Paul Burch, Joanna Newsom and Eamon (British Sea Power) @ Brighton KOMEDIA (19th Aug. '04)
- part.1 -
「対バンの不思議」
カントリーシンガーとハープ奏者、そしてバンドのキーボーディストの3人が繰り広げるアコースティックセット―。はじめにフライヤーでこのメンツを見た時の印象は「なんじゃこりゃ?」だった。Paul Burchという人がメインで、Joanna NewsomとEamon (British Sea Power) がサポートらしい(フライヤーにはHamiltonの名前もあったけど、彼は演奏しなかった)。この組み合わせは一体…と思いつつ、ネットで調べる暇もなかったのでそのまま会場に向かうことに。
会場はイギリスのブライトンにあるKOMEDIAという所で、ここはライブハウスというより小劇場といったほうがぴったりくると思う。普段もお笑いとか手品とかいろんなパフォーマンスをやってて、月に何度かはバンドのショーもあるといった感じ。ステージは客席とほぼ同じ高さで、ステージ前にはテーブルとイスがあるから、ここに座って見るとちょっとしたディナーショー気分を味わえる。今日のお客さんは服装もたたずまいもかなり落ち着いた人が多く、20代後半〜30代が中心。たぶん200人も入ってなかったと思うけど、小さい会場なのでそれでほぼ満員だった。
まず最初はEamonの登場。彼は、今年のフジにも出たBritish Sea Powerというバンドでキーボードやドラムを担当している。タイコ持ってライブ途中に客席に飛び込む人、というと分かる人がいるかもしれない。今日はひとりでミニギターを抱えて普段着でちょこんとステージに出てきた。その見た目からローファイ・ポップな音なのかと思いきや、見事に期待を裏切られた。まず、ボーカルが思いのほかブルージーで、声の低いことに驚かされる。曲はパンクなドノヴァン(といってもサイケじゃない時の)というか、スティーブ・マルクマスミーツ『One Foot in the Grave』の時のベックというか、少なくともBSPとは全く別モノで、まだまだ引き出しをいっぱい持ってる人なんだなぁと思った。中には数十秒で終わる曲もあって、これはパンクと言えばいいのかそれとも一発芸と言うべきか…。「ヨーロッパの侵略の歌」とか、そういう奇妙なタイトルの曲をギターをかき鳴らしながらガーっと叫んで歌って、気付いたら終わっていた。10曲くらいやったような気がするけど、どれも短かったから30分かからなかった。
次はハープ奏者のJoanna Newsom。始まる前にトイレで手を洗ってたらいきなり素っ頓狂な甲高い歌声が聞こえてきて、見に行ってみると、ネグリジェみたいなワンピースを着た髪の長い女の人がハープを傍らに歌っていた。普通に歌ってる時は普通なんだけど、なぜか高音になると突如水森亜土みたいなキンキン声になる。歌に合わせて幻想的なハープの調べが鳴り響き、「さあ行きましょう〜」とかいってめくるめくメルヘンの世界全開になってるんだけど、これは私にはちょっとついていけない。でもなぜかこの時が一番人が多くて、特に男性客には好評だったみたいだ。この人はドラッグ・シティ(ステレオラブとかジム・オルークのリリースで有名なシカゴのレーベル)から出してて、Cat Powerとも一緒にやったことがあるらしい。彼女を見ながら、ハープ奏者は痔になりやすいということを思い出し、気を付けてほしいと思った。
最後は本日のメイン、Paul Burch。この人はナッシュビルのカントリーシンガーということしか知らずに見てたんだけど、文句ナシにカッコ良かった。カントリーというとどうも野暮ったい感じがして好きになれなかったのだけど、彼はすごくスマートで洗練されてて聞きやすかった。MCも30代の気さくな若者って感じで終始さわやか。音はいわゆるクラシックなカントリーだと思うんだけど、ヘンなリフとか入ったりせずごくシンプルに演奏していたのであんまり古くさく聞こえなかったし、声も渋すぎず、適度に深みがあってちょうど良い。中盤から後半にかけてしっとり聞かせる歌が続き、気が付くと周りにはいいムードになってるカップルの姿が目立つ。もっと聞きたいと思わせる歌だった。またブライトンに来るよと言ってたけど、ぜひ日本にも来てほしいと思った。
さて、そんなわけで今夜は三者三様の演奏を楽しむことができた。でも、この不思議な組み合わせって一体何だったんだろう?出演者同士にあっと驚くようなつながりがあるとか?どうしても気になったのでEamon本人に聞いてみた。
「いやぁ、単にブッキングしたのが一緒だったってだけなんだよね。あ、でもPaul Burchはいいよね!ハープ奏者は実は今日まで全然聞いたこともなかった(笑)」
そ、そうだったんですか…。
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report and photo by taeko
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