button CLICK Presents 山口洋×コンドウトモヒロ
〜 Soul Meeting 〜
@ 福岡DREAM BOAT (26th June '04)

ある・暑い・夜の・夢


 山口洋(HEATWAVE)×コンドウトモヒロ(PEALOUT)。今までありそうでなかった響演が、彼らの地元である福岡で実現した。近藤智洋がHEATWAVEをリスペクトしているのはよく知られた話で、99年にはHEATWAVEのライヴに出演、ということはあったが、こういう形での対バンはおそらく初めて。まさに夢のような組み合わせ。

 会場となった赤坂ドリームボートは、90人も入ればいっぱいのこぢんまりしたライヴスペース。満員の場内を木目調の優しい茶色がつつんでいる。そんな暖かい雰囲気のせいなのか、ぎっちり人が入っていても窮屈さを感じない。むしろ、自分の周りに人がたくさんいて、その気持ちが同じ方向を向いていることがうれしく思える。これから始まる音の物語を楽しもうという方向に。
soul meeting

 そんな観客の気持ちとスポットライトが照らすステージにゆっくりと現れたコンドウトモヒロ。PEALOUTの時とははっきり違う、メロウな空気と「今日は本当に楽しみにしてきました」という思いを湛えながら音を紡ぎだしていく。最初はひとりで、2曲目からはここ1年ほど一緒にやっているドラムの城戸紘志(JUDE)が入って、静と動が絶妙に交じり合うライヴを展開していく。城戸のドラムは、その音だけで十分引きつけられるものがあるのだが、鈴を使ったり、チェロを弾く弓のようなものでシンバルを擦って音を出したりと、「へぇ」と思うようなパフォーマンスも見せてくれる。いいコンビだ。1年やってきて、息もどんどん合ってきているし。お互いの力を存分にぶつけ合って生まれる、強く激しい曲があったかと思えば、メロディとリズムがこれ以上ないくらい美しく重なり合う曲で会場中を黙らせたりする。PEALOUTとは一味違うサンバのリズムにのる"爆裂世界"、"きみはどこに"の水面に波紋が広がっていくように、静かに浸透していくヴォーカル…。決して上手い歌い手ではないと思う。だけど、その歌には一度聞いたら何度でも聞きたくなる不思議な魅力がある。

 柔らかさと激しさ、熱さと静けさ、光と影、白と黒。そんな2面性のようなものが、彼の持つ柔らかい光りの粒子を通して表現され、聴く者の耳と心を満たしていく。 最後はHEATWAVEの"ことば"〜自身の曲"WEAPON"と繋いでギターを置いた。HEATWAVEを聞いて自分も歌いたくなって、今も歌い続けている…、と言っていた気持ちを表しているような流れだった。
soul meeting

 続いて、ふらりと流れ着いた旅人のようにステージに上がってきた山口洋。そのたたずまいは、いい意味で肩の力が抜けていて『大人のカッコ良さ』を感じる。1曲目の"ハピネス"が終わると「久々に一人で福岡に帰ってきたので、今日の曲はみんなと相談しながら決めましょう」なんてうれしい提案が! こんなにラフな感じで客席とのクロストークがあるのも、こういうアットホームな場所と地元福岡ならではだろうか。

「老人と日曜日の公園が見えてるんだけど、どっちがいい?」

 なんて具合にリクエストに応えながら(チューリップの曲も飛びだしたりして)ライヴが進んでいく。歌詞に会場のある「赤坂」という地名を入れて歌う余裕を見せたり、冗談を交えて会場をなごませたり…。なんだか、とてもゆったりとした暖かい時間が流れていく。"STILLBURNING"では、ギターのアンプを切って、マイクからも離れて生声を聴かせてくれるサービスも。マイクを通さずとも変わらず響く歌声に心底やられてしまう。血管から内臓にまで衝撃を与えられるような力強さ。その歌声からは様々な色や風景が見えて、山口洋と一緒にあんな場所やこんな場所へ旅をしている気分になった。
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 ラストは"満月の夕"を静かに、そして力強く響かせて幕を降ろした。自分の中に残る歌が聴けた。会場中がそんな満足感でいっぱいだった。

 アンコールでは出演者3人全員がステージに上がった。HEATWAVE、PEALOUT、JUDEと普段はそれぞれ別のバンドで活動する3人。20代、30代、40代と年齢もバラバラの3人。そんな3人がここで出会って同じ曲を演奏する。一生に一度見れるか見られないかの貴重な瞬間を見た気がした。やる側にとってはそんなに大げさなことではなかったかもしれない。それでも、やっぱり、この場にいられたことを感謝せずにはいられなかった。"FISHERMAN'S BLUES"、"僕らの生まれ変わりに"とカヴァーし、ラストはHEATWAVEの"ライオン"。「ひとばんじゅう、狂っていたい。みんなだってそうだろ?」コンドウトモヒロにそう歌われたら、それは本当になった。ライヴが終わってからも、身体の中で流れる音は止まらなかった。

 ひとばんじゅう、狂っていた。ひとばんじゅう、笑っていた。ひとばんじゅう、夢を見ていた。

【set list】
コンドウトモヒロ
with城戸紘志

1.見しらぬ魂
2.水音
3.恋に落ちたままで
4.春風
5.きれいだね
6.爆裂世界
7.きみはどこに
8.BAREFOOT DYARIES
9.感触
10.荒野を抜け、そして戻る
11.静かな世界へ
12.ことば(HEATWAVE)
13.WEAPON
【set list】
山口洋

1.ハピネス
2.君を連れてゆく
3.夏
4.「33」
5.STILL BURNING
6.パラノイアボヘミアンブルース
7.SWEET HEART/SHE'S HURT
8.歌を紡ぐ時
9.誰も居ない庭
10.満月の夕
- Encore -
山口洋、コンドウトモヒロ、城戸紘志

1.FISHERMAN'S BLUES(WATER BOYS)
2.僕らの生まれ変わりに(メインストリート)
3.ライオン(HEATWAVE)


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