JACKSON BROWNE @ Osaka Koseinenkin Geijutsu Hall (27th April '04)
日本のウエスト・コーストより愛をこめて
- 前編 -
"This is West coast, right?"
昨年の来阪時、そんなジャクソンの言葉にこれから演る"Doctor my eyes"の事だと思ってイェ〜!と返した私。だが、翌日の新聞に出た彼のコメントにハタと気がついた。
――大阪はいち早く僕たちの音楽を支持してくれた「日本のウエスト・コースト」だから演るのも嬉しいし、エキサイティングだね――。
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そう、彼は自分の曲ではなく、ここ大阪をウエスト・コーストと呼んだのだ。関西というだけじゃなく、「70年代アメリカ西海岸」の音を愛する熱烈なファンが多い事も承知の上で。そんなジャクソンが昨年に続き、しかも1人きりのアコースティック・ライヴでやって来る。1987年の来日から欠かさず通っている私もこれは初めての体験だ。当然2連チャンを決める。
そしてまずは初日。小さなホールのステージ後方にはズラリと並べられたアコギが十数本。左手に彼が座る椅子、右手にキーボード。本当にそれだけだ。やがて歓声の中、登場したのもジャクソン1人。"The Barricades Of Heaven" の高いキーの第一声が響きわたった瞬間、その歓声はさらに大きなものになる。
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サンキュー、ドモアリガトウ、プレジャートゥビーバック、インオオサカ…。そんな挨拶の頃にはもう右手のキーボードにスタンバイ。調子よく手拍子に乗って進む"The Road And The Sky"は、一瞬歌詞が怪しくて笑いながらも和やかだ。客席からは好き勝手にリクエストの声が飛びかい、その度に準備していたギターを選びなおしたり、キーボードに向かいかけて戻ったり。いちいち応えようとするのが相変わらず気の毒なぐらい。「オリジナルのカントリー・ヴァージョンだよ」と披露した"Here Comes Those Tears Again"などアコギ1本で聴くと本当に新鮮で、次はどんな風?とワクワクしてくる。
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うんざりするほどのリクエストの声にも、「他の街と全く違うね」とずっと日本ではやらなかった"Cocaine"など珍しい曲にも次々と応じ、前半の締めは"Running On Empty"だ。肩の力が抜けた感じこそすれ、アコギでも走り続けるジャクソンのテーマに変わりはない。いつもなら「この曲で座ってるなんてファンやない!」と怒る私だが、手拍子の中、誰も立ち上がらなくてもこれはこれでいい感じだ。アコギ・セットならではの雰囲気に納得しつつ、"キューケイ"(byジャクソン)。
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後半は"For Everyman"で再スタートし、"Your Bright Baby Blues"ではスライド・ギターを弾く彼を初めてまともに見る。だが、さっきからジャクソンの歌におっさんが吼える声が混じり出した。前半にはいなかった客だろうか。曲のタイミングも何もおかまいなしだ。
「アルバムと一緒やあ」(アホ、何しに来てるんや、生の方が断然ええわ!)「ヘイ、ジャ〜ック!」(友達でもないのにヘンな呼び方すんな!!)心の中でツッコミを入れるうちにムカムカしてくる。すぐ前の列にいるその野次の主は、よく見ると酒をあおっているではないか。「静かにして下さい!」が何度喉まで出かかった事か。たが、相手は酔っぱらいだ。下手をして騒ぎを大きくすればショウをぶち壊しかねない。
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その間もセットは進み、手拍子が湧き起った"Doctor My Eyes"は、実は同じキーだったと知った "About My Imagination"へと続く。そして「デヴィッド・リンドレーの曲だよ」と、"Call It A Loan"が始まったところで遂に不安が的中。場違いに吼える声に、ジャクソンはとうとう曲を止めてしまった。「ごめん、出来ない。集中しないと駄目なんだ。アメリカにもあんな客は居るんだけど、慣れなくてね。」ああ、彼は単に気さくにリクエストに応えていただけじゃない。1曲1曲ギターを選び、精神を集中し、心を込めて披露してくれていたのだ。それを踏みにじられた腹立たしさと情けなさ以上に、彼の歌の繊細さを改めて思い知る。そして最後は「イーグルスのグレン・フライと書いた曲だよ」と努めて明るく紹介してくれた"Take It Easy"だ。満場の手拍子に乗って立ち上がり、ギターを縦に持ち上げて前に出てきてくれる彼に、私も思わず立ち上がって「ジャクソ〜ン!」
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アンコールで再登場した彼がキーボードに向かい、歌い出したのは大好きな"The Pretender"。皆で返す"アーメン"もバッチリだ。しかし、さあ、これでいつもの和気あいあいな締めに、と思いきや、すぐに客電が。えっ?うそ! "The Load-out" 〜"Stay" の大合唱はなし? すぐには信じられず、再び悔しさがこみ上げてくる。
「おまえのせいで"Call it A Loan"聴けんかったやないか!」「こっちは名古屋からわざわざ来てるんだ!」「おまえの声聴きに来たんとちがうわ!」私もまわりのファンも、さらには通路を挿んだ席からも他のファンが黙っちゃおれんと飛んでくる。例の酔っぱらいに向かって殴り合いにこそならないが、皆の怒りは爆発。私も思い切り叫んだ。「明日は絶対来んといて!」
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明日は誰が何と言おうと、私達ファンの手で絶対に素晴らしいライヴにするのだ。でなきゃ日本のウエスト・コースト、オオサカの名がすたる! この上ない後味の悪さはやがて明日への気合いへと変わり、さらなる期待となって膨らんでいった。
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- Set List -
1.The Barricades Of Heaven
2.Looking Into You
3.The Road And The Sky
4.For America
5.Here Comes Those Tears Again
6.Alive In The World
7.Somebody's Baby
8.These Days
9.Late For The Sky
10.I'm Alive
11.The Crow On The Cradle
12.Cocaine
13.Too Many Angels
14.Running On Empty
--- Intermission ---
15.For Everyman
16.Jamaica Say You Will
17.Farther On
18.Sleep's Dark And Silent Gate
19.Your Bright Baby Blues
20.Linda Paloma
21.Before The Deluge
22.Doctor My Eyes 〜 About My Imagination
23.Shaky Town
24.Poor Poor Pitiful Me (Warren Zevon's song)
25.Mohammed's Radio (Warren Zevon's song)
26.Sky Blue And Black
* "Call It A Loan" was interrupted and changed
27.My Stunning Mystery Companion
28.Take It Easy
- encore -
29.The Pretender
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日本のウエスト・コーストより愛をこめて --> 後編
report by ikuyo and photo by ikesan
なお、写真は4/28の大阪公演を撮影したものです。
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日本のウエスト・コーストより愛をこめて 前編 / 後編
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