buttonThe Captains @ Shimokitazawa Club Que (6th Aug '04)

現実的な寓話


The Captains
 伊坂幸太郎という作家がいる。仙台在住で、仙台を舞台にした小説を多く書いている。伊坂さんの小説は、「未来を予言する案山子」や「落書き消し専門業者の美青年」など、風変わりな人物がよく登場する。空想のような現実のような、ちょっと不思議な感覚。仙台出身のザ・キャプテンズは、そんな伊坂作品に似ている。 The Captains

 この日の会場は女子率9割。思い思いの勝負服を着た女の子達が集まっている。BGMの"愛の水中花"を口ずさみながら、ジリジリとステージ前ににじり寄る女子の群れ。端から見れば、ちょっと異様な光景だ。こっそりメイクを直している子もいる。微妙にお互いを牽制し合っているところが、いかにも女の子っぽい。

 おそろいのコスチュームに身を包み、「下北沢に愛を届けに来ました!」とメンバーが登場。出迎える女の子達は思わず頬を赤らめる。このドキドキ感がかわいい。嬉しそうに恥ずかしそうにステージを見ている。恋する人を前にはにかんだ感じ。視線の先にいるメンバーは、なぜか全員揃って髪の分け目が9:1だけど。
The Captains

 「ささやかなカリスマ」ことメガネッ子のヒザシ、「やさしさそのもの」でいつも朗らかなテッド、「青春まっただ中の暴れ太鼓」を叩く若武者ヨースケ、そしてリーダーである「目力王子」の傷彦。ザ・キャプテンズはメンバーのキャラがはっきりしている。だから女の子達は、必ず誰かを好きになってしまうのかも。

 真っ赤なバラを胸に挿し、「下北沢、燃えてるんじゃないの?」と流し目を送る傷彦の姿に、身悶えする女子続出。そして、よくいわれることだけど、ザ・キャプテンズは演奏がめちゃくちゃうまい。カリスマ性と実力を武器に、彼らは30分間の別世界を作り出す。裏づけのあるエンターテイメントの破壊力はすさまじい。

 ザ・キャプテンズは、ファッションも髪型も音楽もすべて本気。真剣勝負で陥落したハートは、ちょっとやそっとじゃ揺るがない。会場を埋め尽くす女の子達は、本気でザ・キャプテンズに恋をしている。「愛してる」「キャー!」「愛してる」「キャー!」という嘘のようなコール&レスポンスも、本物なのだ。


 伊坂さんは、自らの作品を「地上からわすが数センチ浮いているような"現実的な寓話"」と評する。「奇抜」というほどではないけど「100パーセント現実」でもない、「ギリギリあってもおかしくない程度の設定」。これはそのまま、ザ・キャプテンズを表す形容詞になる。仙台発の寓話は、まだ始まったばかりだ。

<set list>

1. 恋のゼロハン
2. フー・アー・ユー?
3. 2人の世界
4. 砂浜ラブレター
5. たそがれ流星群
6. 恋をしようよ
7. 恋は赤道直下
8. 夕焼けサンドビーチ

report by satori and photo by izumikuma

The Captainsは04/08/05の新宿公演を撮影したものです。

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