ミルクティース @ Shibuya O-Crest (24th June '04)不自由の中の自由を

ステージの上で自由になるというのは、どういうことなんだろう?コードやリズムやメロディを無視して演奏することなのだろうか?衣装を着ずに暴れることなのだろうか。もちろん、そういう表現もあるのだろうけど、どんなに自由に動いたとしても、必ず何らかの定型にハマってしまう。大抵の過激な演出と呼ばれることは、以前に誰かがやっていたことなのだ。ならばどうすればいい?徹底した不自由の中に自由が見えてくるのではないか、不自由を逆手にそれをズラしていけばいいのではないだろうか。
ミルクティースは「ショー・タイム」と自分たちのステージのことを言っている。まさに、30分完結したショーとして、徹底して作り上げたものを見せてくれる。一時期のザ・ゴールデン・ファイヴなんかもそうだけど、オープニングから最後まで、曲と曲をあらかじめ録音したMCやSEでつないでいくような演出をしていたバンドはあるけれども、ここまで徹底したバンドを観るのは初めてだ。
ショーはラジオ番組のように進行していって、サーフパンクなギターが炸裂して疾走していく曲から、ちょっとジャジーな曲、ベースのアサコ・ジャパンが歌う80年代アイドル風の曲など、短い演奏時間の中にバラエティの広さを印象付ける。そんな中でもキャッチーなメロディとノイジーなギターが気持ちいい"SEA SEA SEA"やポップな中に切なさを溶かし込むのは、もはやL⇔R並みと言ってもいい"ニューウェイブ・ワルツ"などが好きだ。
そして、ダンス講座(毎回内容が違う。この日はツイスト)とか、お客さんにインタビューとかの演出が笑わせる。インタビューといってもあらかじめ録音されているもので、客(女の声)「私、悩みがあるんです」、男の声「何だい?」、客「ベランダに付いているこいのぼりが怖くて外せないんです」・・・という時事(?)ネタを織り込んだもの。不意にマイクを突きつけられた、お客さんのリアクションを観て楽しむものだ。ユーモアが常にある、っていうのがいい。
ミルクティースのステージは、曲間のSEやシンセ音などのバックトラックが録音されているため、ちょっとでもタイミングを外したら大惨事になってしまうんだろうけど、制約を自らに課して、その中で存分に暴れることによって逆説的に自由を表現しているのではないか、そんな感じがするのである。
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report by nob and photo by izumikuma
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不自由の中の自由を (04/06/24 @ Shibuya O-Crest) :review by nob, photo by izumikuma
photo report (04/06/24 @ Shibuya O-Crest) : photo by izumikuma
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