PM8:40頃、メンバーが言葉無く登場し、それぞれサウンドチェックやチューニングをこなす。タブラ(インドの打楽器)の調律に使うトンカチが、おもむろにつまびかれたシタールと一緒にカンカンと音を鳴らしてしまうと、クアトロ内はもう熱帯雨林のド真ん中へとスッ飛んでいき、UAが言葉ともいえぬ声を上げたが最後我々はジャングルへと足を踏み入れた冒険者の気分を味わうこととなった。メロディーを排除し、神秘性の濃度を上げたビョークの『Homogenic』や『Post』とでも表現すればよいだろうか、大自然そのものに耳を傾けているような音が会場を包む。
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asa-chang&巡礼やPsychobaba(Saico Babu)、NUTRONのメンバーらという空間系前衛音楽のオールスターのような布陣にUAを加えたアラヤビジャナは手塚治虫『火の鳥・復活編』に登場する人間の感情を持つロボット・ロビタをCDのジャケットにあしらっている通り、有機物と無機物の絡み合いの妙といった音を持っている。さらにツインドラムが中心のリズムを打ち出していることで、CDにあったエレクトロニカ的要素よりもさらに猛々しいグルーヴを生み、この日のアラヤビジャナの音はまるで生き物のようなものだ。観客の何人かは目を閉じて、ひたすら聴覚にそれを取り込んでいる様子である。 |