button Velvet Revolver @ Zepp Tokyo (8th Feb '05)

ロック・スターの起死回生

 GUNS N'ROSESの元メンバーのスラッシュ、ダフ・マッケイガン、マット・ソーラム、デイヴ・ナヴァロのバンドなどで知られるデイヴ・クシュナー、そしてストーン・テンプル・パイロッツ(以下STP)のヴォーカル、スコット・ウェーランドから成る最強編成バンド、Velvet Revolverの始動は、2004年のロック・シーンに大きな衝撃を与えた。ガンズ・ファンやロック・ファンのみならず、多くの音楽ファンが強い関心を寄せ、その実態を目撃しようと切望していた来日が、遂に実現した。彼らは新しい形となって見事に再生を果たしたのだった。もの凄いバンドの誕生だ。

 19時を過ぎると、待ちきれない観客は騒然とし始めた。一丸となって湧き上がったオイオイ・コールや、始まりを急かす野次のような怒声、ソワソワしだす観客。その緊迫した空気は、20分後、メンバーを迎える喜びと喝采に溢れた空気に変わり、ビリビリと鼓膜を激しく震わす大歓声が会場いっぱいに広がった。大興奮と熱気のるつぼ。一曲目の"Suckertrain Blues"から拳を突き上げて前方へ激しく人々が押し寄せ、喜びをバネにジャンプし揉み合う人の波、一心不乱に踊り狂う姿もあり、みんな全身でVelvet Revolverを迎えていた。

 やはり、スラッシュやダフや、ガンズ・ファンにとってはどう形を変えても、別格でありカッコよく、偉大な存在のようだった。ライヴの間中、絶え間なく観客からスラッシュとダフの名前を叫ぶ太い声が聞こえた。彼らのカリスマ性と絶大な存在感は、衰えるなんて事を微塵も感じさせないほど大きい。ライヴ終了後、聞こえてくる人々の会話の中には、必ずと言っていいほど、スラッシュのギターを絶賛し崇める言葉が飛び交っていた。スラッシュのギターは唯一無二であり、それがどれだけ大きな存在だったか、そして未だに絶対的な支持を得ているかを、この時初めて知った。

 そんなガンズ・ファンに揉まれながら、私はセンターで歌うスコットに夢中だった。スコット・ウェーランド復活!ポリス・ハットを被ったスコットは、昔と変わらない、切り付けるような鋭さと激しさ、色っぽさを取り戻していた。スコットの歌声は健在だった。最近のロック・バンドには、歌の上手いヴォーカルはたくさんいるけれど、立っているだけで人を引き付けるロック・スターのカリスマ性と、どんなバリエーションの曲も自在に歌いこなし、自分の世界に引きずり込んでしまう、スコットのようなヴォーカリストはいない。あの声は死なせてはいけない。その声と強い存在感は、Velvet Revolverの中にうまくハマっていた。彼のヴォーカリストとしての才能を認め、再び世に送り出してくれた他のメンバーに、感謝の気持ちすら込み上げてきた。

 悩ましくポーズを決めたり、時には目を見開いて観客を威嚇するような攻撃的なポーズで歌うスコットが、このバンドの中で確固たるフロントマンのポジションを獲得した瞬間を見たのは、ダフ、スコット、スラッシュの3人が並んだ姿を見た時だった。その光景を見た観客からウォーという大きな歓声が上がる。数多くのプレイヤーやロック・ファンから多大なリスペクトを受け、圧倒的な存在感を持つダフとスラッシュの間に立つのは、ヴォーカリストにとって容易いことではないらしい。でも、スコットは見事にそんな二人の間で、少しも霞むことなく存在感をアピールしていた。Velvet Revolverの顔として、威風堂々と前を見据えていた。ある時期から、いつも寂しそうで怯えた、まるで捨てられた子犬のような目をしていたスコットが、居場所と呼べる場所を見つけ、伸び伸びと意気揚々と歌い上げていた。スコットの様々な事情に気を揉んでいたファンとしては、その姿を見て、感無量の一言に尽きるのだ。

 セットリストには、ガンズやSTPの曲も加えられていた。周りにいる人たちを見ると、ガンズの曲で誰もが一緒に歌っていて、一段と大きな歌声がZEPP中に響いていた。そこにいるほとんどの人がガンズのファンのようだ。その気持ちいい合唱と熱狂ぶりを見ていて、きっとこのバンドがまたガンズの曲をやる事も、スコットがガンズの歌を歌う事も、許されるんだろうなと思った。もしかすると、もう演ることもないかもしれないけれど。

 5人が強いオーラを放っていて、まるで一人一人にスポットライトがあてられているように、それぞれの存在感は際立っていた。そのオーラはぶつかり合わずに一つのバンドとして見事に纏まっている。すごい人たちが組んだバンドだ。そして、彼らは最高だった。5人が一緒になることで果たすことができた再生。そして前進バンドの面影を残しながらも、それを上手くミックスさせた新しいサウンドに進化させて、両バンドのファンの期待を裏切らない、迫力に満ちたロックンロールで、再びファンを沸かせることに成功したと言えるんじゃないだろうか。スラッシュの「可能性を無駄にしたくない」という言葉を信じて、Velvet Revolverの今後を楽しみに待ちたい。

- set list -
1,Suckertrain Blues/ 2,Do it for the kids 3,Headspace 4,Superhuman 5,Crackerman(Stone Temple Pilots) 6,Illegal i song 7,Fall to pieces 8,Dirty little thing 9,Big Machine 10,It's so easy(Guns n' Roses) 11,sex type thing(Stone Temple Pilots) 12,Set me free

1st Encore
13,I used to love her(Guns n' Roses) 14,You got no right
2nd Encore
15,Mr. Brownstone(Guns n' Roses) 16,Slither 17,Surrender(Cheap Trick)
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