buttonDropkick Murphys @ Ebisu Liquidroom(11th Nov '04)

「ボストンのグリーンモンスター」と言ったら…なーんだ?


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 リキッドはまず階段を登り、タワーレコードのカフェと物販を併設したエントランスを通ってから、再び階段を降りてフロアへ向かわなければならないのだが、そのエントランスの騒々しさは素通りできないくらいにもの凄かった。いきなり怒号のような「LET'S GO MURPHYS!」の大合唱が出迎えてくれるのだから、やっぱり応えなければならないだろう? さらに、ラスティックのバンドを見る時には「とりあえずビール」といった暗黙のルールもあり(なぜなら、バンド自体もアンプの上に水ではなく、ビールを置いているのだから)バーカウンターには当然のようにビールを買い求める長蛇の列ができ、パンクス共がワイワイガヤガヤとはしゃいでいる。
 フロアに入るとTHE POGUESのアルバム『IF I SHOULD FALL FROM GRACE WITH GOD(邦題・堕ちた天使)』がSEとしてかかっていて、そろそろクリスマスを意識しはじめる今に「そうだよなぁ、これしかないよなぁ」と"FAIRYTALE OF NEW YORK"を聞きながら思う。

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 さてさて、先陣きって登場したのは関西のラスティック・バンド、CLOVERS。バグパイプ(実はスコットランドの楽器であることを付け加えておく)とドラムのみでアイリッシュ・トラッドを奏でている間に他のメンバーが集まってくる。バグパイプに加え、ティンホイッスルやマンドリン、フィドル(バイオリン)といった、ラスティック独特の楽器の音色に酒も進む。欲を言えばギネスが欲しいところだが。疾走しながらも、突然ワルツのリズムが入ってきたりと、全体的にはTHE POGUES直系の音である。しかし、ウッドベースのライトハンド奏法や、沖縄の三線を取り込んでいるところを見れば、ラスティックの型にはまるつもりなどまったくなさそうだ。
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 続くは、北京から来たBRAIN FAILURE。全くチェックしていなかったのだが、Oiパンクから始まり、次は一転、パワーポップの軽快なアプローチを一曲かまし、OPERATION IVY調のスカパンクへとつなぐ。「僕らは北京から来ました」というMCに続くのはBUZZCOCKSらへんのノリやすいパンク。コーラスの叫びは「B・E・I・J・I・N・G」…おおっ、北京! 見ず知らずの土地で地元をさらけだす人は大好きである。見た目は、ヴォーカルはパブロックのような長袖シャツ、ギターは間違いなくラモーンズ、ベースは西海岸パンクスタイル…といった具合に統一感はまったくないのだが、様々な音を貪欲に吸収していると思うと、これがまた面白く写ってくるのだ。中国や韓国のロックを知るきっかけなど、そうそうあるもんじゃない。知らないだけで、そこらへんのバンドよりも良かったりするから面白い、と同時に勿体ない気もする。とりあえず、また見たいバンドだ。
 いよいよDROPKICK MURPHYS(以下DKM)の登場となると、他のバンドだろうがなりふり構わず「LET'S GO MURPHYS!」と叫んでしまうオーディエンスの声は、さらに強く太くなり、それ自体が生を受けたようにグルーヴを造り出す。モッシュとダイブが欠かせないバンドに備えて、燃料代わりのビールを再び流し込む者もちらほら。照明が落ちればあとはもう暴れるだけ、の心構えである。ステージ前ではすでにものすごいことになっていたようだけど、そんなオーディエンスをじらすかのように、ゆったりとしたトラッドを鳴らしてからライブを始めるのが、ラスティックと呼ばれるアイリッシュパンクのバンド。DKMのライブもバグパイプで始まったが、僕の中では今でもDKMはOiパンクだ。ラスティックに寄るならばマンドリンやバンジョーも用いるはずだ。トラッドの楽器がスコットランドのバグパイプと、ティンホイッスルだけというのは、Oiパンクのバンドだという自負からだろうし、TAANGレーベルでTHE BUSINESS等とスプリットEPを出していた駆け出しの頃と何も変わっていないんだろう。 DropkickMurphysDropkickMurphys
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 今年は、ひょっとするとDKMにとって出来すぎた年なのかもしれない。FRF'04の参戦に、公式ソングなんかも手がけちゃってるMLBボストン・レッドソックスのワールドシリーズ優勝というのもあった。もっとも、今のDKMにとって、注目すべきは開幕したばかりのNBAだったりするんだろう。"チームカラー"と"心意気"がものの見事にリンクしているボストン・ケルティックスの活躍を願っているはずだ。ここまでアメリカ的なスポーツを羅列してみたが、先の大合唱とオーディエンスのやんちゃぶりはフットボールの"フーリガン"と言ったほうが似合うんだよね。
 ドラムとベースの基礎は言うに及ばず、『Sing Loud, Sing Proud』('01)より2本となったギターのおかげで、より骨太になった労働者階級丸出しの猪突猛進ハードコアに、いかにも「肉体労働しています」という印象を与えるアル(Vo.)のだみ声が乗る。兄貴分のRANCIDに勝るとも劣らないシンガロングナンバーの連発に、フロアは大合唱である。それに気を良くしたか、アルは柵前に仁王立ちし、ふっくらしたケン(B.)はご機嫌ついでにきりもみ式のダイブまで敢行していた。アンコールでは、先に触れたTHE POGUESの"FAIRYTALE OF NEW YORK"を演奏し、そのコーラスは綺麗なハーモニーを生んでいた。

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