Rickie Lee Jones @ Shibuya Bunkamura Orchard Hall (26th Mar.'04)
時間は止まったままだった
あの有名なベレー帽のジャケットが印象的な『浪漫』から、早25年ですか……。自分はリアルタイムの世代ではないわけだけれども、この大ベテランが今なお歌と音楽を生業にして人々に感動を与えているという事実に対して単純に感慨深い思いが込み上げてくる。ピーター・バラカンから矢井田瞳まで幅広い顔が客席に見られたのも、彼女の息の長さ、そして世代や職種を超えた多くの人に受け入れられている事実を物語るものだろう。そんなわけでリッキー・リー・ジョーンズのえらく久々となる来日公演である。
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それにしても、もう50歳を超えようとしているのに、未だに少女のように儚い声を保っているのはどういうことだろう? あのアルバム・ジャケットの美貌がまだ保たれているとはさすがに言い難いし、リード・ギタリストを連れず彼女一人で受け持っていたギター・パートも正直拙さが目立つものだった。しかし、こと歌声に関する限り、知らぬ者ならそれだけを聴かされて彼女の年齢を当てられるとは到底思えない。まるで小鳥のさえずりのような歌声が完全に健在なのだ。大袈裟だが、時間が止まる魔法が彼女の声にかかっているかのようだった。
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リッキ―の音楽自体が決して派手や過激といった部類のものではないように、この日のステージもそういった雰囲気がそのまま置き換えられたような構成だった。渋谷のホールで深く椅子に腰掛けてゆっくり…というのも彼女の染みる歌声を聴くのにぴったり。観客が総立ちになったりすることも終始なかった。もちろんこれは盛り上がらなかったという意味ではなくて。ただし、終盤で即興的に弾き語った"恋するチャック"の時だけは、さすがに口笛が飛んだり手拍子が叩かれたりしてたけど。
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リッキ―の音楽自体が決して派手や過激といった部類のものではないように、この日のステージもそういった雰囲気がそのまま置き換えられたような構成だった。渋谷のホールで深く椅子に腰掛けてゆっくり…というのも彼女の染みる歌声を聴くのにぴったり。観客が総立ちになったりすることも終始なかった。もちろんこれは盛り上がらなかったという意味ではなくて。ただし、終盤で即興的に弾き語った"恋するチャック"の時だけは、さすがに口笛が飛んだり手拍子が叩かれたりしてたけど。
アンコールはなかった。そういえば受付で「セットリストはすごく流動的ですよ」と念を押されていったっけ。"恋するチャック"も完全に予定外の演奏だったし、彼女はこういう気ままというか奔放なところがあるらしい。若い頃はぷいっと遠くの町に出たり、ライブ前に突然いなくなったりした、なんて話を聞いた事もある。今でもなんであろうと予定調和は嫌いなの、ということか。彼女の時間はここでも止まったままだったらしい。リッキ―のずっと変わらぬそんな自由な面に触れた気がして、終演後はなぜか奇妙な気持ちよさだけが残った。
-- setlist --(原文のまま)
FLYING COWBOYS / IT TAKES YOU THERE / LITTLE YELLOW TOWN / BICHENNOSTROPHY / MINK COAT / WEASLE / SAILOR SONG / TELL SOMEBODY / (MAYBE PIANO) / YOUNGBLOOD / SECOND CHANCE / LITTLE MYSTERIES / TREE ON ALLENFORD / LAP DOG / UGLY MAN / (OR PIANO) / BALLAD W/ PAUL & NEIL
report by joe and photos by saya38
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mag files :
時間は止まったままだった : (04/03/26 @ Shibuya Orchard Hall) : review by joe, photo by saya38
年齢を超えられる人もいる : (04/03/26 @ Shibuya Orchard Hall) : review by nob, photo by saya38
photo report : (04/03/26 @ Shibuya Orchard Hall) : photo by saya38
道しるべ : (04/03/25 @ Osaka Big Cat) : review by sora, photo by ikesan
タイムスリップ...あの頃の私に出会えた夜 : (04/03/25 @ Osaka Big Cat) : review by kami, photo by ikesan
photo report : (04/03/25 @ Osaka Big Cat) : photo by ikesan
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