house of liquid special『DIRTY KARAT SESSION』 feat. ROSSO @ Ebisu Liquidroom (8th Dec. '04)
BREAK ON THROUGH
入場時に、赤いドリンクチケットをもらった。すぐさまバーカウンターに向かい「ビール!」と言ったら、スタッフは「赤はこちらのみとなります」と出してきたCINZANO "ROSSO"。もちろん飲み方は"ロック"である。聞くところによると、この日だけとの事だ。芸が細かいなぁ。
スモークがステージに流れ出し、いよいよ4人の登場となる。シークレットや記念イベント等のライブを除けば、これが初となる。
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「グランジの言葉が生まれる前のグランジ」とmagのデジグラファー、saya38が形容したFRICTION。これはやられた、的を得ている、と思った。佐藤の、腰の座った、けたたましくも重いドラミングと、それに反応する照井(ex.BLANKEY JET CITY 以下BJC)のベースを中心に構築される世界。その音圧はものすごく、ズシリと腹に響いてくる。相当硬いピックを使っているはずの、イマイのメタリックで焦燥感溢れるギターは、嬉しい事に荒削りで、アルケミーやAAレコードあたりに見られる、アンダーグラウンド独特の匂いを未だに漂わせている。当たりまえだが、3ピースだった第一期ROSSO(つまり、ギターはチバのグレッチのみ)よりは、ロッカーズ&ロカビリー&ブギ色は薄れる。グレッチの音色はなめらかに流れているが、やはりイマイの加入が大きいのだと思う。しかし、がなり声の存在感は健在で、相変わらず僕らをザクザクと切り裂いてくれる。ROSSOの新しい組み合わせは、ハードロック上がりでALICE IN CHAINSもいける僕は大好きです。
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途中、ふいに静寂が訪れた。それぞれのメンバーが頂点を極めたことがあるというのは、そのぶん妥協を許さない。つまりは、ストイックだということ。張りつめた空気がフロアにも流れ、オーディエンスも息を殺す。批判を承知で言わせてもらえば、生まれながらにして、解散の2文字がちらつくほどの緊張感をもった、数少ないバンドなのである。JUDEはドラムに城戸を迎えることで、緊張から抜け出して弾けとんだ(ライブを見ればわかるはず)が、ROSSOは仁王立ちのまま、そのスタイルを変えることはないだろう。 |
モッズやガレージパンクがルーツだったTMGE、あるいは、かつてのBJCのように、3人がそれぞれ違ったバックグラウンド(ガレージ&モッズ/チバ、ロカビリー/照井、ハードコア/MASATO)を持ち、それらがうまく溶け合った第一期ROSSOを追い求める者にとっては、FRICTIONから2人のメンバーが入ることによって起きた、グランジ〜ハードロック方面への偏りは、キツいかも知れない。しかし、変わるなんてことは、ROSSOが登場する直前に宣言されていた。その時、DJがチョイスしていたのは、DOORSの "break on through" のリミックス(誰のリミックスかはわかりません)だった。TMGE解散の日、登場SEの"ゴッドファーザー・愛のテーマ"の前に流れていたのは、同じDOORSの "the end" だったことをふと思い出し、「このままROSSOが登場したら出来すぎですよ」と周りの人たちと話していたら、本当にそうなった。偶然でもなんでもいい。"終わり"から、"前身し続けること"へとシフトしたチバの想いとリンクしていたのは、間違いないだろうから。
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ただバスドラムやベースなど低音の輪郭がぼやけていて、どうにも抜けてこない。DJ時でも割れていたので、おそらくリキッド側のセッティングがうまくいってなかったんだろう。そこが唯一気になったところ。ワンマンまでには直っていてほしいと、切に願う。 |
report by taiki and the photos provided from the management
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