Ben Harper & The Innocent Crimiinals @ Namba Hatch (1st Mar '04)
これほど罪深いものは、ない- part 1 -
フジロック・フェスティヴァルには毎年、奇跡のような瞬間が存在する。そういう風に表現してしまうのは、たんに僕の語彙が足りないからかもしれない。それは突き抜けるような高みだったり、混沌だったり、胸にこみ上げる熱いものだったりする。去年のフェスティヴァル初日、四方を山々に囲まれたホワイトステージで、そんな瞬間を、何度も何度も折り重ねるように紡ぎ出していたのがBEN HARPER & THE INNOCENT CRIMINALSだった。細かな雨粒が頬を打つ中、音よりももっと根源にある無性に揺さぶられるような何かが、冷たく湿った空気にビリビリと震えていたのだ。 |

「ヤバイなぁ」 思わずつぶやく。そして、チューンナップされたGTカーのエグゾーストノートのようなギターが、歌声とともに文字通り炸裂した"Temporaly Remedy"。雄叫びを上げて拳を突き上げる。そう、あの高みだ。早くも。もちろんステージを見つめ、耳を澄まして、出来る限り五感で'そいつ'を捉えようとするのだけれど、それでは不十分だ。この音に溶け込んでしまいたい、そうでもしないと'そいつ'を余す所なく捉えられない。可能なら、この音になってしまいたい。体がなんだか邪魔に思えてしまうのだ。 |
そんな鮮烈な印象が、肌触りが、まだ色褪せずに鮮明に残っている時点でのジャパン・ツアーは、去年のフジロック・フェスティヴァルへのリプライズかもしれない。ステージではフジの時と同じく色とりどりの蝋燭の灯りが揺らいでいる。ナイキのオレンジ色のTシャツ姿でステージに現れたBEN HARPERは、7ヶ月前と同じように、ちょこんと恥ずかしそうにお辞儀をする。ブルージーでアーシーに"Brown Eyed Blues"でこの日のショウをスタートさせると、2曲目にはもう"Excuse Me Mr."と定番の曲を歌い上げる。
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3曲終わった時点で早くもステージのセンターに椅子が用意され、ローディからワイゼンボーンを受け取ると、長い両足を小さく折り曲げた膝の上で、あやすように、激しく語りかけるように、ボトルネックを滑らせピアニストのように弦を叩きつける。水を得た魚とはこのことだろう、毎回思うことなのだが。スライドギターから紡ぎ出される、太く、暖かく、恐ろしくごきげんな何か。時折マイクから離れて叫ぶよ
うに歌うBEN HARPERの歌声が、直接耳に届く。 |
report by ken, photos by hanasan
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mag files :
blessed to witness this show... : (04/03/05 @ Shibuya AX) : review by sisterchill, photos by hanasan
音楽の一部になる: (04/03/05 @ Shibuya AX) : review by nob, photos by hanasan
photo report: (04/03/05 @ Shibuya AX) : photos by hanasan
おおらかな緩急: (04/03/04 @ Zepp Tokyo) : review by ryoji, photos by hanasan
ベン自身がダイアモンドである: (04/03/04 @ Zepp Tokyo) : review by 竹井晶子, photos by hanasan
会場を包み込んだもの: (04/03/04 @ Zepp Tokyo) : review by joe, photos by hanasan
photo report: (04/03/04 @ Zepp Tokyo) : photos by hanasan
愛と思い出の夜: (04/03/02 @ Nagoya Diamond Hall) : review by ryoji, photos by hanasan
photo report: (04/03/02 @ Nagoya Diamond Hall) : photos by hanasan
photo report: (04/03/01 @ Namba Hatch) : photos by hanasan
DVD Review : Live At The Hollywood Bowl: (04/02/12) : review by hanasan
これが心を揺さぶる歌、そして、音楽だ : (01/06/17&18 @ Shinjuku LOFT) : review and. photos by hanasan
ツェッペリン・ファンも満足! : (01/06/17 @ Shinjuku LOFT) : review by nob, photos by nishioka
photo report : (01/06/14 @ Osaka Big Cat) : photos by ikesan
photo report : (99/02/03 @ Shinjuku Liquid Room) : review and photos by hanasan
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