた機材に囲まれたトムとエド、その2人の背後に2つの小さなスクリーンがある。音とシンクロした映像にも期待される彼らのライヴにしては小さいし、前にある機材で見にくいと思ってたら、"GALVANIZE"でステージ背後の幕が開き、巨大なスクリーンが姿を現す。AXで行われたライヴの中では一番大きいのではないだろうか。度肝を抜かれる間もなく、今までに体験したことのないくらいの凄まじい低音が襲いかかってくる。いや、旧BLITZで観たオーディオ・アクティヴ以来か。でも一番後ろにいてあれだけ、体まで震えるのだから、今までで最高の重低音だったのだ。会場中が震えて、"MUSIC:RESPONSE"へ。スクリーンには男がコミカルな動きをしたり、ピストルを自分の頭に当てて引き金を引く、お馴染みの映像が映し出される。そしてビッグビートカムバックアゲイン!と"BLOCK ROCKIN BEATS"でさらに盛り上がり、"LEAVE HOME""COME INSIDE""UNDER THE INFUENCE""IT DOESN'T MATTER"とダレることなく踊り続ける。この辺は一つのかたまりのような感じだ。
そして"OUT OF CONTROL"は、バーナード・サムナーのヴォーカルの断片が散りばめられた、いつものライヴ仕様だ。そしてニューオーダーの"TEMPTATION"をイントロとして"STAR GUITAR"へ。このポップでサイケデリックでドリーミーな音楽は何と呼べばいいのだろう?フロアのほとんど全員がブレイクで腕を挙げたのではないかと思うくらいピースフルな瞬間だった。
これで前半終了という感じで、仕切り直しで"SURFACE TO AIR"の"SUNSHINE UNDERGROUND"に変わるような、じわじわと盛り上がっていく曲、そして馬の映像がお馴染みの"HOOPS"、"BELIEVE""ACID CHILDREN(EBW7)と続き、"GOLDEN PATH""SLOW BUT GRIND"で締めた。ひとつのまとまりのように次から次へと音が映像が照明がレーザービームがお客さんたちに浴びせまくり、踊るのを止められないのだった。
アンコールは"GOT GLINT"、そして、もちろん"THE PRIVATE PSYCHEDELIC REEL"。何度も襲いかかる音の洪水、その中でアーティストのエゴもなく、観客の慰み物でもなく、何かを伝えるのでもなく、音楽が音楽だけとして存在すること、そんなことがこの世界にあるのなら、この瞬間にしかないのではないか、と思わせるのだった。そこには音楽の他何もなかったのだ。
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report by nob and photo by ryota
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