「Less than TV presents "HOLLYWOOD JUSTICE"」 ラジオの様に / TEXACO LEATHERMAN / MOSCOW featuring ZAZIE(ex-SODOM) / EVIL SCHOOL @ Shimokitazawa Shelter (5th June. '04)
ポジパンって何だ?!
ステージ奥にしつらえてあるドラが幾度となく打ち鳴らされ、shelter内に雷鳴の如く響き渡る。その音を合図にメンバーがゾロゾロとステージに登場、TEXACO LEATERMANのステージが始まった。まずは彼らのかなり際っ際のビジュアルから説明せねばなるまい。ボーカルは上半身裸でよれよれのスーツ着用、片手に日本刀、首には某黄色いレコ屋のタオルという出で立ち。ベーシストは黒ブラ&革パン着用の女豹系美女。ツインギターのうちの一人は「王様」と呼ばれる、心底謎めいた風貌を持つオッサン。一人はワイルド系(でもTシャツはポケモン)。強面長髪ドラマー。スタイリッシュさとは無縁にも拘わらず、非常に絵になるバンドなのである。その視覚に与える軽い眩暈にも似た衝撃は、演奏が始まるとともに聴覚をも連動させ、更に増幅していく。一般的にはガレージ系に分類されているTEXACOのサウンドであるが、そこいらのガレージバンドが平伏するぐらい驚異的にヘロヘロでヨロヨロ。始終支離滅裂で、バンドとしての纏まりなんて無いに等しい。
でも己の体内から止め処なく湧き上がる昂揚感と、抑え切れない衝動は間違いなく彼らのサウンドに感応している証拠だ。結成から15年を経たという彼らだが、何故にここまで高純度でズル剥けの変態性を保ち続けていられるのだろう。実に下品で野卑、猥雑極まりない臭気を放つTEXACOのサウンドは、たがが緩みっぱなしな故に全ての人に解放されている。かくも生々しく咆哮する彼らに、最大級の賛辞を禁じ得ない。
80年代前半ら90年代前半にかけて活動していたバンド、SODOMのZAZIEをヴォーカルに擁するMOSCOW(モスクワ)。残念ながら私はSODOMのことは殆ど知らない。かつてハウス・クリエイターの福富幸宏が在籍していたバンド、ぐらいの僅少な知識しか持ち合わせてないので、当時恐らくカリスマティックな人気を誇っていたであろうZAZIEがステージに登場しても、いまひとつピンとこなかった。だが、その端麗な容姿と醸し出す独特の雰囲気からは、在りし日のSODOMでの姿が偲ばれるようだ。恐らく当時からさほど変化してないんじゃなかろうか。曲が始まると、一瞬にして会場の空気が転換したのを感じた。さきほどまでの喧騒はどこへやら、なんだか急に殺伐とした緊張感がステージを覆い尽くす。まるで暗雲が立ち込めているように、どんより暗くて重々しいサウンド。今までこういう類の音楽とは無縁に生きてきたが、想像していたのより全然悪くない。手放しで「好き」とは言い切れないけれど、胸を揺すぶられる瞬間が幾度かあったのは事実。しかしながらMOSCOWは、この日で活動は休止するそうだ。
トリはEVIL SCHOOL。ポジパン・バンド、なのである。ポジパンは全く通過してこなかった(抵触ぐらいはしてるかも知れないが・・・)私にとって、まずは「ポジパンって何?」という大いなる疑問が前提としてあった。おぼろげな枠組みみたいなものは見えてるけど、肝心な実像は掴めていないという感じ。ともかくEVIL SCHOOLを見れば、ポジパンの何たるかは理解できるんじゃないかという、淡い期待のようなものもあった。メンバー全員顔面白塗り&目の周り真っ黒というメイクを施しての登場。会場からやんやの喝采の声があがる。ギタリストはPUNK/HARDCORE系の注目イベント「TOXIC PUNK WASTE」を主宰しているWTZ氏、ヴォーカルはfOULの谷口氏。予備知識があったからこそ「へーこの人があの?」なんて思えたけど、それが無かったら絶対に分からなかったはずだ。サウンド的には、「ポジパン=暗くてネガティブでシリアスなもん」っていう先入観があったけど、EVIL SCHOOLに関してはそれは覆された。
シャレでやってます感ゼロの、かなり気合の入った演奏であるにもかかわらず、めちゃくちゃ楽しい!というか、やってる本人達が観客より誰より一番楽しそう。ポジパンなんてちゃんと意識して見るのも聴くのも初めて、なんていう私ですらもWTZ氏の奏でるメタリックなギターや、谷口氏のfOULでのそれとは異質の不穏なヴォーカルには、かなり惹き込まれた。ポジパンってこんな音楽だっけ?って何度も思い返すほど、野性味と開放感に満ちていて、何よりドキドキするほど悩ましい。ポジパン侮り難し、と強く胸に刻んだ。大人への階段をまた1段上がったような気がした。(もう十二分に歳とってるけど・・・)
この日1番手のラジオの様に(とても良いバンドです)は残念ながらほんの僅かしか見ることができなかったが、総じて非常に濃密なイベントであった。企画はあのLess than TV。心の底から面白いと思えるものをリリースしている、数少ないインディーズ・レーベルのうちの1つだ。リリース、ライブを含むLess than TVの今後の動向から絶対に目を離すまじ。
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ポジパンって何だ?! : (04/6/5 @ Shimokitazawa SHELTER) : review and photo by uko
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