button The Rasmus @ Ebisu Liquidroom (1st Feb '05)

Romantic Rock

 北欧から、自分の音楽を"LOVE METAL"と呼んでいるゴシック・メタル/ロック系のHIMや、貴公子集団のNegativeなど、アクの強いバンドが日本進出を果たしている。そして、新たにThe Rasmusが哀愁のメロディとロマンティック・ロックを凝縮した秀作『Dead Letters』で日本上陸を果たした。

 シングル"In The Shadows"一曲でヨーロッパ中を虜した、フィンランド、ヘルシンキ出身のバンド、ザ・ラスマス。イントロの「オ〜ッ、オォ〜」から頭にこびりつき、知らず知らずの内に「I've been watching〜」とサビを口ずさみながら、メロディに合わせて体が自然とリズムを刻んでしまうこと請け合いだ。一度聴いたら忘れない、とんでもなく強烈なインパクト。彼らの放つサウンドは、北欧の泣きメロに敏感な日本人の琴線に見事にヒットした。

 ザ・ラスマスは、ゴス・メタル風な装いの上に、ヴォーカルのラウリが髪の毛に黒い羽をつけ、中性的で妖しい表情(ビヨークに少し似てる)をしているアーティスト写真が多いので、いわばちょっと前のビジュアル系!?というのがライヴで生の彼らを見るまでの印象。ファンの間ではライヴに、ラウリのマネをして羽をつけて行か否かの物議を醸していたらしい。これはひょっとすると、来る人はみんな黒尽くめは当たり前で、黒いメイドみたいな服装の人たちまでいて、お決まりの手振りやダンスまであったりして、なんて不安が襲った。でもリキッドに入ってみると、普通の人たちばかりで少し拍子抜けするくらいだった。バンドをやっている風の男の人、普段のライヴ会場で見かけるようなロック好きな感じの女の人、男女の比率は半々くらいだっただろう。外人の姿も多く見かけた。フィンランド出身の人も多く来ていたのか、メンバーへの掛け声もわけのわからない言語が多かった。ステージに現れたメンバーはいたって普通の装い。中性的だったラウリはうっすらと顎ヒゲを生やし、ビヨークの面影はまったくなかった。 それにしても、北欧の人の顔は繊細な作りで、透き通る白い肌が美しい。

 メンバーは、ヴォーカルのラウリ・ヨーネン、ベーシストのエーロ・ハイノネン、ギタリストのパウリ・ランタサルミ、そしてドラマーのアキ・ハカラ。どうも馴染みにくい名前ばかりだ。バンド結成は1994年とすでに10年のキャリアもあり、アルバムも5枚リリースしている。ヨーロッパではすでにかなり知られたバンドのようでも、アメリカと日本では、つい昨年デビューしたばかりなので、新人バンドと見られているらしい。北欧の美メロが見事に突き刺さる日本人が彼らを放っておくわけがない。すっかりラスマス中毒者が続出しているようだ。

 一曲目の"Guilty"から、見事なまでにどの曲でも大合唱。最新アルバムがメインのセットの中で、初めて聴く旧作からの曲も、哀愁のメロディ三昧。"If You Ever"、「フォッフォッフォッ、フォーリン」の歌詞が耳にこびりつく"F-F-F-Falling"、"Not Like The Other Girls"、"Funeral Song" など、泣かせるメロディをこれでもかというほど浴びせてくる。

 両脇で不動のままプレイを続ける体の多きなエーロとパウリは、小さくて細いラウリを守っているように見えた。ちょっとボディ・ガードみたいだ。ラウリに負けない端正な顔立ちと、クールに叩きつけるドラム・パフォーマンスで、後方にいながらも存在感を強くアピールしているドラマーのアキからも目が離せない。ラウリの動きやポーズはいちいち決まっていてカッコよく、少しハスキーがかった声は哀愁に拍車をかけていた。それでクラクラ・メロメロ、もう腰砕け。女性ファンからラウリに熱いラブ・コールが多く投げかけられていたのも頷ける。女性ファンだけでなく、男性ファンも多かったのは、甘いメロディにゴス・テイスト満載のギターが唸りを上げるハードさと重厚さが、ポイントとなっているのだろう。なんといっても彼らの曲は、どの曲にも強く印象付けるポイントとなる部分が必ずあって、全部は知らなくてもその部分だけ聴くと、ついつい一緒に口ずさんでしまう。万人がクセになる秀作の数々なのだ。

 中盤、ステージ前方に4つの椅子とピアノが用意され、アコースティック・ヴァージョンのライヴが始まった。たぶんフィンランド語でカウントを取っていたんだと思うけれど、聞き慣れないけれど優しいかんじのその言葉がとても新鮮だった。このアコースティック・セットでは、至近距離で並んだメンバーが和やかな空気を醸し出していて、とてもいいムードだった。CDではハード・ロックの"Back In The Picture"もここではポップになり、ラウリのヴォーカルの上手さが一段と際立っていた。3曲ほどでアット・ホームなアコースティック・パフォーマンスは終了。再びそれぞれのポジションに戻ると、"First Day Of My life"で煽って飛ばせて歌わせ、会場の盛り上がりは巻き返した。"In The Shadows"で会場が大興奮のピークに達したのは言うまでもない。みんながこの曲を待っていた。ビープ音が会場に鳴り響くと、待ちわびていた観客からこの日一番の歓声が沸き起こり、「オ〜ォ、オ〜ォッ〜」とイントロのパートから大合唱がリキッド中に響いていた。ラストの曲が終わると、メンバー4人揃ってステージの前まで来て、お互い肩を組んで観客に笑顔で別れの挨拶をして去っていった。

 ラスマスの怒涛の美メロ攻めは、どれだけ聴いても飽きることがないどころか、癒しに近いものがあるように思う。フィンランドの美しい自然の風景が作用しているからなのか、澄んだ空気で気持ちを浄化してくれる。知的に組み立てられた流麗なメロディの連続。北欧のメロディがツボにはまる日本人に、間違いなくラスマスのメロディも刺さると思う。そう確信したライヴだった。

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