Caravan @ Shibuya Club Quattro (10th Oct. '04)
プログレを部屋から解放しよう
仕事で少し遅れてクアトロに行くと、そこはオッさんたちばかりだった。パンク系のライヴに行ったりすると「オ、オレが一番年上?」という感じなのであるけど、この日は若造の組に入る。それは安心して良んだが悪いんだか。下手なことを書くと年季の入ったマニアなオッサンたちに怒られるんじゃないかという気も。

ところで、自分はキング・クリムゾンやイエスのCDはかなり持ってるんだけど、いわゆるカンタベリー系は今までノーマーク状態で今年に入ってからSOFT MACHINEを聴き始めたのは、東京ピンサロックスのレイコさんlが「最近SOFT MACHINEを聴いてます」と言っていたからであった。そんな状態でCARAVANのライヴに行ったのだが、印象は「意外にポップじゃん!意外にロックじゃん!」。いや、なんかカンタベリーというと、気の置けない仲間が集まってジャズロックみたいなインプロビゼーションを延々とかますというイメージがあるんだけど、歌メロだけを取り出せば、ネオアコかギターポップかという感じである。もちろんそこいらのギタポバンドと比べ、演奏ははるかに上手いんだが。
それと「意外にロックじゃん」というのは、例えばキング・クリムゾンで言えば"I Talk To The Wind"や"Cadence And Cascade"もしくはMcDonald & Gilesのような牧歌的な感じが強いかなと思ってて、実際フルートやリコーダー(だと思う)を使った曲もあり、そういうテイストはあるんだけど、リードギターのDoug Boyleによるヘヴィなプレイは、何よりも彼らがロックバンドであることが分かる。

それにしてもDoug Boyleのプレイは虚仮威し的にテクを見せ付ける派手さはないけど左指がめちゃめちゃ速く動いて、しかも安定感がある。何と言うか上手い人のプレイを聴いていると、その上手み(=旨み)から伝わってくる気持ち良さってあるなあと。もちろん下手=ダメというのではないのは言うまでもない。そのギターの人とJan SchelhaasによるキーボードやGeoffrey Richardsonのビオラとのそろの絡み合いがよい。特にビオラとギターはキング・クリムゾンで言えば"Trio"みたいな雰囲気も一瞬あったりして、それはエゴとエゴのぶつかり合いみたいな激しさじゃないし、だからといって馴れ合いでもなく、プレイヤーとプレイヤーの緊張感を保ったまま結果的にバンド全体が和に収束するようなものが両立しているのである。そういうのってフジロックで言えば、ROVOとかのトランス系、もしくはストリング・チーズ・インシデントやギャラクテックのジャム系のバンドが醸し出す空気に似ている。
今年のフジロックで松村雄策さんに会ったときに「フジロックでプログレバンドを観てみたい」と言っていたけど、おれも観たい!最後の曲でPye Hastingsが手拍子やコーラスを求めているのにお客さんのノリが悪くて残念だったけど、ああいうフェスの空気の中だったら偏見なく音楽を楽しむ人が集まってくるだろうから、もっともっといいライヴになったんじゃないだろうか。家の中でCDを聴いているだけのオタクなオッサンだけじゃなくていろんな人に聴かれるべきだろう。
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- set list -
01.MEMORY LAIN,HUGH HEADLOSS
02.THE DOG
03.WHY WHY WHY
04.GOLF GIRL
05.9 FEET UNDERGROUND
06.HEAD ABOVE THE CLOUDS
07.REVENGE
08.NIGHTMARE
09.SMOKING GUN
10.BREAKFAST ITEM
11.BACKWARDS
12.FOR RICHARD
13.IT'S NOT REAL
14.IF I COULD DO IT ALL OVER AGAIN,I'D DO IT OVER YOU
report by nob and photo by izumikuma
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mag files :
プログレを部屋から解放しよう : (04/10/10 @ Shibuya Club Quattro) : review by nob, photo by izumikuma
photo report : (04/10/10 @ Shibuya Club Quattro) : photo by izumikuma
photo report : (03/05/10 @ Osaka Big Cat) : photo by ikesan
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