The Captains @ Shibuya YANEURA (13th June '04)
髪型だけじゃない、実はお客も女7割、男3割
映画やらCMやらで岸部一徳(ex.ザ・タイガースの岸部おさみ)の存在感を肌で感じてしまう今日この頃。タイガースってレコードのアレンジとかで無理矢理イメージ作りをさせられたことへの憂さ晴らしもあって、とんでもなくパンチの効いたライブを繰り広げていたらしい。そんな見る者をのけぞらせる様な雰囲気を、世紀末すら何事も無かったかのようにあっさりと通過した今の時代に再現してくれるんかい、と疑いつつもついついレポートに立候補してしまったザ・キャプテンズのライブ。このバンドの話、実は昔の女からたまに聞かされていた。だからなのか、けっこう楽しみだったにも関わらず「俺はいちげんさんだよ、ついていけるかよくわからん」などと斜にかまえてみる。
事前情報によると、彼らのライブは相当激しいらしく、ハートビートな異空間を生み出すらしい。また、お客さんは女子が多いらしい。ファンのケツでぶっ飛ばされないように気をつけながらライブを見なきゃいけない、などと余計な心配をしてしまった。回転寿しのように次から次へと流れてくる情報を鵜呑みにしていてはラチがあかないので「耳にフタ」、事前の音源チェックなど、しないしない。っつーわけで今回は丸腰同然で飛び込んだライブとなった。
ぼーっとしていても目に飛び込んでくる物販コーナーには、”はっぴいえんど”風のウチワや、ずららっと壁に張り出されたブロマイド。音はGS、グッズでロックの先人やアイドルの要素も加える…たしかに「今」だからこそできる、時代背景無用のごった煮感覚。でも、グッズはオリジナルもいいけど、パクりパクられも面白かったりする。第二ボタンは売らないのか? ライブハウス到着一番乗りの子にその日の第二ボタン。ありそうで、やっぱり無かった。
ステージ上の機材はグッズのレトロさとは裏腹に、いたってメジャーな機材が並んでいる。ニートビーツはマージー・ビート全盛の時代をそっくりそのまま再現するためにヴィンテージの機材を使用していたが、キャプテンズは「昔」を持ち込むのではなく、「現在」のGSを奏でるために、あえて、という感じがする。ぢゃねーとアンコールでライトハンド奏法なんかやらんだろうし。実はHR/HM経由なんて、思わずニヤリである。
紺色の軍服みたいな出で立ちで登場した面々は思ったより若いと感じたが、それでもやはり年齢不詳と表現したほうがいいだろう。ドラムのヨースケは髪をサラリとなびかせ、ベースのテッドはペコちゃん人形のようにはにかんで、ギターのヒザシは国民的アニメに登場する中島君のよう。しばしじらして登場の傷彦は白い花束を持っていて、それに目を輝かせるお客さんは餌に群がる鯉(恋だけに?)のようにステージへと殺到し、まるでおばちゃんが杉良太郎の流し目をゲットする時のようだ。普段は引っ込み思案という日本人特有のシェルターでガードされ、ぐっすり熟睡しているおばちゃん根性が一斉に覚醒する様は、正直恐いです。パッと見では、皮被り(ごめんなさい)で、激しいというズル剥けの音は想像できないのだが…。
スパイダース調で始まったライブは、ものの見事にロックンロールの芯を打ち抜いていた。ドラムのタム回しにほとばしる激情すら感じ、ベースはバッキンバッキンと容赦ないテクニックを惜しげもなくさらしている。リズム隊だけでも大満足なんだがね、二本のギターも硬水、軟水のように毛色の違う潤んだ音色を生み出して、それら全部合わさったらラウドでヘヴィ、なのにGSを逸脱していないというぶっ飛んだ違和感を感じた。おそらく、ザ・タイガースのライブもこんな感じだったのだろう。さらに被さる、ひとりひとりを見つめて囁きかける恋の伝道師・傷彦の甘いヴォーカルに、もう周りはメロメロ。うっかり「恋という字は下心」などと言おうものなら、どうなるかわからんぜ。耳へと入っていた情報は外れではなかったが、いざ見て圧倒されたライブの印象に比べるとまだまだ控えめだったということだ。
バカテクでギターを弾きながらも、超速で☆の振り付け(おそらく、お前一番星)を絡めるヒザシが兎に角スゴいけど、振り付け完璧の女もスゴい。男は覚えきれていないようで、動きが遅い。この差は照れか、それとも恋の力かね。
屋根裏にGS…似合うかも。親父が昔集めたGSのレコードが屋根裏でホコリを被ってる、なんて家もあるんじゃないか? すぐに引っ張りだして針を落として下さいな。
- セットリスト -
1.夕焼けサンドビーチ
2.フーアーユー?
3.恋のゼロハン
4.お前一番星
5.恋をしようよ
6.恋は赤道直下
- アンコール -
黄昏流星群
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report by taiki and photo by nachi
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