Smashing Mag / Lightning Bolt @ 渋谷NEST (29th Feb '04)

Lightning Bolt @ 渋谷NEST (11th March '04)

嵐過ぎ去りし後 - part1 -
今でこそ、あれは確かに現実だったという認識を持ちつつ、ここにこうしてライブ・レポートを書こうとしている訳だが、あの日あの瞬間あの場所においては、自分がそこに居ること自体夢のように脆弱なものでるように思われ、自分の目の前で行われている事ですら甚だしく非現実味を帯びて映っていた。　Lightning Bolt!!音源すら持ってない。メンバーの顔すら知らない。そんなバンドの来日LIVEになぜ好き好んで行ったのか？自分でもよく分からない。なんとなくバンド名と「とにかくスゴイ」という情報のみが頭に刷り込まれていていたのだけれど、それだけでホイホイLIVEを見に行くほど暇も金もない訳で。寧ろこのLIVEに行ったことは運命だったんだと激しく思い込みたい。


緩急自在の、小手先では太刀打ちできない熟練の技。押すところは押して、引くところは引く。「勝手に楽しめ!」と突き放しているかのようで、最終的には「お前らが欲しいのはこれやろ!」とばかりに最高のカタルシスに導いてくれる。WRENCHの底知れぬ懐の深さを実感。	でっかいホールで演るよりも、NESTのような天井の低い狭めのライブハウスで演るほうがWRENCHの音がよりリアルに、より強力に聴こえる。ハイ・テンション＆ハイ・スピードで唸りを上げるギター、ベース、ドラム、そしてヴォーカルが絶妙なタイミングでブレイク、その瞬間油断していたところに強烈な張り手をくらわしてくる。目が醒めるように気持ちがいい演奏。

　COM.Aは、既に活動休止（解散？）しているROM=PARIという、伝説的な変態兄弟ユニットの弟のほうである。リズミカルでフリーキー、キュートでいながらえげつなさも併せ持つ、最強のブレイク・コア・サウンドが際限なく繰り出され、鼓膜をじんじんとシビれさせてくれる。オーディエンスの驚喜の叫びと激しいステップが、COM.Aのプレイの絶好ぶりを物語っているかのようだ。じっくりと堪能するには余りにも不十分な短いセットで、これだけ盛り上げたCOM.Aの力量に感服させられた。

　そして渾身の力でスティックをドラムに打ちつけつつ、プリミティブな咆哮を浴びせ掛ける女性。それぞれに突出した音が三位一体となり巨大化し、聴衆を乱舞させる。限りなくノイジーなのに、得も言われぬ爽快感。音の濁流に呑み込まれつつ「気持ちいいな～」と思っていたところ、突然「ライトニン・ボルトォ～!!」と言う絶叫が。女性メンバーがスティックで指した方向に、人々があたふたと大移動を始める中、暫くzOoOoOmを見つめまんじりとも動き出せずにいる自分がいた。こんなにいいバンドが存在したとは…!

-->part2

　3番手はzOoOoOm。中央にドラム、右方にギター、左方にバスドラなしのスタンディング・ドラムという特異な編成。見るのも聴くのも全くの初めてだったのだが、最初の一音だけで釘付けになってしまった。生真面目そうな青年が叩き出すドラムは、巧いとかというレベルでは計りきれない驚異的なビートを生み出し、底知れぬ狂気を伴い激しく挑みかかってくる。ギターを破壊せんばかりの勢いで激しく弦を掻き鳴らし、これまた強烈な轟音を放出するギターとのコンビネーションも最高。

zOoOoOm