Soul Flower Union @ Shinsaibashi Club Quattro (26th Sept. '04)
旨い酒のように
多くを語ることは無意味なんじゃないか、この日のようなライヴを体験すると、そう思えることがときどきある。そしてただ一言、素晴らしいと表現してしまうには、あまりにも身近な雰囲気に包まれているから、どこか他所行きの言葉のようにも思えてしまう。朝から汗を流して働き、一日の終わりにいい音楽が待つ場所へと足を運び、旨い酒を飲む。土臭くて、油臭くて、地に足をつけたそんな生活が癒されるような、そんなひとときもまたいいもんだ。
そういえばソウル・フラワーのライヴでは、なんだかいつも以上に飲んでしまう。ライヴハウスに行くというより、馴染みのパブに行くといった感じになる。酒が旨いのだ。この日はまたいつも以上に、ジョッキやグラスを片手にじんわりと浸透してくるような歌に耳を傾ける、そんな感じがよく合っていた。 曲の合間にお客さんに他愛もない話を語りかける中川敬が「なんかこのままずっと喋ってそうやな」と言って笑う。
「神戸に松葉杖をついた男がおってね。教師やけど映画評論家。最近、亡くなってね。好きな男やったから一曲作りました」 そんな言葉で始まった"松葉杖の男"。アイルランドの伝説的なトラッド/ロックバンドであるプランクシティ (Planxty)そしてムーヴィング・ハーツ (Moving Hearts)の中心人物だったドーナル・ラニーが、柔らかな笑顔とブズーキを抱えて参加した"風の市"(先月来日公演を行ったKiLAのローナン・オ・スノディが、バンドを始めたきっかけを「ムーヴィング・ハーツのようなバンドをやりたかった」と言っている。ドーナルはMozaikとして新たにアルバムをリリースしたばかり)。クラブ・クアトロの床が波打つように揺れた"神頼みより安あがり"。そして、曲が始まるとフロアから一つまた一つと拳が突き上げられた"極東戦線異状なし!?"。
この原稿を書きながら、会場で購入したアルバム『風ガハランダ唄』に入っている、"満月の夕べ"のライヴテイクを聴いている。歌詞が心にスッと染み入るのは、歌として響いたときだ。様々な音楽に乗せて。なにかの慰みになり得るのは、別のなにかを代わりに費やしているからだろう。ちょうど一日の終わりに飲む、旨い酒のように。生の歌や、生の音楽には、それが表れる。僕たち見る側もまた素直なのだと思う。
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report by ken and photo by hanasan
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mag files :
旨い酒のように : (04/09/26 @ Shisaibashi Quattro) : review by ken, photo by hanasan
photo report : (04/09/26 @ Shisaibashi Quattro) : photo by hanasan
Soul Flower Power : (04/06/12 @ Shisaibashi Quattro) : review by jab, photo by yegg
photo report : (04/06/12 @ Shisaibashi Quattro) : photo by yegg
photo report : (04/06/11 @ Shibuya 251) : photo by hanasan
photo report : (04/06/09 @ Shimokitazawa 251) : photo by hanasan
僕たちはみんな同じ血の色をしている : (04/03/09 @ Osaka Banana Hall) : review by ken, photo by yegg
photo report : (04/03/09 @ Osaka Banana Hall) : photo by yegg
photo report : (01/09/27 @ Shinjuku Liquid Room) : photo by hanasan
interview
極東戦線異状あり : (04/09/20) : interview by ken, photo by hanasan
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