buttonFranz Ferdinand @ Osaka Mother Hall(27th Nov. '04)

乗せ上手に乗せられ上手

Franz Ferdinand
 会場はいかにも大阪な雰囲気のニオイ漂うアーケード街の中に位置するマザー・ホール。開演時間になってもまだ入場しきれないお客さんが列を作る中、The Beat Upの演奏が始まってしまった。前座という位置づけにはもったいないくらいの、堂々たるパワーがフロアにいるオーディエンスの目を背かせる時間さえ与えていなかった。

Franz Ferdinand  そしてFranz Ferdinandのご登場。核となる曲は東京、横浜とほぼそのままで、同じく"michael"からの先制パンチ。モノクロ→カラー→モノクロ→カラーに染まるステージにはFranz Ferdinand標準仕様のシャツにネクタイ、ピタピタパンツにエナメル・シューズ姿のメンバーのシルエットが浮かび上がり、フロアの底からしゃくり上げられるようにオーディエンスが浮き沈みする。オリジナルのピアノの硬質な音は削られ、スペイシーなシンセとキックの効いた必殺ダンス・チューンと化した"auf achse"はは3曲目にして早くも私的なハイライトを迎えた。フジの時よりも音の厚みが増した分、緩急のある曲が多いにも関わら ず全体を通して締まりのあるライヴだった。

 完全なる演出なのか素なのか微妙な決めポーズの安売りはなく付加価値のない本来のFranz Ferdinandの姿が露となり、キャーという黄色い声よりもオーという暑苦しい共感がフロアにこだまするようになると、さらにタイトに疾走し始め新曲を挟みながら、"the dark of the Matinee"や80年代のニュー・ウェーヴの要素がふんだんに施された"come on home"チキチキ・ドラムにシンプルなベースのコードが印象的なイントロで始まる" darts of pleasure"そして本編ラストの"40'"まで駆け抜けていった。アレックスは声が出ない高いキーを何とか低いキーで歌っていたり、ベースのボブのそばにはイスが用意されていて曲の合間には腰掛けているような場面もあって決して万全ではなかったのかもしれないが、この日の演者であるFranz Ferdinandとオーディエンス、相対する立場の人間に共通していたキーワードは「乗せ上手」「乗せられ上手」だったように感じる。両者が相対する才能を両方持ち備えている時の相乗効果は計り知れない。


Franz Ferdinand  しかし、今日ほど大阪でライヴを観ていることを実感したことはなかったかもしれない。しょっぱなからのオーディエンスの反応のよさに思わず出たアレックスの"You are crazy"の一言、それに大喜びで「オオオッ!」ってアナタ。これって「あほちゃう?」って言われて「あほちゃうわ」と即答しながらも心のどこかににやりと笑う、あの感じに近いのかもしれない。後半に演奏された80年代後半のマッドチェスター真っ只中のような新曲でイントロのギターのリズムに合わせて「オイオイ」ってアナタ!初めて聴いたでしょ!!"take me out"ではあれだけ大合唱のお膳立てをされれば♪テイク・ミー・アウト!って歌うしかないじゃない!"come on home"でも散々お膳立てしてくれてたのに一緒に歌わなかったでしょアナタ!惜しかったなぁ。アンコールではThe Beat Upのドラマーが登場しダブル・ドラムを披露するなんていうハプンつきで、"thie fire"にて終了。

 今年も残り1ヶ月となり、そろそろ今年を振り返る季節となってきた。ニュース番組然り、ショウビズ界然り、音楽シーンもまた然り。そんな中でも音楽シーンにおけるニュー・カマー・オブ・ザ・イヤーはFranz Ferdinandなんだろうということが簡単に想像できてしまう。それほどFranz Ferdinand抜きにしては2004年を語ることはできない。フジ以来4ヶ月ぶりとなるライヴを観た今、それを強く強く確信したライヴだった。
Franz Ferdinand
report by kuniko and photo by izumikuma

Franz Ferdinandの写真は11/29 '04の東京公演を撮影したものです。(photo by izumikuma)

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