buttonlostprophets @ 渋谷O-East (12th Dec. '04)

やっぱり顔より音?

 全曲捨て曲なしと太鼓判のセカンド・アルバム『Start Something』を引っさげて、ロストプロフェッツ2度目の単独来日公演。ダイナミックなパフォーマンスと美メロで惹きつけ、興奮とシンガロンの連続の熱気にO-Eastを包み込んだアツいライヴだった。

 1997年にイギリス、ウェールズで結成された6人組、ロストプロフェッツ。2000年に出したファースト・アルバム『The Fake Sound Of Progress』がNMEをはじめ、錚々たる音楽専門誌で大絶賛を受けた。音楽と同じくらい注目を集めたのが、彼らのルックスだった。2004年、セカンド・アルバム『Start Something』で、ここ日本でも彗星のごとくヘヴィ・ロック・シーンに現れた。メンバー6人揃って男前という謳い文句は、彼らを紹介するものすべてで目にした。それも、日本で彼らが注目される十分な要素になったのだろう。彼らのサウンドは、わかりやすいロックに、胸を打つ美メロと印象的なサビ、それにヘヴィなギター・ノイズとミクスチャーと少々のスクリームを合わせたもの。ヘヴィ・ロック・シーンと書いてしまったけれど、彼らがそこに当てはまるのかは、はなはだ難しい。自分たちの音をカテゴライズされるのを嫌うバンドが多い中、ロストプロフェッツも例に漏れずそうであり、「ニュー・メタルでもハード・コア・ロックでもない。自分たちの好きな音楽をやっているだけ」と言っているので、勝手にカテゴライズしてしまうのも申し訳ない。過去にツアーを共にしたのは、リンキン・パークやスリップノット、システム・オブ・ア・ダウン、仲良しのバンドがグッド・シャーロットという説明で、彼らを知らない人にも、なんとなくの音は想像できるかもしれない。

 19時5分前に会場入りすると、フロア後方までぎっしりと人で埋め尽くされていた。去年のサマーソニックから5ヶ月ぶり。フェスでは遠すぎるステージも、ここではメンバーの汗も降りかかるほどの距離で見ることができる。すでにステージ前は今か今かと待ちわびているファンが前方に詰め寄せていた。男女の比率はちょうど半々くらい。極寒のこの日、会場内は比較的普段着姿が多く、そのせいか、普段のロックやパンク系のライヴではあまり見かけないようなOL風の人も目立っていた。ロストプロフェッツが、ヘヴィ・ロックやネオ・パンク愛聴者以外の洋楽ファンにも受け入れられているように思えた。それも、メンバーの男前っぷりが一役買っているのかもしれない。外人のイケメンに日本人女性はめっぽう弱いですからね。

 ステージ後方にセットされた高層ビル街が遠くにそびえたつアルバム・ジャケットと同じデザインのスクリーン。19時を少し過ぎたところで、そのスクリーンの前にメンバーが一人ずつ姿を見せる。大歓声を浴びるのもつかの間、『Start Something』の一曲目"we still kill the old way"の重いギター・リフが始まり、観客は振っていた手を拳にかえて振り上げ、高く飛びながら大合唱が始まった。重く煽るリズム隊に時折挟み込まれるジェレミーのスクリーム、それに重ねられた美メロはサビで一気に減速するものの、サンプリング効果も相まって壮大さを増す。6人のダイナミックな動きとの相乗効果で、初っ端からフロアの興奮は沸騰状態に達していた。この一曲目ですでにライヴに来た満足感を得られる。そこから、アルバム同様スピード感溢れる飛ばし曲"to hell we ride"で煽りが続くと、フロアも続々とクラウド・サーフィンが乱れ飛んだ。ミッドテンポからサビの高速への変化球で盛り上げる"i don't know"や、メタル・テイストと轟音の"the fake sound of progress"での気持ちいいほどの観客のレスポンスに、メンバーから大満足の笑みがこぼれていた。それにしても、あれほど男前揃いと言われながらも、黄色い歓声がそれほど上がらなかったのは、なぜだろう...!?

 ステージ前方に左からリー、スチュー、イアン、マイクの4人。後方にドラマーのマイクとターンテーブル&キーボード&スクリーム担当のジェレミー。4人も前方を占拠すると威圧感たっぷりだ。両脇のギターリスト2人の動きがほとんどない。そんなギターリストたちの横でベーシストでがたいの大きなスチューはベースを振り回しながら激しく動き回り、後方に控えていたジェレミーはステージ前方ギリギリまで攻めてきて観客めがけて血管ぶち切れスクリームを浴びせる。動きの役割分担ができているようだ。容姿でずいぶん印象が違ったのは、ヴォーカルのイアンだ。髪の毛が伸び、誰の影響か見事な7:3分けで顔の半分が覆われている。左端にいた私からは、彼の顔はほとんど見えないような状態だった。そんな7:3分けも意表をついたが、もっと意表をついたのが彼の動き。それはまるでスコット・ウェーランドばりの足踏みステップやクネクネ・ダンス。アーティスト写真で斜に構えた硬派な決めポーズと、ステージで見せる中性的な柔らかさのギャップはとても大きかった。一瞬、ニュー・ハーフのショータイムかと思ってしまったのは、私だけでしょう...。

 "goodbye tonight"、last summer"は70年代のロック・サウンドの趣を漂わせた、哀愁を帯びたしっとりとした曲で、観客は振り上げた拳を下ろし小さくリズムを刻みながら曲に包まれていた。イアンの裏声が静かに響く"sway"が終わると、フロアの歓声を制止して、次に続く曲まで焦らしに焦らした。そして、ロストプロフェッツの代表曲ともなったあの曲、"last train"のギターのイントロが始まると、フロアから大歓声が沸きあがり、まさしくみんなの歌となったこの曲で、この日一番の大合唱がO-Eastに鳴り響いた、鳥肌ものの瞬間だった。そんな感慨に浸る暇もなく、立て続けに"shinobi vs dragon ninja"と締めの"burn burn"。クラウド・サーフィンをして笑顔でフロアに戻る男の子たちが後を絶たなかった。そして、完全燃焼したロストプロフェッツのライヴは終わった。

 耳にいつまでも残る圧倒的なインパクトの曲の数々。本国での大絶賛の嵐もハイプでもない。そんな輝かしデビューを飾ったロストプロフェッツは、でもまだスタートしたばかり。ここから始まる。次のアルバムがどんな音になるのか、どんな成長を遂げてどんなバンドになっていくのか、これからが楽しみなバンドなのだ。ちなみに、ロストプロフェッツを見て、彼らは21世紀のデュランデュランかと思ってしまった。メンバー揃って美形揃いってだけで。ここでデュランデュランを思い浮かべてしまうあたり、年齢を感じてしまうのだった...。


-- setlist --

we still kill the old way
to tell we ride
the fake sound of progress
wake up (make a move)
goodbye tonight
i don't know
last summer
sway
last train home
start something
shinobi vs dragon ninja
burn burn



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