FERMIN MUGURUZA KONTRABANDA in Radical Music Network Festival @ Club Chitta Kawasaki (27th July '04)
「謙虚さと幸福のカタルシス」 - part 2 -
|
2003年の春に現在のコントラバンダのメンバーが参加したアルバム『In-Komunikazioa』を、キッチュなフェルミン節とエキゾチックなソルクンの歌声に導かれるハッピーなダブ/ジャングル/エスニックが満載の前作『FM99.00 DUB MANIFEST』から3年ぶりにリリース。だがコントラバンダとしてのツアーは、キーボードのエヴァの育児休暇のために年内いっぱいは行わずに(エヴァの愛くるしいベイビーは、エヴァとベースのアンドレ、ギターのパプーチが参加する別バンドDESECHOSのエンハストアルバム『cando es manana』収録のプロモクリップで見れます)、マヌとのユニットJai-Alai Katumbi Expressとしてツアーしていたフェルミン。年が明けて、フェルミン・ムグルサ・コントラバンダとして満を持して臨んだスペインツアーだったが、政治的な介入によりバルセロナでのギグを除くすべてのツアーをキャンセルさせられる事態に。
|
|
今年3月14日の朝の通勤ラッシュ時にマドリードで起きた、死者200人を数えた悲惨な列車同時爆破テロ。その一週間後の総選挙で、当初テロにアルカイダが関わった証拠をひた隠しETAの仕業と印象づけるのに躍起になっていたアスナール国民党が、歴史的な大敗を喫して政権の座から滑り落ちる2ヶ月前の出来事だ。再び社会労働党が政権に返り咲いたことについては「バスクにとっては、状況は間違いなく良くなるだろう」とフェルミンは語っていた。先頃リリースされたライブアルバム『Komunikazioa Tour』は、州知事や市長をはじめ市民が公式にサポートを表明し、唯一スペイン国内で行われたバルセロナでの公演を収めたものだ。バルセロナを州都にもち、やはり独自の文化と言語をもつカタルーニャも独立志向の強い自治州だ。
|
|
その『Komunikazioa Tour』でとくにJames Brownの”Think”をフィーチャーした終盤に、鬼気迫るパフォーマンスを披露しているフェルミンとコントラバンダなのだが、権力に決して屈しないという決意表明ともとれるカタルシスとはまた違って、この日は、異なる文化と文化がつながり合うことの意味を誰よりも訴えてきたフェルミンの真骨頂ともいえる、もっともっと開かれた音楽だったように思う。コントラバンダとして日本で演奏できることの純粋な喜びと、確信に満ちあふれたステージだった。フロアにはみんなの煌煌とした笑顔が最後まで尽きることはなく、それどころか終演後の楽屋では、どこからか乱入したお客さんたちの「イェーイェーイェ!ダブ・マニフェスッ!」という飛び跳ねながらの合唱がずっと続いていたのだ。
|
|
フェルミン自身が気さくで抜群のユーモアにあふれた、とてもオープンな人だ。首筋に彫られた『考』とならんでまだ真新しい左腕の『教』の字。その『教』は「教える」ではなく「教わる」という意味に思えてならない。ジャンルレスな雑食性の音楽を媒体に、これだけハッピーで心地よい一体感を作り上げるのは、そんな謙虚さが底にあるからだろう。
|
|
|