ROSSO @ Ebisu Liquidroom (7th Feb '05)
ROSSOが笑う…不気味に
以前のHouse of LiquidでのROSSOに比べ、音が格段に良く
なっていた。今日のセッティングはベスト。特に低音の鳴りが心地よい。
佐藤の重いドラムにも耐え、照井のベースもひび割れること無く、とめどなく
深く、突き刺してくる。
イマイのギターは引きつった笑いにも似たメタリックで神経質なサウンド
と、砂利を踏みならして行進する(SEX PISTOLS "Holidays In The Sun"の冒頭のよろしく)軍隊のイメージが浮かぶカッティングを使い分けながら、東京ロッカーズあたりの、訳も無くひたすらもがくかのような猥雑さや棘といったギザギザした感触を涼しい顔で植え付けていく。チバのがなり声が加わり、空気をビリビリと切り裂いて出現した音像は、スクリーモの感じ。序盤のROSSOは、まるでAT THE DRIVE-INのように爆発を繰り返しながら前進し続ける「塊」だった。
驚いたのは、MASATO(ASSFORT)を擁し3ピースとして活動していた第一期ROSSOの楽曲を披露したことだ。"惑星にエスカレーター"でのオーディエンスの熱狂ぶりや、"シャロン"でボコボコと沸き上がるダイブを見ると、皆が内面で期待していたのだと感じる。僕は、あくまでも別物だと思っていたので、披露したことは嬉しいんだが、少々面食らった。メンバー、特にチバと照井の中で「ROSSOという一本の道は続いている」という気持ちがあったという証拠なんだろう。そうと知ったからには、いきなりロカビリーの、まるで"Stray Cat Strut"のようなリフを鳴らされても、驚かない。
しかしだ、しかしだな…中盤から展開された、吸い込まれそうなプログレ的
アプローチや、「チバとイマイを抜きにしたらもろダブやんか!」と思わせる
リズム隊のヘヴィさには、かなり? いや、天地が転げるほど驚いたし、裏切
られた。そんな、ダブを生み出すリズム隊に、イマイがよりによってSANTANAみたいな音を乗せると、もう止まらない。グルーヴが渦を巻いて、最早トランスとして機能していると言っても過言ではないはずだ。とすると、チバのざらざらした声は渦の真中から手招きする蟻地獄か。
ツアーの初日に、ファンの総入れ替えも辞さない、ワガママなバンドのあり
方が垣間見えた気もする。かつてビートバンドに憧れ、三ツ釦のモッズ・スー
ツを着込み、THE MONKEESの"Steppin' Stone"をカバーしていた男が、WRENCHのような音渦の中に身を置いている事実を知ったら、口をあんぐりするしかないだろ?
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reported by taiki and photo by
saya38
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