buttonDropkick Murphys @ Ebisu Liquidroom(12th Nov '04)

幸せの証 - Part 2 -

BRAIN FAILURE
 続いて中国・北京から今回のDKMの日本ツアーに同行している、BRAIN FAILUREの登場。音はストレートなPUNK/HARDCOREだが、Oi-PUNKな曲からSKAやレゲエを取り入れた曲まで、RANCIDのメンバーも認めたというカッコ良さは、ウワサ以上。ロビーでたむろしていたPUNK野郎たちも、続々フロアに流れ込んできた。すぐにダイブが起き、一気に場が活気づく。「モット!」など日本語で観客をあおったりもしていたが、充分歌と演奏だけでここ日本でも勝負できるであろう、実力の持ち主たちであった。わかりやすい英詞でまっすぐに自分たちの気持ちを歌う。
BRAIN FAILURE

 若くとも自分たちが先頭に立って国の音楽シーンを盛り上げていこうとする、意志の強さ・姿勢は、この日本の地でも観る側に緊張感を与えていたし、何より、楽しかった。そして早くも貫禄さえ感じさせる、余裕ある演奏はやたらカッコ良く、DKMのベーシストKen Caseyがアルバム・プロデュースをかってでたというのも、納得。韓国PUNKシーンも熱いし、こうしてお互いがいい関係性の中、いつでも自由に互いの地でステージに立てるという、環境のままでいたいと思う。
バンドの発端者であり、若干24歳だというヴォーカルのシャオロンは、一人っ子政策第一世代に生まれ、学問の進む中国において北京一のエリート校の出身でありながらもパンクに目覚め、チラシの紹介文によると、「中国で初めてモヒカンにしたパンク・ロッカー」だそうだ。中国のパンク・シーンの現状に詳しくはないが、ライブを観ると、これまで積み重ねてきたライブ本数の多さや経験やらが、自然と見え隠れしているのに気づく。

BRAIN FAILURE
Dropkick Murphys
 さてお待ちかねDKM! 登場SEで彼らの心の祖国・アイルランド民謡のような女性ヴォーカルの透明感のある曲が使われていたが、(一瞬ビョークの声かと思った)照明が落ち真っ暗闇の中、その声とリンクするように客席からお馴染みの彼らを呼び込む掛け声「LET'S GO MURPHYS!」の合唱が重なった時は、それだけで感激して震えてしまった。スタートはもちろんこの曲。"FOR BOSTON"!! 2001年発売のアルバム『Sing Long,Sing Proud!』のオープニングを飾る、今やDKMの代表曲みたいな曲である。これぞシンガロングな名曲! この曲だけ聴くために彼らのライブを観に行くのも最初はアリかも。サッカースタジアムで代表ユニフォームを着れば思わずオレ〜オレオレオレ〜と歌っちゃうのと同じ感覚で良し! とにかくこの曲の始まった時の爆発力というのは、もう、何物にも代え難い「生きててよかった!」と思える瞬間である。会場は待ちに待ったと言わんばかりの暴れよう。そりゃそうだろう。こんな瞬間は毎日あるわけじゃない。1日の中でいかにくだらんことがあろうが、こういう瞬間を味わえるってことが幸せの証なのだと実感できる時間。
DropkickMurphys

 メロディは明るく放たれた曲ばかりなのに、歌詞を読んでみると、彼らが伝えたいことは何なのかがよくわかり、考えさせられることも多いはず。比較的リリース・ぺースが早いのはそれだけ彼らが常に多くの人達に向けて伝えたいことがたくさんあるからなのかもしれない。ちなみにこのライブの後、余韻覚めやらぬ状態で4時間もあるライブDVDを2回も観ちゃった自分はちょっと変人かも。しかし、そんな気分にもなっちゃうバンドなのである。
 ちなみにボストンは彼らが生まれ育った、アメリカ最古の街。「ボストンよ、我らは誇り高きそのリフレインを歌う/この地のために総てのものは1つとなる我らの心は誠なり」("FOR BOSTON"より)。アイリッシュ・トラッドを強く響かせる彼らはカソリックによってイギリスを追わせた清教徒を祖先に持ち、祖国イギリスを思い、アイルランドの文化を忘れない。2曲目にやった"THE LEGEND OF FINN MACCUMHAIL"なんてアイルランド伝説の王の歌である。そして常に労働者階級の視点で社会や物事を正面から見据え、歌うことで一番大切なことは何かということを伝えていく。

DropkickMurphys

Dropkick Murphys
DropkickMurphys

 と、思ったら、KENが盛り上がってベースを手放した時には平然とスタッフ(ローディー?)がベースを弾いて演奏が成り立っていたりもするし、前作から交替となった新バグパイプくんも自分の出番がない時はアンプの裏で休んでたりもする(やはりこの音がDKMの音をより印象づけている)。その間ギターはパワー全開のプレイで会場を湧かせ、気がつけばピアノを弾いていたり、とにかく演奏の勢いは全く止まらない。ある意味、バランスが取れているメンバーなのである。
 ライブは新旧取り混ぜてのラインナップで、とにかくガンガン進み、一体今何曲目? てな具合に結局20曲以上は平気でやっていたと思う。その間ずーっと飛び跳ねてる観客のみんなも凄いけど、やってるメンバーもほんと凄い。2人のギタリストは若者なのでいいとしても、頭皮も少しさみしくなってきたヴォーカルのAL BARRや、たぶん街中で会ってもミュージシャンとはわからないだろう小太りぎみのベースのKEN CASEYなんて、よくあのペースでライブができるものである。

DropkickMurphys


  ラストにはお約束! ステージに女の子、しまいには男組も大勢上がり、みんなで大合唱コーナー。どこにメンバーがいるのかわかんないぐらい観客が上がっていたけど、大丈夫なんでしょうか(笑)。

 いつかは彼らのライブを、彼らの祖国で観てみたいものである。


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