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EDGE OF CHAOS (28th Apr.'04)

混沌音楽数珠つなぎ


  灰野敬二(不失者)、RECK(フリクション)、そしてPILL(デルタピュ−レ)。彼らの音楽を全く知らない人でも、3人のうち1人ぐらいの名前程度なら聞いた事あるだろうと思う。この3人により結成されたバンド、HEAD RUSHが新宿LOFTで行われるライブ・イベントに出演するという。しかもWRENCH、DJ BAKU、o.n.oという、おおよそ音楽的にも年齢的にも大差あると思しき面子とともに。最初にそのHEAD RUSHのメンバー名を聞いた時点では「へーすごい」という率直な驚きが何より先にあったが、よくよく考えてみるに彼らの音楽的な実状は殆ど判ってないような有様だった。
  2000年に結成されたというこのバンドのこと自体全く知らなかったし、メンバー各人についても実際にライブを見たことあるのは灰野敬二氏唯一人だけ。RECK氏についてもFRICTIONは知識としてあるにはあったが、まだ音楽活動を行っているのかどうかも曖昧だった。PILL氏は後で「元LIP CREAMの人」と知るに至ったが、ライブ見た時点では失礼なことに「PILLって誰?」「デルタピューレって何?」という状態。でも3人が3人とも、想像が及ばぬほどブ厚過ぎる音楽経歴を持つミュージシャン達であることは、容易に理解できた。 o.n.o

  LOFTに到着した頃にはDJ BAKUのセットは既に終了していたが、ガッガリする間もなくすぐさまHEAD RUSHのライブが始まりの時を迎えた。はなっから口を挟む余地などない緊迫したステージ。これでもかと放出されてまくる三者三様のカリスマティクなオーラ。ほとばしる緊張感と未知なる音体験に、背筋がゾクゾクする。と、何の前触れもなくマグマのように煮えたぎった不穏な金属音が、堰を切ったように会場全体に流れ込む。
o.n.o   一瞬にして観客を呑み尽くしてしまうような、余りに烈しい音群。迫力なんてもんじゃない。しかと目を見開き、足を踏みしめておかねば捕って喰われてしまう、ぐらいの貼り詰めた空気に思わずゴクリと生唾を飲む。本当に即興なのだろうか?セッション風でありながら、細部に至るまで計算され尽くしたような印象を与える演奏。圧倒的なテンションを保ち続ける3人が奏でる、幾重にも折り重なるヘヴィー&ノイジーな音像。その音すらも覆い尽くさんとばかりに浴びせ掛けられる、灰野敬二とRECK両氏のヴォーカル。
  決して調和しないところがまた凄い。三者の音、ヴォーカルの個性が余りに突出し過ぎてて、反発し反発し合うことでより強大なエネルギーが発生してるような感じだ。とはいえ、曲自体は頭だけで聞くような大上段に構えたものではなく、身体に烈しく揺さぶりをかけてくるようなフィジカルな側面も大いにあり、頭を空っぽにしてめちゃくちゃ楽しむことができた。凄まじいとしか言いようがないステージに痺れまくり、終了後には緊張の弛緩と同時にドッと疲労感が溢れ出てしまった。果たしてHEAD RUDHののライブは実現するのだろうか?

  THA BLUE HERBのトラックメイカーという立場からか、それとも彼のクリエイトしてきたサウンドの印象からなのか、「静の人」「影の人」というイメージを勝手に抱いていたo.n.oのライブは、予想外にすこぶる明るいムード漂うものであった。朗らかで、オーガニックで、まるで太陽の陽射しを浴びているかのような印象すら抱かされる。ごく最小限の音数で、言葉の放つイメージを際限なく拡散させていくTHA BLUE HERBでのトラックと異なり、言葉が無い分サウンドそれ自体が饒舌に物語を紡ぎ出していくようだ。 wrench
  聴き手のイマジネーションを絶え間なく刺激する、すこぶる心地良い音の波。移ろい行くリズムの抑揚にゆったりと身体を預けているうちに、余りに気持ち良過ぎて思わず床に座りこみ目を閉じてしまった。意識の半分はまどろみの中に潜り込み、もう半分はリズムを捕らえんとばかりに必死に耳で追いかけ続ける。その半醒半睡状態の狭間で聴いたサウンドは、朦朧とした意識と溶け合って、得も言われぬ恍惚の境地へと引導してくれた。

  この日のライブ・イベントの企画者であるWRENCHが登場する頃には、気がつくと開始時刻から優に3時間が経過し、会場に居た観客も相当数が居なくなっていた。しかしそんなことはお構いなしとばかりに、のっけからSHIGEのアグレッシブなヴォーカルが、観客の意識をしっかりグイグイと引っ張っていく。否応なしに体感温度は上昇し、立っているだけで額が汗ばんでくるが、不快感は皆無。血が騒ぐってこういうことを言うんだ、と思わず実感してしまうほど、身体の内面が沸き立ちWRENCHのサウンドに逐一反応している。音と一体化したいという欲求が全身を貫く。それは他の観客も同じなのだろう。皆、一心不乱にサウンドに身を任せ踊り狂っている。その湧き上がる気迫は、WRENCH以上と言っても過言ではないほど。WRENCHのステージ終了と共に会場から沸き起こる、割れんばかり歓声と拍手、観客の紅潮した笑顔。この日のライブが大成功を収めたことを雄弁に物語っていた。

  耳の奥底でじんじん鳴り続ける残響は、この日帰路に着いても止むことがなかった。それに加え、ざわざわと落ち着かない脳内の感触。今まで味わったことのない、真に刺激的な空間がそこにあった。
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WRENCH

http://www.3rdstone.com/wrench.html



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The latest album :

Wrench

"OVERFLOW" :
初回限定盤 リミックスCD付き CCCD /
通常盤 CCCD

Victor Entertainment,Inc.

previous works :
"CIRCULATION"
"Clinic of "SATANIC"" (4 trax MIXI)
"MEGALOMANIACS SHOW TIME!" (2 CD set compilation)
"Shinjuku,LIQUID,MEN" (LIVE)
"bliss"
"SKY,LIQUID,MEN" (3 trax MAXI)
"MAD-MAXX" (compilation)
"DOUBLE-0-FREEDOM" (4 trax MAXI)
"Blue Blood Blue"
"WRENCH & NUKEY PIKES" (2 trax each MAXI)
"ヒポテーゼ" (5 trax MAXI)
"PASSED DAYS" (compilation)
"BLACH HOLIDAY"
"ワンダリング・イン・ジ・エンプティネス"
"" (SINGLE, 3 versions)他


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