button GIVE A RAT TO THE CATS feat.SORROW, TRIOL,
SARASOUJYU, PEAL OUT, IWATA and MORICAW
@ SHIBUYA CHELSEA HOTEL (2nd July '04)

トムとジェリー

sorrow
 7月2日のチェルシーホテル、SORROWの川村カオリ、TRIOLのRYOKI、ショップGARROT de matouのIWATAによって、『GIVE A RAT TO THE CATS』というイベントが行なわれた。直で訳せば何の変哲も無いタイトルだが、深く掘り下げて解読してみれば、様々な意味を持ってくる。CATってのは、色欲を指す場合もあるしね。会場内で販売されていたイベントTシャツから判断すれば、ヘヴィなディストーションをかけるRAT(エフェクターの名称)が渦を生み出し、それに目がない僕たち(CATS)は半ば狂気じみて手当たり次第に喰らっていく、ってことか。

 トップバッターはSARASOUJYU。平家物語のさわりに「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必滅の理をあらはす…」とあるが、おそらく同じだろう。名前を見れば、あぶらだこの様にとめどなく深化していきそうだが、今現在はハードコア。ゴリゴリと前に突っかけてくるサウンドに、パンク/ハードコア率が高いオーディエンスは一定のタイミングで腫れ物に触れられたかのように、体でリズムを刻む。荒削りだが、血の通ったロックを正面きって叩き付けた彼らが、その名の通り菩提樹と並ぶ木に成長した時には、きっと深淵をまざまざと見せつけられることになるだろう。
triol

 セットチェンジ中にはIWATAを筆頭としたDJ陣が場を盛り上げ、フロアの熱を下げさせない。ハードコア、パンクはもちろん、ミクスチャーやヒップホップまでも織り交ぜて、オーディエンスが持つ様々なアンテナに働きかける。ただ、ライブが良くて、もうちょっと聞きたくてもアンコールがしにくい、っていう思いもあるわけで、ややじれったい。これは相当な欲張りなのかもしれないけれど。

 PEALOUTは日本のオルタナの申し子とか言われたりもするけど、今回はパンピン・ピアノをフィーチャーした6弦なしのスタイル。いつもとは明らかに違うであろうオーディエンスに爆音を浴びせ、爆裂した世界を見せつけ、首根っこ引っ掴んで虜にすることも容易なはずなんだけど、あえてそうしない。一曲目"GOODBYBLE"からピアノは軽快なフットワークを見せ、蝶のように舞い、蜂のように刺す…。ベースには強烈なエフェクトをかけ、ギターなんぞ必要なし! とメロまでも組み上げてしまう。エキサイトしたコンドウトモヒロ(普段はとても静かで優しい人なんですが)は、キーボードの上に登りて僕たちをアジテートし、結局、最後の"ラインを越えて"に至るまでに、蜂の巣にされてしまった。

 3バンド目は千両役者のTRIOL。ヘヴィに、ハードにと、曲によって毛色が違うことに驚いた。見た目で申し訳ないが、ドラムは時にねちっこく、またある時は軽快にリズムを叩き、ベースは噛み付くぐらいに前屈みで、独特な指使いでファンキーさをも持ち合わせている。ヴァラエティの豊富さが、あれもこれも、とついつい欲張ってしまう自分にとってツボだった。ヴォーカル/ギターRYOKIの、要所にロカビリーの要素を隠し味的に振りかけているのも、ニクい。ダイブとモッシュの雨あられを受けて、負けずにフロアに突っ込んでいく行動も、ステージとの境などないという意思の現れだろうし、その間にも壇上の二人が破天荒にもんどりうって、完全燃焼に向かって突っ走っている。そんな彼らを見て、ふと思った。DJが繋ぐパーティーだから、3バンドともアンコールのための余力は残してないんだと。
sorrow

 SORROWは正直、反則でした。だって"PIPELINE"、"ACE OF SPADES"から始まるんだから。あくまでも前者はデケデケデケ…でおなじみのサーフインストバンドのカバーではない、と言っておこうか。てっきり新曲からだと思っていたのに、カバーでいきなり面食らう。川村カオリのかわいらしい服と三つ編みにも少し面食らう。のっけから裏切りの連続に、「やられた!」という喜びと悔しさが入り交じった感情が沸いた。勝手ながらに判断すると、今回は楽しむことに重きを置いているみたいだ。でも、思ってみればそもそも彼らにルールなんてなかったよな…。感情が素直に現れて、嘘がまったくつけないバンドだから、自ずとそうなってしまうんだろう。

 さて、タイトルも知らない新曲なんだが(「やるよ」とは聞いていた)、いざ聞いてみたら、ロックのルーツはもちろん、ジャズまでも飲み込んでいて、しかし、自分流に解釈していた。ハイハットのアタック音がジャジーに響き、ギターのカッティングで時間を切り取り、ウッドベースならではのフレットレスで伸びのある音とタップが踊り狂い、川村カオリが吐き出した言葉と絡み合って、まるでザラついた路面を無鉄砲に駆け抜ける単車のように、跳ね馬、暴れ馬となって襲いかかってくる。トータルで見たらば、細かい部分で「あれっ?」て思ったりもしたけど、苦笑いで応えるメンバーの顔を見ていると、楽しそう。それがフロアにも伝わるから、笑顔が溢れる。こんなこと普段なら照れくさくて言いにくいのだけれど、SORROWがはっちゃけているから、こちらもはっちゃけてみたんだけどね…。パーティーはパーティーらしく、のスタイルで、それこそフルスピードで疾走して、後には塵の一つも残さない。瞬間を見つけ、フロアを一気にピークまで持っていったSORROWに、この言葉を贈りたい。
sorrow

「参りました」

 ちなみにSORROWは7月4日から不定期で、『696』以来の、「対バン」をメインとした新イベント『UNDERGROUND〜TOO DRUNK TO FUCK〜』を開催いたします。初回は大阪ベイサイドジェニー。対バンの相手は、なんとSHEENA&THE ROCKETS!!  地方開催にとことんこだわったイベントです!  ロックは東京だけのもんじゃないがや!!  って勝手に言ったけど…良かったん?


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