Steve Nieve @ Aoyama CAY (17th Dec. '04)
世界中の窓を通して
『窓』をモチーフにしたいくつもの写真が、バック・スクリーンに次々と大きく映し出される。“窓そのもの”を写した作品もあれば、視点を少し変えて“窓から見えるそこの景色”を切り取ったものもある。どうやら本人が撮り貯めた写真らしい。故郷・イギリスの窓、外にピラミッドが見えるエジプトのホテルの窓、白一面の真冬のロシア(?)の窓、そして日本の窓……全世界中のイメージが会場を支配する。映像が切り替わるスピードは徐々に速くなり、ついには世界を瞬間に一周しているような錯覚に陥る。その擬似体験を助長するようにピアノはだんだんと激しさを増して叩かれていく……
スティーブ・ナイーブと聞いてすぐにピンと来る人はそう多くはないかもしれない。エルヴィス・コステロのバックバンドで弾いている鍵盤奏者、といえばロックファンならわかるだろうか。ソロ・アルバム『WINDOWS』をリリースした彼が、先日のコステロ&インポスターズ来日公演の熱気も冷めやらぬうちに、なんとそのまま滞日して単独公演も行った。コステロのようなロックンロール・ショウとはさすがに趣が違ったが、あのひねくれ者にも勝るとも劣らぬ、実験的要素あふれる興味深いライブだった。
ピアノ弾き語りをメインにしながらも、キーボード、ピアニカ、クラリネット、テルミンなど様々な楽器を使い分けて表現に強弱をつける。前述したように会場には世界各国の『窓』が絶え間なく映されるのだが、時にはコンピュータのサンプリングを駆使して、さえずりや喧騒といった“日常の音そのもの”がバックに流されたりもする。まるで窓の外から町のざわめきが聞こえてくるみたいだ。ジ・アトラクションズ時代から様々な形で彼の音楽には接してきてるが、こういう引き出しも持っている人なんだ……と、とても意外だった。もちろんいい意味での驚きである。
スティーブは元々クラシック畑の人だというのは有名な話だが、さらに噂によると、彼はコステロと組むことになるまでロックの「ろ」の字も知らなかったらしい。演奏したことはおろかまともに聴いたことさえなかったということだ。本当だろうかと思う話だが、このライブを観てますますその感を強めた。だって、表現の可能性を追及する姿勢、挑戦を恐れない前衛的スタイル、激しく鍵盤を叩きながら歌い上げる姿。どれをとってもロックの要素にあふれている。そういえばしっかりコステロのカバーも演ってお客を喜ばせるところなんて、ショーマンシップを感じさせるしね!(ただ、衣装はめちゃくちゃ普段着な感じで髪もボサボサでしたが……)。
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reporty joe and photo by keco
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