Ani Difranco @ Shibuya O-East (8th Mar.'04)

人間と音楽の持つ可能性(ラジオスターとの再会)



Ani Defranco
 数年前、ラジオから" Gravel "が流れてきた瞬間ミニコンポの前に釘付けになってしまった。速攻で誰の曲なのかエア・チェックするべくメモ帳とペンをあわてて探したのを覚えている。一度聴いたら二度と忘れることのできない超独特なギター奏法に瞬殺された――それがAni Difrancoとの少し遅い出会いだった。アコースティック・ギターを「音程を持つ打楽器」へと変えてしまう彼女の錬金術にその後酔いしれることになるのだが、残念ながら今までライブを観たことがなかった。確かフジロックにも来てるんじゃなかったっけ? その時も見逃してる間抜けなわけですよ、ボクは。

Ani Defranco  ところがようやく初見となる今回の来日なのに、なんとギター一本の弾き語りスタイルなのである! 開演前、ステージに置かれたセットはシンプルそのもの。マイク・スタンドが中央に無造作に立てられ、ギター・アンプが忘れ物のようにぽつんとふたつ置いてある。それだけ。バック・ドロップやちょっとした飾り付けも一切なし。去年観たNick Loweのステージを彷彿とさせる簡略な舞台だが、どちらかといえばしっとり聴かせるNickに較べアッパーな曲が多いAniだけに若干の不安が残る。これであのラジオの衝撃を再現できるのだろうか?

 しかし、登場してすぐに杞憂は吹っ飛ぶ。いきなり例のカッティングを炸裂させながら飛び出してきたAniはアコギ一本のグルーブでグイグイ会場を引っ張る。おいおい、たった一人でこの迫力かよ!! 見たことも、音を聴いたこともない人にAniのこの奏法を説明するのは難しい。「黒人ベーシストの超絶スラップ・プレイを無理矢理アコギに置き換えた感じ」とでもいえば少しはイメージが掴めるだろうか? ピックは使わず親指を叩きつけて豊かな低音を引き出しているようだが、これがどう聴いてもベースが同時に演奏されているように聞えるのである。様々なコードやハーモニクス音をその中で目まぐるしく展開させながら唄うのに、一方でやや変則的なそのリズムが崩れることは全くない。弦を引っ掛ける指先には黒いテープが巻かれていた。

Ani Defranco  その時突然、ラジオで彼女を知った時にDJが話していたエピソードを思い出した。Aniは始めバーの片隅でひとり演奏していたが誰にも演奏を聴いてもらえず、少しでも関心を惹こうとする内にこのスタイルを編み出したのだという。激しいカッティングですぐに指先からは血が噴出すようになったが、そこに黒いビニールテープを巻いてさらに見た目でも注目してもらえるようにと工夫を凝らしたのだそうだ。

 すごく激しい演奏をしているのに、なんだか泣けてきてしまった。黒いテープが下積み時代の苦労を偲ばせるから、なんてつまらない理由ではない。人間がこういう技を編み出し身につけられるという事実にただ感動してしまうのだ。それほどまでに目の前で繰り広げられる演奏はすごかった。だってこの独特のテクニックはまぎれもなく彼女自身が生み出したものであり、そしてどう考えても一朝一夕で身につけられるレベルの技術ではないのだ。大袈裟に言えば人間や音楽にはまだまだ色々なことを生み出せる可能性がある、ということを実演しているのがAniなのだ。My Radio Starとの再会は、これ以上ないほどのライブを観ることで果たすことが出来た。
Ani Defranco
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なお、写真は10日の大阪公演のものを使用しています。

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