buttonShang Shang Typhoon
@ Hanazono Shrine (7th July '04)

うつつに灯る夢心地


上々颱風 Shang Shang Typhoon
 コンサートの行われる数時間前に新宿に立ち寄る機会があったのでステージとなる花園神社へと足を運んだ。カンカンと鳴らされる槌をBGMに見た設営中のステージやそこにぶら下がった提灯、骨格だけの物販テント達は、私に幼少時代の近所のお祭りを髣髴とさせた。こんなピュアな気持ちで夜を待ちわびるのは本当に久しいものだなあ・・・。
 さて、今回の舞台となるここ花園神社界隈であるが、ここの裏手には有名なゴールデン街、歌舞伎町などがあり、色とりどりのネオンがある傍らでネズミが路上死していても不思議じゃない、都会にあって都会でない絶妙なバランスが張られた稀有なエリアである。それはビルに囲まれながらもキチンとした境内を備えた花園神社は勿論のこと、今夜執り行われる上々颱風の音楽性にも言えるかもしれない。

上々颱風 Shang Shang Typhoon
上々颱風 Shang Shang Typhoon

最近までは椎名林檎の専売特許となっていた歌舞伎町も、今ではヤクザや風俗だけでない多国籍空間としての側面も備えてきており、のん兵衛の住処となっていたゴールデン街も近年若者の手による新しい風が吹き始めているのだそうだ。ミックスドカルチャー、それは言わずもがな上々颱風のサウンドの十八番だ。そして無垢な歌詞もまた都会に夢を追い求めて上京してきた我々に染み入るわけで、そんなこの街と彼女たちとのリンクがこの夜のコンサートへの期待を鼓舞させるのだ。
 午後七時、その夜は始まった。タンクトップ一枚でもお構いなしに汗がにじむ熱帯夜を照明が照らし、オリエンタルな音が観客を通り過ぎる。涼やかなメロディだが温度を下げるほどの奇跡までは起こせないので、冷えたアルコールを流し込むことにする。すると、少量ながらもここの雰囲気がいつしか私を酩酊へと誘いこんでいた。意識こそハッキリするものの、この蒸し暑さの中でも締まらない笑顔がこぼれて仕方ない。手拍子を止めないオジサンやネクタイを巻いたままの男性、母親の周りでキャッキャッと楽しむ子供達、まさに老若男女揃った観客とこの空間を共有しているとぼんやり意識しているうちに、凝り固まった感情がほぐされているのかもしれない。ライヴだけでなく、インフォメーションを見ただけで「その組み合わせは卑怯だ!」と思ってしまうような、あらかじめ成功を約束された素敵なイベントというものがある。この公演などまさにその好例に違いない。七夕という日本人としてスピリチュアルなものを意識してしまう暦、新宿と言う街、提灯の明かり、そして上々颱風...毎年恒例になるのは必然といえよう。

上々颱風 Shang Shang Typhoon
上々颱風 Shang Shang Typhoon
 ロケーションだけでも満腹なのだが、それなりの歴史を持つ彼女達のアーティストとしての魅力もこの日存分に披露されていた。 私が彼女達の音を生で体験するのは今夜が初めてなのだが、驚くべきはその再現力である。CDに詰め込まれた様々な楽器とリバーブが軽く施されているような特徴的なアンサンブルが決して質を落とすことなく(むしろアレンジを加えてさらに生き生きさせ)表現されていたことには、刹那主義の「ライヴ」とはまた別の魅力を感じた。 そして、CDを聴き倒していた自分が一番多く拍手を送りたくなったのが二人のボーカルパートだ。暑そうな衣装やバラードなのに空気を読まない選挙カー、あと”春風は河を渡る”でのちょっとした失敗をまったりとかわすMCの巧みさも然り、新曲”月夜のラクダ鳴いてるだろか”で単に「レ」という言葉一文字で紡ぐ音の響きは、古酒の喉越しのような味わい深さを思わせる。そのおかげで一時間半のセットですら「まだまだ足らない」とつい言ってしまう位で...。
 もしもあなたが東京にお住まいでいらっしゃって、来年の七夕の予定が未だ決まっていないようならば、是非そこに「PM7:00〜 花園神社」と書き加えてくだされば幸いである。天の川をほとんど望めないであろう東京で、それよりも素晴らしいものと出会うことができるに違いない。
上々颱風 Shang Shang Typhoon

report by ryoji and photo by hanasan
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buttonうつつに灯る夢心地: (04/07/07 @ Hanazaono Shrine, Shinjuku) : review by ryoji, photo by hanasan
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