Smashing Mag / 「スペースシャワー列伝第三十九巻～暁の宴～」@ Shinjyuku LOFT (11h June. '04)

「スペースシャワー列伝第三十九巻～暁の宴～」
feat. THE LOCAL ART, キャプテンストライダム, フジファブリック
and 椿屋四重奏 @ Sinjuku LOFT（11th June. '04）

4つの夜明けの太陽たち
「～暁の宴～」というイベント名が示す通り、この日の新宿LOFTには、夜明けの太陽のようにこれからどんどん明るさを増していきそうな、勢いあるバンドが集まった。先陣を切ったのはTHE LOCAL ART。ステージ前面にかけられたスクリーンが上がると、センターにどっしりドラムがセットされていて、いきなり意表をつかれる。ドラムヴォーカルという珍しいスタイルをとる彼らは、TV中継が入っているからか、初っぱなから気合い十分の激しいドラミングでスタート。このバンド、なんだか男子高のニオイがするのは、メンバー4人中3人がヒゲ面という、ヒゲ率の高さが男臭さを醸し出しているからなのか!? そんな見てくれに似合わない、切ない心情をくちゃくちゃの顔で歌い上げるミスマッチが、なんとも憎めず、いい感じだった。　　続いて登場したのは、キャプテンストライダムだ。聴けば聴くほど、なんだか懐かしく思えてくるのは、歌声がユニコーン時代の奥田民生に似ているからなのだろうか？いや、それだけではないはずだ。じっと聴いていると日本語がくっきり浮かび上がってくる、どこか"和"を感じる曲達がそんな気にさせるのだろう。ポップな音を淡々と奏でていたと思ったら、MCではしっかり笑いをとって、観客の心をキュッと掴んでいた。　　会場にピアノの音が響き、スクリーンが上がると、ステージに5つの影がゆらりと現れる。妖艶な雰囲気の中、スタートしたのはフジファブリック。ピアノが効果的に鳴る曲もあれば、ギターをフィーチャーしたものもあったりと、多彩な音の洪水に一気に呑まれていく。その音の中で、ピンと張りつめたロープのような意志を持って響くVO.志村の歌。濃くたかれたスモークの中に、声のラインがくっきりと見えるようだった。　　宴のトリを務めるのは、最近、東京初ワンマンを成功させ、絶好調の椿屋四重奏。いつもの白シャツではなく、柄ものの半袖でVO.中田裕二が登場し、ファンは少し驚いたようだ。髪の毛も伸びて、以前よりあかぬけたか？ライヴが始まると、この日の出演者の中では一番ラウドな音ということで、フロアの揺れが一段大きくなる。たった一つの声でバンド全体を引っ張る中田。それを支えるクールなベースに、もはやリズムの枠を越えてメロディすら叩き出すドラム。演奏の方も、どんどん研ぎ澄まされていく気がして、バンド全体が良い方向に変化してきてるのかな、という印象を受けた。しかし、ドラムロールに合わせて行われる恒例のメンバー紹介や、こちらはさっぱりあかぬけないMCは変わらない。そして、彼らが表現する「艶ロック」という本質も。そこには、結成4年目にしてすでに"いつもそこにある"安心感が存在していた。変わっていくものと変わらないもの。この二つを大切に、前へ進んでいって欲しいバンドだと思った。短い持ち時間の中で、それぞれが「個性」という打ち上げ花火をあげまくったこのイベント。まさに「宴」というにふさわしい一夜だった。この模様はスペースシャワーTVにて7/16（金）21：00～22：00オンエア! ライヴを見逃した人はこちらをチェックしよう。