button The Music @ Zepp Tokyo (11th Jan. '05)

ゼップがゴアになった日

the_music
 思えば四年ぶりくらいに行った久々のゼップ。フロア入口のドアを開けて中に入ると、あまりのデカさについ唸ってしまう。そして、思わずニヤリ。そう、私が唸ったのはただそのデカさに驚いたからじゃない、むしろ感慨のようなものからだった。そして、その感慨を通り越したら、あとはただひたすら嬉しくなって思わず笑ってしまったのである。だってミュージックがこんなデカいハコを三日間埋めてしまうのだ。不思議とあまり騒がれてないが、これは結構凄いことなんじゃないのか。たぶん一日だけにしたら武道館だっていけただろう。これはもうファンは祝杯を挙げてワイワイ騒ぎながらライブが始まるのを待つのが礼儀である。私も早速ドリンクバーに駆け込み、乾杯。さあ、こちらは準備完了だ。
the_music  さあミュージックだぜ、とその前に、私が行った東京初日と札幌はオープニング・アクトとして、グレート・アドヴェンチャーという日本のバンドが登場。どうやら札幌でもかなり盛り上がったようだが、ここ東京でも反応はかなり上々で、私がいたかなり後ろの方でも手拍子したりリズムに合わせて踊ってる人がいた人がいたほど。私みたいにミュージックがとにかく早く観たいというオーディエンスしかいない中で、あれだけ盛上げるのは、凄い。音楽的には、「ディスコ・パンク」ならぬ「ブレイクビーツ・パンク」といった感じで、会場に集まった洋楽ファンにも受け入れやすい、リアルタイムの欧米の音を意欲的に取り込んだスタイル。歌詞は全て英語で、驚いたことにMCまで全部英語だった。今どきここまで素直に洋楽への憧憬を抱けるバンドも珍しい。ある意味、天然なのかもしれない。
the_music
 さて、グレート・アドヴェンチャーの熱演でオーディエンスもいい感じに温まったところで遂にミュージック登場。まずはファースト・アルバムの流れを汲む"welcome to the north"で軽く肩慣らし、といったところだったんだろうが、ギターを中心にやたらと分厚くなった音にぶったまげる。確か昨年サマーソニックで観たときはこんなじゃなかったぞ、と思ってると、次はミュージック流ハード・ロックの"freedom fighter"で猛烈なたたみかけ。プロデューサーのブレンダン・オブライエン節がキラリと光る、豪快でハード・ロッキンなギターがブンブンと飛び交うタテノリのこの曲は、ミュージックでは珍しくモッシュが似合う曲だ。しかし、もう前の方はモッシュというか、グチャグチャ。四曲目が終わったあたりで早速、酸欠になったと思しき兄ちゃんが担ぎ出される。おいおい、気をつけなきゃ。

the_music
the_music

 デビュー当時からどことなくレトロというか流行に左右されない独自のテイストを持った感じの彼らだったが、ヴォーカルのロバートがその独自のテイストに更に磨きをかけてるのが目を引く。他のメンバーは相変わらず中学生みたいな純朴さが眩しいが、エスニックというかヒッピー的な雰囲気が高まってきたロバートは、あのマイケル・ジャクソンとブルース・リーを足して二で割ったようなダンスをするとまるで古代宗教の儀式のダンスをしているみたいで、神秘的な怪しさたっぷり。フロントマンとしての存在感は十二分といった感じだ。この日はちょっと声が出づらそうで苦しかったが、これであのロバート・プラント声が伸びやかに響いたら凄いことになるんだろうな。
the_music
 そして、誰もが認めたこの日のハイライト、"bleed from within"は正に圧巻の一言。CDで聴いてたときから、あの後半の怒涛のトライバルなリズムはライブで盛り上がるのだろうと思っていたが、もう、盛り上がるとかそういうのとは全く別次元の話だった。前半は普通の顔して演奏してたくせに、あの最後のパートに入ると、スチュアートがベースを捨てスティックを持ち、アダムがギターを捨てスティックを持ち、ロバートもスティックを持ち、そう、つまりはメンバー全員がドラム、というか太鼓を叩きだしたのだ。ヴォーカルがいてギターがいてベースがいてドラムがいて、という、ある種ステレオタイプなロックのライブの空間が、まるで一瞬にしてやばいレイブのコール・パーティーにぶっ飛んでしまったような、そんな感じ。何分くらいやってたのだろう、もしかしたら一、二分程度のことだったのかもしれないが、あまりに濃密な初体験に時間の感覚が歪んでやたらと長く感じられた。圧倒されつつも踊り狂う周りのお客さんたちを見ると、一瞬ここどこだったけか、と思ってしまうような危ない瞬間もあり。いや本当に。もう、あまりの興奮に正直ここから後のことはあまり覚えてないのだが、確か"walk the long road and take it"や"too high"など、ファーストの曲を中心にやって盛り上がっていた。

 この日は何度か熱気で気を失いそうになるほど盛り上がっていたのだが、意外なことにアンコールはなし。もしかしたらこの日は体調でも悪かったのかもしれない。それともアンコールなしの主義だったっけ?いずれにしろ、笑顔でライブの良かったシーンを語り合いながら帰るお客さんには、アンコールなしに対する不満の色は微塵も見えなかった。ちなみに、私が盗み聞きしたライブの一番よかったシーンのトップは、もちろんあの"bleed from withn"の太鼓パート。当然でしょ。
report by yoshi_k and photo by hiroqui

==>top page : JPN / ENG

buttonmag files : The Music

button残像のプリンス : (05/01/19 @ Zepp Osaka) : review by sora, photo by ikesan
button魂の中に生きる「Respect」 : (05/01/19 @ Zepp Osaka) : review by kami, photo by ikesan
buttonphoto report : (05/01/19 @ Zepp Osaka) : photo by ikesan
buttonillustration report : (05/01/17 @ NAGOYA DIAMOND HALL) : illust by chika
buttonphoto report : (05/01/17 @ NAGOYA DIAMOND HALL) : photo by izumikuma
buttonトモダチの音楽 : (05/01/13 @ ZEPP TOKYO) : review by satori, photo by saya38
buttonphoto report : (05/01/13 @ ZEPP TOKYO) : photo by saya38
buttonそれは確かに目の前にあった : (05/01/12 @ ZEPP TOKYO) : review by taeko, photo by saya38
buttonゼップがゴアになった日 : (05/01/11 @ ZEPP TOKYO) : review by yoshi_k, photo by hiroqui
buttonphoto report : (05/01/11 @ ZEPP TOKYO) : photo by hiroqui
buttonphoto report : (05/01/09 @ ZEPP SAPPORO) : photo by hanasan


The official site

The Music

http://www.themusic.co.uk/

The latest album

The Music

"Welcome to the North"
(US import / UK import / 国内盤)


Search Now:
?
In Association with Amazon.com
previous works

The Music

"The Music"
(US import / 国内盤)



check the albums?

search:
?
Amazon.co.jpアソシエイト
previous works by yoshi_k

button2005

buttonつんのめってゴー!! : 曽我部恵一 with ダブルオー・テレサ (7th Jan. @ Shibuya Club Quattro)

button2004

button「なんだ、こいつら」っていう凄さと恐さ : 22-20s (30th Nov. @ Shibuya Club Quattro)
button完全無欠のエンターテイメント・ショー : Franz Ferdinand (25th Nov. @ Yokohama Blitz)
buttonファンのチカラ : HAVEN (26th Oct. @ Shibuya Club Quattro)
buttonここはどこ?都会のオアシス? : Caravan (10th Oct. @ Shibuya Club Quattro)
button桃源郷フォーク改めロックンロール : THE STANDS (1st Oct. @ Tokyo UNIT)
buttonミクスチャー・キャー・キャー : TOKYO PINSALOCKS (28th Aug. @ Shibuya Chelsea Hotel)
button「4人でひとつ」 : The Libertines (3rd Aug. @ Shibuya AX)
button本物ガレージ、メジャーで弾けろ : The Von Bondies (13th Apr. @ Shibuya Club Quattro)
buttonSweet child of mine! : Wall of sound (20th Feb @ fabric, London)
buttonやっぱりフランス人 : AIR (18th Feb @ Brixton Academy, London)

button2003

button飛躍的な進歩、圧倒的な勝利 : The Strokes (6th Dec @ Alexander palace, London)
buttonロックンロールって、確かこんな音だった : Razorlight (11th Nov @ 100club, London)
buttonただ「音楽」としか名付けられない未分化な何かを発する子供たち : The Music (15th Oct @ ICA, London)
buttonミスマッチの違和感 : The Thrills (11th Oct @ shepherds bush empire, London)
button生々しい自然体のズレ : intensions of an asteroid (3rd Oct @ barfly, London)
button熱いオヤジたちの肩肘張らない音楽 : James Taylor Quartet (22nd Oct @ mean fiddler, London)
buttonコンサートの集合体としてのフェス : Reading Festival (23rd Aug. in Reading)
button穏やかな覚醒 : nderworld (10th Aug. @ somerset house, London)
buttonこれからを感じさせる輝き: Saint Rose (15 Jul @ feet east, London)
buttonオ〜オ!!オ〜オ!! : The future heads (11th Jul. @ barfly, London)
buttonお父さんも安心!家族向けフェスティバル : uilfest'03 (6th Jul in Guilford)
button巨大さに支えられた自由 : Glastonbury Festival '03 ( 27 to 29th Jun '03 in Shepton Mallet)
button本気なロックンロール+アホと笑い : Electric Eel Shock (19th May. @ arts cafe, London)
buttonCompletely Stone Roses! : the complete stone roses (10th May. @ Garage, London)
button死ぬまで踊り狂え! : Death in Vegas with DJ Andrew Weatherall (4th May. @ Nrixton Academy, London)
button私もまた力の限りジャンプする : Blur (13th May. @ Astoria, London)
buttonもっと今のあなたを! : (20th Feb. @ Shibuya Club Quattro)
buttonall these worlds are yours! : DOVES (2nd Feb. @ Shibuya Club Quattro)
button「もう一声」を聞かせてくれ! : the jeevas (7th Jan. @ Kawasaki Club Citta)

無断転載を禁じます。The copyright of the article belongs to Yoshiharu "yoshi_k" Kobayashi and the same of the photos belongs to Hiroqui Nishimura. They may not be reproduced in any form whatsoever.counter
==>Back To The Top Page : JPN / ENG.